
過去に作成したマネジメントに関するコンテンツを精査して、エムエム全体としてのマネジメントシステム資料を、コンサルタントの方と作成中です。
エムエムには、経営目的や戦略などを言語化した「クレドブック」をはじめ、方針に関する多くの資料があります。しかし今回は、そもそもなぜその考えに至ったのかという背景も含めて、あらためて整理し直しています。創業者なので、私自身の人生観や価値観もそこには反映されていると思います。このプロセスを通じて、いくつかの気づきがありました。
企業観――「トリプルウイン」
経営目的の一つとして言語化されている「トリプルウイン」では、企業の役割や存在意義を以下のように定義しています。
「企業は、顧客へ価値を提供し、働く人へ成長機会を生み出し、その結果として事業を持続的に成長させる存在である。この三者を対立させず、関わる人すべてにとって持続可能な価値をつくること」
この「関わる人すべて」には、株主やパートナーの皆さまも含まれる概念です。
子供の頃から歴史が好きで、たくさん本を読みましたが人類の歴史は、戦争の歴史とも言えます。誰かが誰かを支配し、そして支配された側がいつかまた逆襲して、それを繰り返す。今、世界でもそういった過去の歴史の流れの中での紛争が起きています。
人間も動物ですから、結果的には弱肉強食的な勝者と敗者の関係になるのかとも思いますが、結局負けて支配された側の思いや意思は時代を超えても引き継がれ、いつかそれが報復につながるのではないでしょうか。
個人的には、支配をしたくも、されたくもありません。100%は難しいですが、登場人物がみんな幸せになるようなことができなかったのかと、幼少の頃から歴史の本を読みながらそう思っていました。もちろん食料がなくて、生きていけない、生きるための奪い合いあいのような状況になればしょうがないこともありますが、ある程度経済的な発展を遂げた状況であれば、全員が幸せになる可能性はあるのではないかと思うのです。
働くようになってからは、営業の仕事に就きましたが、業績そして評価のために、顧客のためにはならない営業活動をしなければならないことも多く、これって長続きするのかなという疑問をいつも抱いていました。成長のために適度でフェアな競争環境は必要かと思いますが、短期的な視点での競争の結果や、それによる形式的な役職や肩書を振りかざし、傲慢な態度をとる人たちもいて、個人的には嫌いでした。 そうした経験を経て会社経営を始めましたが、いろいろな局面で悩んで判断してきて、いまの形になったと思います。
人材観 ――「自ら選択し、その結果を引き受ける」
人材観としては、「人は、自らの価値観と目的に照らして選択し、その結果を引き受けることで成長する存在である」と性善説的な見方をしています。人は経済的な事も含め、心理的な安全性があって、自分の価値観に合う仕事であれば、自らの意志で努力をしてくれると考えています。
以前、なにかの記事で読んだ話です。すしざんまいの社長さんがソマリア沖の海賊の人たちに魚を捕る漁のやり方を教えて、彼らは仕事ができるようになると、海賊をやめる人も多数いたということです。食べるために他の選択肢がないので海賊していた人もいたと思うので彼らに機会と情報を与えることは大切なことだと思いました。
経済的な豊かさは、人生において生活をするために最低限は必要ですが、それ以上は人によって幸せの価値観はさまざまなので一様ではないと思います。個人的には、お金は目的ではなく自分らしく生きるための手段だと考えています。
エムエムでは「人生観と仕事観の融合」という考え方があり、多くの人は人生観の方が仕事観より上位な概念になるはずです。仕事のせいで人生を台無しにするような判断をすることや、そうした状況に企業が追い込んでしまうことはあってはならないことだと考えています。
会社も同じで、業績を上げて財務状況を健全な状態でキープすることは大切ですが、それ自体は決して目的ではありません。あくまでも持続的な成長のため、そして有事の際に選択肢を持てるようにするための、経営者としての責任かなと思っています。

■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。