カスタマーサクセスとして成果を出すために重要な7つのKPIとは?

カスタマーサクセスとして成果を出すために重要な7つのKPIとは?

目次

サブスクリプションサービスを提供するSaaS企業を筆頭に、新たな営業プロセスを担うポジションとしてカスタマーサクセスが導入されるようになりました

カスタマーサクセスの成功は、顧客との深い関係を生み出し企業にとっての長期的利益につながるため非常に重要です

ここでは、カスタマーサクセスとして成果を出すために、必ず測定するべき7つのKPIについて分かりやすく説明していきます

1. カスタマーサクセスで重要な7つのKPI

カスタマーサクセスは、顧客に自社のサービスの導入を「成功」と感じてもらうために、活用方法の提案や電話でのサポートなど、能動的な施策を行う比較的新しい職種です

アポ数や成約数を追うセールスとは違い、カスタマーサクセスの目指す「顧客の成功」は可視化が難しく、活動の成果が出ているのか判断するには適切なKPIを設定することが必要不可欠です。

※KPI…Key Performance Indicatorの略で、目標達成までのプロセスの達成度合いを計測・監視するための指標のこと

カスタマーサクセスのKPIは、それぞれが相関性を持ち、いずれかの要素を改善することで相乗効果を発揮するため、1つ1つのKPIを正しく理解しなければいけません

以下では、これからカスタマーサクセスへの転職を考えている方やカスタマーサクセスとして成果を出したい方に向けて、KPIに設定されることが多い7つの指標を解説いたします。

1-1. 解約率(チェーンレート)

解約率(チェーンレート)とは、既存顧客がサービスを解約した割合を示す指標です。サブスクリプションサービスを提供する企業では、必ずと言っていいほどKPIに設定されている極めて重要な指標となります。

当然のことながら、継続的に利用してくれる顧客が多ければ多いほど企業は安定的に利益を確保できるため、解約率を抑えることはカスタマーサクセスの大事なミッションとなります

利用ユーザー数が多いサブスクリプションサービスの提供企業であれば、新規顧客の獲得よりも解約率を抑える方が収益的にプラスになるというケースも珍しくありません。解約率の重要性は、自社サービスの状態によっても左右されることを覚えておきましょう。

なお、チェーンレートには大きく分けて「カスタマーチェーンレート」と「レベニューチェーンレート」の2種類が存在します

1-1-1. カスタマーチェーンレート

カスタマーチェーンレートは、顧客数をベースとしたチェーンレートです。集計期間内にサービスを解約した、あるいは有料会員から無料会員にダウングレードした顧客数の割合を元に算出します。

カスタマーチェーンレートの計算式は以下の通りです。
カスタマーチャーンレート= 「(一定期間内に解約した顧客数÷集計期間前の総顧客数)×100」

サブスクリプションサービスは月額制が多いため、SaaS企業では基本的に月次で計算します。その場合の計算式は「当月の解約顧客数÷前月末の顧客数」となります。

1-1-2. レベニューチェーンレート

レベニューチェーンレートは、その名の通り収益の増減をベースとしたチェーンレートです。集計期間内に、解約やダウングレードなどによって収益にどれだけの損失が出たかを表します。

レベニューチェーンレートの計算式は以下の通りです。
レベニューチャーンレート=「(サービスの価格×一定期間で解約した顧客数÷一定期間の総収益)×100」

レベニューチェーンレートの数字が高ければ高いほど、収益が減っていることになります。カスタマーチェーンレートとは違い、収益ベースでの計算になるため、複数の価格プランを提供している場合はレベニューチェーンレートが有効です

1-2. 維持率(リテンションレート)

維持率(リテンションレート)とは、既存顧客がサービスを継続利用してくれる割合を示す指標です。「リテンション率」や「定着率」などとも呼ばれます。

先ほど解説したチェーンレートとは対になる指標で、維持率が高ければ高いほど、契約を継続してくれる顧客の割合が高いということになります
維持率(リテンションレート)の計算式は以下の通りです。

リテンションレート=「(一定期間の継続顧客数÷新規契約者数)×100」
例として、1日に新規契約者数が100ユーザー増え、1ヶ月後に85人が継続利用してくれていた場合、「85÷120×100=70%」となり、1ヶ月後のリテンションレートは70%となります。

1-2-1. NRR(売上維持率)

既存顧客から入る収益が、以前と比較してどれだけ増減したかを示す指標としてNRR(売上維持率)があります

NRRは、アップセルやダウングレードによる収益の増減まで含めて計算することで、収益の維持率を正確に把握できるため、複数プランがあるサービスを提供している企業では、リテンションレートよりもNRRをKPIとすることが一般的です

少々複雑ですが、NRRの計算式は以下の通りとなります。
NRR=「(月初のMRR+Expansion MRR)−(Downgrade MRR−Churn MRR)÷月初の合計MRR」

Expansion MRR:アップセルによって増えた収益
Downgrade MRR:ダウングレードによって減った収益
Churn MRR:解約によって減った収益

1-3. オンボーディング完了率

オンボーディングとは、顧客に自社のサービスの仕様や活用方法を理解してもらい、定着してもらうまでの期間およびプロセスのことを指します。つまり、オンボーディング完了率とは、一定期間内にオンボーディングの基準を満たした顧客の割合のことです。

サービスの種類や性質によってオンボーディングが完了するまでに要する時間は変わるため、「オンボーディングが完了した」とする基準は企業によって異なります。

例えば、「1ヶ月以内に初期設定を終わらせて、〇〇をしていれば完了」というように自社サービスに合わせた適切な基準を設けることが大切です。

オンボーディング完了率の計算式は以下の通りです。
オンボーディング完了率=「オンボーディングが完了した企業÷オンボーディング期間の全企業」

1-3-1. オンボーディング完了率の重要性

オンボーディング完了率は、解約率(チェーンレート)や維持率(リテンションレート)に大きく関わる非常に重要な指標です

オンボーディング完了率が低いということは、多くの顧客に自社のサービスを理解してもらっていない、もしくは利用するだけの価値を感じてもらえていないという状態を表しているため、必然的に解約リスクが高くなります。

特にサブスクリプションサービスでは、契約を取ること以上に継続的に利用してもらうことが重要となるため、顧客がサービスに関心を示している早い段階で、オンボーディングを完了させることが大切です

いかにサポートコストを軽くしつつ、的確にオンボーディングを完了させられるかはカスタマーサクセスとしての腕の見せ所です。

1-4. アップセル/クロスセル率

提供する同一サービス内に複数のプランがある場合、アップセル/クロスセル率をKPIとして設定することがあります

アップセルとは、より多くの機能が使える上位プランへのアップグレードや利用可能人数を追加するオプション購入などによって、現在よりも単価の高いサービスを利用してもらうことを指します。

一方、クロスセルとは、自社のサービスを利用中の既存顧客に、契約中の製品と関連性やシナジー効果のある別製品を勧めて契約してもらい、顧客単価を引き上げる方法です。

その収益性から企業としては重要視したい項目となりますが、むやみにアップセル/クロスセルを図るとかえって悪い印象を与えてしまうため、カスタマーサクセスとして働く上では、あくまで顧客の要望に寄り添って必要な時のみ提案することが大切です

1-5. NPS(ネットプロモータースコア)

NPS(ネットプロモータースコア)は、顧客が自社または商品・サービスに対して、どれだけ愛着・好感を抱いているか(顧客ロイヤルティ)を測る指標です

NPSが高ければ、自社・自社サービスへの満足度が高いということになるため、継続してサービスを利用してくれる可能性やアップセル/クロスセルが成功する可能性が上がります。

また、自社に好意的ということから、施策として導入事例取材や顧客インタビューを行う際の候補先としても検討できるため、NPSを計測し把握しておくことは有用です。

1-5-1. NPSの計測方法

NPSを計測するには、顧客に対して「あなたは、このサービス(企業/商品)を知人や同僚にどれくらい勧めたいですか?」という質問を行い、0〜10段階の全11段階で評価してもらいます

得られた回答から、0〜6は「批判者」、7〜8は「中立者」、9〜10は「推奨者」と顧客を3つのタイプに分類していきます。
回答結果を元に算出するNPSスコアの計算式は、以下の通りです。

NPS=「推奨者の割合(%)−批判者の割合(%)」

推奨者の割合が多ければプラスに、批判者の割合が多ければ当然マイナスになります。NPSの平均スコアは業界によって大きく異なりますが、いずれの業界も業界平均ポイントはマイナスです。

カスタマーサクセスとして働くのであれば、自社の業界の平均値は把握しておくようにしましょう

1-6. アクティブユーザー数

アクティブユーザー数は、特定の期間内に自社のサービスに1回以上ログインまたは利用したユーザー数のことです

測定期間は企業の提供するサービスの性質よって異なりますが、一般的には、1日辺りのアクティブユーザー数を示す「DAU(Daily Active User)」もしくは1か月辺りのアクティブユーザー数を表す「MAU(Monthly Active Users)」で測定します。

期間内に1度も利用のない非アクティブユーザー数が極端に多い場合、商品自体やオンボーディングに問題がある可能性が考えられます。

1-7. LTV(顧客生涯価値)

LTV(顧客生涯価値)は、Life Time Valueの略称で、ある顧客と取引を開始してから終了(解約)するまでに、自社にどれだけの利益をもたらすかを算出したものです

LTVは、買い切り型の商品を提供する企業では性質上あまり着目されませんが、サブスクリプションモデルのサービスを提供するSaaS企業などでは、継続率や解約率、その他多くの指標の終着点となる指標になるため、必ずと言っていいほどKPIに設定されています。

なお、LTV(顧客生涯価値)の算出方法は企業によって様々なので一概には言えませんが、サブスクリプションサービスを提供するSaaS企業では、平均顧客単価と平均継続期間、解約率の3つの要素を用いて求めることが一般的です。

2. カスタマーサクセスのKPIを達成するには

カスタマーサクセスは、顧客に「成功」を感じてもらうことがミッションとなっていることもあり、非常に活動領域が広く、ありとあらゆる施策を行う忙しい職種です

そのため、KPIを設定し、目標を定めたのであれば、その目標を達成するために1つ1つの活動をよく考えて、無駄のないよう活動していく必要があります。
以下では、カスタマーサクセスのKPIを達成するために、重要なポイントを2つ解説いたします。

2-1. 現状を把握し、PDCAを回す

設定したKPIは、あくまでカスタマーサクセスとしてのパフォーマンスを計測・監視するための指標になります。

ただ、数字を見るだけでなく、KPIのそれぞれの数値から良い部分、足りていない部分などを分析し、現状を把握することでスピーディーにPDCAを回していかなければいけません

特に、カスタマーサクセスのKPIは、1つ1つの要素が独立しているものではなく、必ずつながりがあるので、各数値の相関性を意識して活動することがポイントとなります

もしも、自社にカスタマーサクセスの歴史がなく改善方法が分からないのであれば、同業他社を調査したり、カスタマーサクセスが普及している海外のデータを参考にするのも効果的です。

2-2. 他部署との連携が必須

カスタマーサクセスのKPIは、必ずしもカスタマーサクセス内だけで改善できるものではありません。むしろ、ほとんどの課題は他部署と連携しなければ解決できないケースが多いでしょう

例えば、当記事で解説したKPIの内、オンボーディング完了率1つ取っても、製品の仕様やUIに難点があって設定が進まない場合は開発部門との連携が必要になりますし、契約に至るまでのプロセスで製品理解が曖昧なのであれば、フィールドセールスと一緒に改善を図る必要があります。

カスタマーサクセスとして働くということは、最も顧客を理解しているポジションに立つのと同義なので、活動を通して見えてきた顧客が抱える課題は積極的に他部署と共有していくことが大切です

3. 重要視すべきKPIは企業によって異なる

カスタマーサクセスとして設定すべきKPIは、自社のサービスや営業プロセスなどによって異なります

現在の会社の規模、サービスの契約数、メインターゲットなど、KPIを決める前に正しく把握しておくべきポイントはいくつもあり、KPIを設定する前に念入りな自社分析をすることは必要不可欠です。もちろん、KPI設定後の定期的な見直し・検証も忘れてはいけません。

また、同じ企業のサービスでも、既に売れている製品と新しくリリースした製品では全くフェーズが異なるため、すべてを一括りにして考えるのではなく、細分化してKPIを設定していくことも重要です。

カスタマーサクセスとしての転職を考えている方は、より仕事の本質を理解するためにも、表面上の仕事内容だけでなく、追うべきKPIをしっかりと把握しておくようにしましょう

4. まとめ

今回は、カスタマーサクセスとして成果を出すために、特に重要となる7つのKPIについて解説しました。

日本では比較的新しい職種でありながら、「顧客の成功」という可視化が難しいゴールを持つ職業なので、最初は分からない部分も多いかと思いますが、KPIを知ることでカスタマーサクセスという仕事の解像度を上げていきましょう。

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マーキャリ 編集部

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