スタートアップに転職する魅力とは? ~転職で注目のスタートアップ企業も紹介~

スタートアップに転職する魅力とは? ~転職で注目のスタートアップ企業も紹介~

目次

SaaS企業には魅力的なスタートアップ企業がたくさんあります。上場企業のほか社員数が1,000人を超える企業など、その実態はさまざまです。ここではスタートアップ企業に転職するときに押さえておきたいメリットやリスクを解説するとともに、成長を遂げた企業、注目の企業をピックアップしてご紹介します。

※ 記事内の情報は2023年7月時点に調査したものです。

1.スタートアップとは? 大企業、上場企業ではない?

転職先として企業を検討するとき、スタートアップには次のようなイメージがありませんか?

「仕事が忙しくて休みがない」
「社員が20人しかいない」
「よく名前を知らないし、ブラック企業かも」

スタートアップ(startup)は「革新的なアイデアや技術によって短期間で成長を遂げる企業」です。アメリカで使われ始めた言葉で、例えばGoogleやAmazonが代表的な企業として挙げられます。先端技術を使ったビジネスを展開している企業が多いことが特徴といえるでしょう。

スタートアップ企業を未上場の企業、小規模の企業と勘違いしている人もいるようですが、上場している企業もあれば大企業並みの社員数の企業もあります。

まず、大企業や上場企業、スタートアップがどのような企業かを解説します。

1-1. 大企業とスタートアップ

大企業という呼び方は漠然としていますが、一般的に大企業には「知名度が高い」「規模が大きい」「安定している」というイメージがあります。

しかし、大企業の明確な定義は実はありません。ただし中小企業基本法では、中小企業を資本金と従業員数で定義しています。業界によって異なりますが、例えばサービス業では「資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人です。つまりそれ以上は大企業ともいえます。

スタートアップは資本金や従業員の数に関係なく「成長」を基準にします。急速に成長する企業であり、創業から数年間で数億円の資金を調達することもあります。

1-2. 上場企業とスタートアップ

上場企業は、株式を公開して外部から資金を調達している企業のことです。大手企業はすべて上場していると勘違いしている人がいるかもしれませんが、サントリーのように非上場でありながら知名度が高い大手企業もあります

日本には東京、名古屋、札幌、福岡に証券取引所があり、そこで株式が取引されています。東京証券取引所は現在、プライム、スタンダード、グロース3つの市場があります。このうちグロースは、成長性はあるけれどリスクをともなう株式市場です。したがって、グロース市場の銘柄は、上場しているスタートアップと考えることもできます

スタートアップの多くは成長のゴールとして、上場やM&Aを目指していますので、現在未上場のスタートアップでも上場する可能性があります

リスクのイメージ

2.スタートアップにはリスクがある?

安定した職場に勤めたいと思ったとき、できればリスクは避けたいものです。しかし、スタートアップにリスクは「ある」と考えるべきです

急速に成長するスタートアップは新たな分野や未成熟の市場を開拓するため、社会や環境の変化とともに業績が大きく変動するからです。最悪の場合は、事業の撤退や倒産に至ることも少なくありません

創業間もないスタートアップは、会社が整備されていない状態にあります。業績によって給与や年収が大きく下がることもあり、従業員一人の担当する範囲が幅広いため、ハードワークになりがちです。教育制度、福利厚生などが整っていない職場も多いといえるでしょう。

その点では、大企業とはまったく異なることを認識すべきです。

3.スタートアップ転職には、メリットがたくさん

リスクについて述べましたが、スタートアップへの転職は次のようなメリットがたくさんあります。


・企業と自分の成長を実感できる
・経営や起業などに関する学びの機会が多い
・スキルや能力を発揮できる、やりがいがある
・役員などのポジションを得られる可能性が高い
・危機管理能力を含めて実力をつけられる

変化が激しい環境では、状況を見極めて最適な行動を起こす即戦力が求められます。したがって、自分を鍛えるには最高の職場です。経営者と距離が近いため、起業を考えているなら大きな学びが得られます。失敗も含めて貴重な人生体験ができます。

4.成長を遂げたスタートアップ

スタートアップの中には、成長を遂げて知名度が高まり、大企業レベルの資本金や社員数になっている企業があります。こうした企業は創業期と比較して安定期に入っています。3つの企業をピックアップします。

4-1. Sansan株式会社

Sansan株式会社

出典:https://jp.sansan.com/

「それ、早く言ってよ〜」というCMが人気のSansan株式会社は、法人向けの名刺管理サービスを提供する2007年設立の企業です

資金調達を追っていくと、2014年に約14億円、2016年に約20億円、2017年に約42億円、2018年に約30億円を調達し、2018年の時点で累計調達総額は約114億円に達しました。その後、2019年6月に東証マザーズに上場して約68億円を調達、2021年1月には東証一部に上場を果たしています

従業員数の推移では、2007年創業時はわずか5名でしたが、創業から6年後の2013年に約100名になり、2018年に約400名、2021年に約800名、2022年には1,100名を超えています。すでに大企業といえるでしょう。

このように資本金と社員数ともに急速に拡大することが、スタートアップの特長です

Webサイト:https://jp.corp-sansan.com/

4-2. 株式会社SmartHR

株式会社SmartHR

出典:https://smarthr.jp/

成長が著しい企業の中で、評価額が10億ドルを越える未上場企業のことを「ユニコーン企業」と呼びます。

人事労務ソリューションを提供するSmartHR株式会社は、2021年にユニコーン企業になりました。SaaSの成長モデルには「T2D3(3倍、3倍、2倍、2倍の勢いで年次経常収益を伸ばすこと)」がありますが、まさにその勢いで成長を遂げた企業です

社員数の推移は、2018年には50名ほどでしたが、2021年には約9倍の510人に拡大。しかも100パーセント中途採用です。2023年5月時点で840名となり、社員数だけみれば大企業の規模に達しています。

2022年には創業者の宮田昇始氏がCEOを退任し、CTOの芹澤雅人氏がCEOを引き継いでおり、このようにスタートアップでは、成長に合わせて世代交代をすることがあります。

Webサイト:https://smarthr.co.jp/


実際にSmartHRでインサイドセールスのマネージャーとして働く伊藤さんへのインタビュー記事もご参考にしてみてください。

4-3. 株式会社Asobica

株式会社Asobica

出典:https://asobica.co.jp/

「遊びのような熱狂で、世界を彩る」というミッションを掲げる株式会社Asobica(アソビカ)。顧客のロイヤルティを高めてファンを育成する、統合型カスタマーサクセスプラットフォーム「coorum(コーラム)」を提供しています。

2018年に設立し、5年後となる2023年に従業員数が100名を突破しました。2019年から4年間、離職率ゼロを記録しています。2018年には30坪だったオフィスの面積は、2022年には200坪に拡大したそうです。2022年には総額27.2億の資金調達を実施し、資金調達によってプロダクトと組織の強化、パートナーとのアライアンス強化をめざしています。

このようにSaaS業界のスタートアップは、5年間で大きく変わります

Webサイト:https://asobica.co.jp/

5.注目のスタートアップ5選

続いてマーキャリ編集部が選んだ、これから注目のSaaS業界のスタートアップ企業を5つ紹介しましょう。

5-1. 株式会社タイミー

株式会社タイミー

出典:https://corp.timee.co.jp/

橋本環奈主演のCMのほか、ワーカーの体験に基づいたブランドムービーを公開中の株式会社タイミーはスキマバイトサービスを提供しています

成長がめざましいスタートアップ企業では、CMなどを使ったブランド戦略にも注力しています。サービスの確立を経て、次の事業拡大ステージのために認知度を上げる施策です。企業の宣伝やPRにも注目するとよいでしょう。

株式会社タイミーの設立は2017年、5名でスタートしました。設立から3年後の2020年には141人、5年後の2022年には546人、そして2023年7月時点の従業員数は791名(うち正社員607名)に規模を拡大しています。

2023年10月末には1,000人規模の採用を目指しています。2024年卒から新卒採用を本格化する予定であり、採用を強化している点から注目したい企業です

Webサイト:https://corp.timee.co.jp/

5-2. 株式会社TalentX

株式会社TalentX

出典:https://talentx.co.jp/

株式会社TalentXは、リファラル採用というコンセプトを掲げて、採用MA(マーケティングオートメーション)プラットフォーム「Myシリーズ」を展開する企業です。創業は2015年ですが、2018年にスピンオフで独立しました。資本金は8億6,750万4,198円(資本準備金含む)、従業員数は2022年12月には70名を超えています。

2023年2月1日に株式会社MyReferから現在の社名に変更しました。スタートアップの特徴として、成長にしたがって社名を変更することも押さえておきましょう。事業ドメインの拡大により、さまざまなチャレンジを行っていくために社名を変更しました。

Webサイト:https://talentx.co.jp/

5-3. 株式会社RevComm

株式会社RevComm

出典:https://www.revcomm.co.jp/

株式会社RevComm(レブコム)は、AI×Voice×Cloudのソフトウェア、データベース開発を手掛ける企業です。AIによる文字起こしとトーク分析機能を備える「MiiTel Meetings」を提供しています。従業員数は、220名(パート・インターンを含めると225名)です。

代表の會田武史氏は、小学4年生の時に起業を決めたそうです。大学時代にいろいろな団体の立ち上げや運営に携わり、三菱商事に入社。社会人6年目にビジネスのトレンドとなる要素と技術および自分のPain(苦痛)から「ボイス領域」と「インサイドセールス」に着目して起業しました。

會田武史氏は個人のエンゲージメントを高めるために、権限委譲を中心とした組織づくりを考えてきました。権限委譲によるプレッシャーは大きいかもしれませんが、やりがいは大きいのではないでしょうか

Webサイト:https://www.revcomm.co.jp/

RevCommの初期メンバーであり、セールスマネージャーである山崎さんへのインタビューは下記より閲覧できます。

5-4.イーストフィールズ株式会社

イーストフィールズ株式会社

出典:https://eastfields.co.jp/

イーストフィールズ株式会社では、組織とフリーランスをつなぐマッチングサービス「ProConnect」、ビジネスとITのプロジェクト経験を持つコンサルタントが課題を解決する「EAST FIELDS」を提供しています

ベンチャーキャピタルからの資金調達なしで、2018年に創業者一人でスタート。創業から4年で売上10億を超え、年平均3倍以上の事業成長を果たしています。2022年6月1日時点の従業員は31名です。

2023年からはAIコンサルタントの募集を開始しました。プログラミング能力が条件ですが、クライアントの課題を分析して提案し、多種多様な業界の案件を通してAIを使いこなせるような成長を遂げる人材を求めているそうです。営業力+技術力のある人は挑戦するとよいでしょう。

Webサイト:https://eastfields.co.jp/

5-5. 株式会社HRBrain

株式会社HRBrain

出典:https://www.hrbrain.co.jp/

株式会社HRBrainは、「Power to the people」を掲げて人材マネジメントにフォーカスした製品を提供しています。タレントマネジメント、組織診断サーベイ、人事評価、労務管理、AIチャットボット、360度評価などのサービスを手掛けます。設立は2016年。従業員数は110名です。

代表の堀浩輝氏は、株式会社サイバーエージェントでAmebaブログやAmebaOwndなどさまざまなサービスの責任者やエグゼクティブプロデューサーを務めた後に起業。「Forbes起業家ランキングRising Star Award」の3位に入賞した経歴があります。魅力的な経営者も転職時にチェックすべきポイントといえるでしょう。

2017年に2億円の資金を調達したときに、旧社名の株式会社モスキートーンから商品名の株式会社HRBrainに社名を変更しました。2022年の2月には18億円の資金調達を実施。資金の用途としては、人事領域のDX、SDGs、ESG経営、人的資本の情報開示の推進などの機能拡充を挙げています

Webサイト:https://www.hrbrain.co.jp/

6.成長したスタートアップの共通点は?

3つの成長を遂げた企業、5つの注目企業を取り上げましたが、成長したスタートアップには、以下のような共通点があります。


・創業者に魅力がある。
・力強いMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を掲げている
・事業領域が明確に定まっている
・資金調達力がある
・調達した資金を採用、人材育成、開発に投資している
・成長ステージに合わせて事業の方向性など軌道修正している

経営手腕が優れていたことはもちろん、ミッションやビジョンに賛同した社員、あるいはベンチャーキャピタリストを含めて、周囲を巻き込んで拡大する力があったからといえそうです

「経営の神様」と評された京セラ創業者の稲盛和夫氏は「渦の中心になれ」という言葉を残しています。創業者と創業メンバー、創業メンバーからエンジニアや営業、さらにバックオフィスの社員を含めて、さまざまな部門の人材を巻き込んでいくことでスタートアップは成長を遂げます。存分に実力を発揮する活躍の場として、スタートアップへの転職は検討すべき価値があります。

7. まとめ

大企業や上場企業も、最初は5名程度のメンバーで創業しました。スタートアップへの転職はリスクがゼロではありませんが、企業の成長を体験できる意味では貴重です。企業の成長ステージに合わせて、自分の活躍の幅が広がります。

また、社員が力を合わせてスタートアップを上場させたときの喜びは大きいものです。成長に合わせて社員が増えていく過程も喜びの1つといえるでしょう。慎重にリスクを検討することは大切ですが、チャンスを逃さないようにすべきです。「これは!」と思ったスタートアップには、積極的なアプローチをおすすめします。



本記事でご紹介した企業の中で、タイミー、RevComm、SmartHRについては、マーキャリNEXT CAREER主催の合同説明会で採用プレゼンを行っていただきました。ぜひレポート記事もご参考にしてみてください。





マーキャリ 編集部

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