前回に引き続き、アフターコロナにおけるビジネスを成長軌道に乗せるための重要なテーマ「マネジメント」について今回は2つのポイントを解説する。在宅勤務による労働環境やビジネスプロセスの変化による課題を解決する為に、企業としてマネジメントに対して何を要望するべきだろうか。
「会議を運営できないマネジメント組織」はもう通用しない
リモートによる在宅勤務環境が当たり前になった今こそ、「マネジメントの会議運営スキル」が組織の生産性を左右する。そもそも会議とは、
①特定のテーマについて意思決定する
②成果や目標を確認し、次のアクションを決定する
など、マネジメントが意思決定すべき「テーマや目的」、そして組織として目指す「成果や目標」が決定されている前提において機能する。
情報共有やコミュニケーションなど、リレーションシップを主体として会議運営されてきた組織は、会議体自体の見直しを迅速に行い、これまでのテーマについて真剣に考えなければならない。
「リレーションシップによるマネジメント」はもう通用しない
・人間関係やコミュニケーションを重視してきた「マネジメント」・業務環境に仲の良さや人間関係を重視してきた「メンバー」
マネジメントが今後注力すべきは、成果を上げることと、成果を上げる為に戦略や方針を決定することである。
もう毎日顔を合わせて、日々の行動や頑張りを観測することはできない。毎日時間をかけてコミュニケーションを取りながら、インプットを繰り返して育成することもできない。
できることは、メンバーの自立行動を引き出して自立した成長を実現させることだけだ。その為には、戦略と方針を決定し、メンバーがやるべきこと、考えるべきことを明示することだけだ。
しかし、明示するだけでは足りない。
業績や事業スピードを勘案し、リーダーとして先導しなければならない。結局のところ、ピンチをチャンスに変えるにはマネジメントがリーダーシップを発揮して先導する以外に方法はない。
コロナウィルスの有事を乗り越える為には組織のマネジメント強化が最優先課題
有事を乗り越えた後、あらゆる企業が考えなくてはならないことは、経営やマネージャーが組織の生産性を高める為のマネジメント体制を確立することである。これまでのキーワードを整理すると以下となる。
・メンバーの主体性を高める
・戦略と求める成果を明確にする
・求める成果に対して複数のモノサシを設計する
・マネージャーが組織の先導力を身に着ける
経営にとっては、マネージャーが先導しなければならない、または定義設計しなければならないミッションを明確にすることだ。
特に「主体性」というキーワードは強力である反面非常に危険な言葉でもある。「主体性」は時にマネージャーに容易な逃げ道を作ってしまう。メンバーの成長の為、組織の為、メンバーの主体性に委ねたい……主体性を引き出すこととマネージャーがすべきことを曖昧にすることは全く意味が違う。主体性だけを高らかに叫び、戦略や成果、モノサシが曖昧な組織は非常に危険だ。
逆に成果やモノサシが細部まで明確に設計され、運用されている組織は強い。有事の際にもリスクを迅速に発見し、メンバーミッションとも紐づいている為対応も迅速に、かつ場所を選ばずに進めることができる。これは営業でもマーケティングでも、財務や人事、あらゆる部門で共通だ。
今回のコロナウィルスによる経済危機は、経営やマネージャーはもちろん、メンバーにとっても、自分自身が求められている成果やモノサシが何なのか、今一度考えてみる良い機会なのではないだろうか。
■河村 芳行Profile
現在170名のマーケターを取りまとめている株式会社エムエム総研の若き取締役。
着実にキャリアを重ね、入社10年にして現取締役として会社を牽引する傍ら、2018年に新規事業部署であるメディアプラットフォームDivの責任者に就任。
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