この記事では部下の状況に合わせた育成方針を考える際に有効なフレームワーク「WILL SKILLマトリクス」について詳しく解説しています。 人は十人十色でスキルだけでなくモチベーションも異なります。それぞれのメンバーに合わせたマネジメントのために、ぜひ「WILL SKILLマトリクス」を取り入れてみてください。
WILLとSKILLの意味
「WILL SKILLマトリクス」におけるWILLは「やる気」を、SKILLは「能力」を表します。以下の図のような四分割した四角にメンバーそれぞれを振り分け、どのような状態にあるかを把握することで、チームとしてさらに成果を出すために適切な働きを考察するヒントにします。それぞれのメンバーは能力が異なれば、仕事に対するやる気も異なるはず。すべてのブロックにメンバーを振り分ける必要はないので、ひとりひとりの状況を客観的に判断して振り分けていきましょう。
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WILL SKILLマトリクスのそれぞれのブロック
ここからはそれぞれのブロックの意味を解説していきます。
右上のブロック:権限を委譲する(任せる)
右上はWillもSkillもある人材、つまりやる気も能力も兼ね備えているいわばチームのエースである人物が該当します。現状で上手くいっているわけですから、上司からのてこ入れや指示は返ってジャマになってしまうこともあります。ある程度好きなように行動できるようにリーダーなどの役割を与えたり、思い切って任せたりすることが重要です。
とはいえ、全くの放置では相手から期待されていない、信頼されていないと思われてしまう恐れがあります。きちんとコミュニケーションを図って期待をしているということを伝えモチベーションが維持できるような働きかけは必要になるでしょう。その際はレベルの高い要望を常に伝えることで、相手が現状に満足しないような工夫も忘れずに行ってください。
左上のブロック:指導する
左上のブロックは、WILLはあってもSKILLがない状態です。やる気はあるわけなので、スキルが身につくようにフォローをしたりアドバイスを行うことが重要です。特に新人の場合は、実際に見本を見せて指導することが重要になります。スキルは、教えないと身につかないのである程度しっかりと時間をかけて育てていく必要があります。相手のモチベーションを保つために、できているポイントをほめるなどの工夫を行いましょう。
右下のブロック:やる気を出させる
右下のブロックはWILLは低く、SKILLは高い状態です。技術は高い反面、やる気があまりないのでやる気を出させること注力していきましょう。4つのブロックのうち、マネジメントは難しい部類にあたります。技術の高さから一定の成果をあげるので、プライドも高くなりがちです。そのため、上司からの指導に真摯に耳を傾けようとせず、自分のやり方でやるというタイプが多いです。
このようなタイプの人材への対応は、いかにモチベーションを高めてもらうかが重要になります。ほめられたいタイプなのか、責任感を覚えてやる気を出すタイプなのかは人それぞれですので、声かけの仕方も正解がありません。なるべくコミュニケーションを密にとったり、場合によっては本人に具体的な要望を聞いてみたりしてもよいでしょう。
左下のブロック:命令する
左下のブロックはWILLもSKILLもない人材が該当します。技術がないのにやる気もないのなら一定のレベルに到達するまでは上司が細かく命令、指示出しをして強制的に業務を行わせるようにしましょう。スキルを身につけてできる仕事が増えていくにつれてモチベーションが高まっていくパターンもあります。新人でない場合は後輩の指導役にするのも効果的です。それぞれのメンバーを4つのタイプに振り分けて考えることでメンバーごとに適したアプローチが可能になります。実際には右上と右下の中間、左下と左上の中間といったこともあるでしょう。
「WILL SKILLマトリクス」はフレームワークに過ぎず、実際にどうアプローチするかは画一的にはできないでしょう。しかし、4つのブロックに分けることである程度の方針は見えてくるもの。ぜひ「WILL SKILLマトリクス」を実践してみてください。
WILL SKILLマトリクスは自分のキャリアを考えるのにも有効
WILL SKILLマトリクスは基本的には部下に対しての育成方針を考える際に用いるものです。しかし、同様の方法で自分のキャリアプランを考える際にも利用できます。 自分がしている仕事は4つのブロックの中のどのポジションにあるかを考えることで、キャリアプランを見つめ直すのに役立ちます。WILLをやりたい仕事、SKILLをできる仕事と考えて検証していきます。どのようにそれぞれのブロックを考察するのかを確認していきましょう。
右上のブロック
このブロックはやりたいことで得意なこと。つまり「やりたいこと」と「したいこと」が一致している状況です。いわば天職ともいえる理想的な仕事に就けていると考えられます。
左上のブロック
やりたい仕事に就けているが、まだ技術が追い付いていなかったり得意ではなかったりする状況です。理想を実現するために試行錯誤をしている段階と言えるでしょう。
右下のブロック
やりたい仕事ではないが、得意な仕事をしている状況です。得意なことなので成果は上がっていますが、本当にやりたい仕事なのかと自問自答する必要はあるでしょう。
左下のブロック
やりたい仕事でもなく、得意な仕事でもないという最も望ましくない状況です。ストレスばかりがたまるので転職を検討した方がよいでしょう。
キャリアには正解がありません。やりたい仕事をすることだけでなく、自分が周りに貢献できる得意な仕事を選ぶことも決して誤りではありません。キャリアを考える上で最も重要なのは後悔をしないものにすること。ぜひ一度自身のキャリアを考える際にも「WILL SKILLマトリクス」を活用してみてください。
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