• 2020/09/10
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キーエンスの営業力の秘密を徹底解剖

  • マーキャリ 編集部
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目次

国内で営業に強い会社と言えば、どこの企業を思い浮かべますか。光通信でしょうか、もしくは野村證券でしょうか。今あげた会社はB2C営業のため誰もが知っているでしょう。しかしB2B企業にもかかわらず営業で有名な会社があります。キーエンスという会社です。


キーエンスは他社では考えられないほどの営業利益率を誇っている分、相応の成果を得られることで話題になりました。本記事ではキーエンスの営業力の強さから、どのような方法で営業をしているのかについて紹介します。


キーエンスとは

キーエンスとは本社を大阪に構える東証1部上場企業です。自動制御機器を製造販売しています。具体的には、工場の自動化を図るセンサー等を企業毎に製造販売しています。身近なところで言うと、スマホバッテリーの注意書きをレーザーにて印字する技術を提供しているのがキーエンスです。


キーエンスの平均年収は2000万を超えており、国内の企業においては、上場企業年収ランキングや生涯報酬金額で1位となっています。1位の理由は営業利益率の高さです。


一般的な企業の営業利益率は約5%と言われています。成長著しい企業となると30%を超えることもあるでしょう。しかしキーエンスの営業利益率は約55%です。キーエンスの設立は1974年なので、創業してから約50年近く経つ計算になります。


これだけ歴史があり、毎年50%以上の営業利益率を計上している企業は他にはありません。この営業利益率の高さを維持しているのはキーエンスの営業力と言われています。

※営業利益率とは売上高から原価と販管費(人件費など)を引いた営業利益の売上高に対する割合のことです。本業の儲けを表す指標として注目することが多いです。


では次章よりキーエンスの営業力の強さについて説明していきます。 

キーエンスの強みとは

キーエンスの強みは2つです。企画開発力と営業力です。それぞれ簡単に解説していきます。 

企画開発力

キーエンスでは世界に1つだけの商品が数多く誕生します。新製品の内、世界初や業界初が全体の70%を占めているほどです。世界初の商品を作り続けられる理由はキーエンスの生産体制にあります。一般的なメーカーでは自社工場を保有し、同じ商品を効率よく量産できるラインを築きます。


しかしキーエンスでは自社工場を保有しておらず、新商品に合う工場にアウトソーシングします。商品ごとにアウトソーシングすることでクライアントの要望にも柔軟に対応でき、世界初の商品を作り続けられます。 

営業力

営業力はさらに2つに分解できます。コンサルティング力と営業プロセスです。 

コンサルティング力

キーエンスの営業マンは物売りをしません。企業毎にコンサルティングをします。どんなニーズがあって、どのような解決方法がよいのか営業マンはヒアリングから提案までします。もちろん企業毎に抱えている課題は違うため、キーエンスの唯一無二の商品が後押しとなり高度なコンサルティングを実現しています。 

営業プロセス

キーエンスではどの営業マンでも成果が出るような徹底的な営業プロセスが用意されています。そのため新入社員であっても、このプロセス通り行動すればいずれ結果が出てくる仕組みになっています。



営業の具体的な手法

それではキーエンスは具体的にどのような営業をしているのか3つの視点から解説していきます。3つの視点とは営業体制・営業プロセス・評価体制です。 

営業体制

キーエンスの特徴的な営業体制は直販制度を採用していることです。直販とはクライアントと直接やりとりする方法です。


一般的なメーカーでは代理店や販売会社に営業を任せることが多いです。理由は企画と開発に注力するため、営業にコストが回せないからです。コストが割けない分、効率的に販路拡大する必要があります。そのためにはすでにクライアントとの関係性がある代理店に依頼する方がコストもかからず効率的に販路拡大できます。 代理店はこのようなメリットがあるにもかかわらず、キーエンスではあえて直販体制を築いています。理由はクライアントとの距離感を大事にしているからです。直販の強みはクライアントと直接やりとりができる点です。直接話すことでクライアントのニーズも細かく拾い上げることができます。


キーエンスではクライアントの隠れたニーズを見つけ、課題に合わせた最適な提案をするのが強みです。そのためコストはかかってしまうが、あえて直販体制を築き営業活動しています。 

営業プロセス

営業プロセスについて紹介する前に、人材事情について解説します。キーエンスの営業職では転職などの中途採用からは基本的に募集をしていません。新卒の学生を中心に採用しています。理由はキーエンスの風土や文化をいち早く浸透させるためです。


また優秀な学生を採用するために面接方法も変わっています。1つ1つの選考のフェーズにおいて意味を持たせ、学歴だけには頼らない採用活動をしています。例えば説得面接と呼ばれているものがあります。これは逆の考えを持ってもらうために説得する話術が要求されます。現金派の人に対してクレジットカード派になるように説得するなどがこれまでの題目であったようです。


こうした厳しい面接をクリアした学生のみキーエンスへの切符が渡されます。それでは以下より営業プロセスについて紹介します。 

無駄の削除

生産性を高めるために無駄の削除をします。無駄とは売上に繋がらない行動を指します。例えば、決裁者以外の人を追い回すようなことはしません。まず決裁者と商談できる場を作ってから、提案をします。他にも営業マンは提案資料を作ることはありません。別の部署の方が資料を作成し、それを適宜タブレットから取り出し提案するスタイルです。 このようにキーエンスの営業マンは売ることに一番重点を置いた活動を求められます。 

プロセスの数値化

プロセスの数値管理が徹底されています。一般的な営業ではよくこれまでの経験に基づいて営業をすることが多いでしょう。しかしキーエンスの営業は科学的に行っています。 優秀な営業マンを軸に、どのようなアクションを何回すればよいのか明文化されています。プレゼンに至るまでに何回会ったのかやこれまでに何回電話でやりとりをしているかなどです。


そして1日の終わりには必ず日報を記入します。日報は1日の活動内容を分単位でチェックされます。整合性が取れていない行動については上司から指摘が入りすぐに改善されます。 このようにキーエンスでは徹底的に時間を管理された営業活動の基、誰でもノルマを達成でき、高い営業利益率を叩き出すことを可能としています。 

評価体制

最後に営業マンのモチベーションを左右する評価体制についてです。前述している通りキーエンスの給与水準では上場企業と比べても高い給料となっています。それを可能にしているのはまず相対評価を採用していることです。相対評価なので周りが成果を上げている期間ではそれ以上に上げないと評価をされないことになります。そのため売上が上がった分だけ支払われる仕組みです。


給与水準については7段階のクラスで決まります。そのため同じクラスの人はライバルになります。しかしキーエンスの文化は全員で協力して売上を出していくスタイルのため、誰かの足を引っ張るということは決してありません。


そして評価についても相当な時間をかけて評価します。正当に個々人を判断するための上司の重要な責務でもあります。このような評価体制がキーエンスの営業マンを支えています。

まとめ

キーエンスではB2B企業ということもあり、大衆に向けての広告も少なく、いまだ謎に包まれているところも多いです。しかし高い営業利益率を計上し続けるためには、営業マンのたゆまぬ努力が感じられたことでしょう。ぜひ真似できるところは真似してみてはいかがでしょうか。

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