
教師を目指している大学生と最近知り合いました。専攻は国語らしいのですが、国語を学ぶ意味を生徒に伝えるのが難しいと話していました。英語は、学ぶことで外国の方と話せるようになるという具体的なメリットを感じやすいですが、国語は、日本語をすでに日常的に使っているため、改めて学ぶ価値を感じにくい生徒さんもいるようです。
個人的には国語ではなく、コミュニケーション系の教科名にした方がよいのではと思います。言語である日本語を学ぶというよりは、どう言語化して活用し、他者とコミュニケーションをとるかが重要だと思うからです。そのために、一つ一つの言葉の意味やその使い方、行間を読む力なども学ぶことが大切ですね。
TikTokで見た情報ですが、大昔、私たちホモ・サピエンス以外にも人類がいたようです。結果的に生き残り繁栄したのは、私たちホモ・サピエンスだけになりました。当時ネアンデルタール人という種族がいて、ヨーロッパを中心に繁栄していた時代もあったそうです。
ネアンデルタール人も複数の人々が集まって集落を作り、生活をしていたようです。しかし、彼らが作ったグループは30人~50人くらいが上限で、それ以上の大人数なグループにはならなかったようです。結果、人類が築いた国のような組織形態にはならず、集団としてのメリットを生存競争の中で享受できず、生き残れなかったという説もあるようです。
ここには言語の力が関わっているようです。ネアンデルタール人にも言語はあったようなのですが、「危険だ!」とか「獲物がいるぞ!」みたいなことを伝えられるレベルだったようです。集団が生き延びていくために必要な考えを物語として言語化し、組織の中に共通概念を作っていく。そういった力は、ホモ・サピエンスだけが培うことのできた能力のようです。結果として、私たちは国を作り、もちろんそれによって戦争が起きるなど、よいことばかりではありませんが、現在の人類としての繁栄につながったのだと思います。
この30人~50人という人数は、私自身が起業して組織を作ってきたプロセスにもつながる感じがあります。実際、会社を創って、50人の壁を超えるのに13年かかりました。事業環境も含めての結果ですし、一概に人数が多い方がよいわけでもありませんが。
当時、社員が20名くらいの時を思い出すと、実質的には私が全部判断して決めていて、メンバーはその通りに動いてくれる感じでした。一方で、私がいない時に、現場で柔軟に本質的な判断がされることは少なかったように思います。
十数年たって、社員が50名近くになった頃から、会社の経営目的等を言語化することに注力しはじめました。その後、さまざまな方針や戦略を言語化し、この「はりこらむ」もその一つになっていますが、経営としてのメッセージを社内外に定期的に発信するようになりました。現状は当時に比べれば、経営目的や戦略を理解し、価値共有した一人ひとりの社員が、現場で判断して働いてくれるようになっていると思います。
また、言葉はラベルであって、人によってその捉えている意味が違います。50人以上の組織が生き延びていくためには、大事なことを言語化して、それについての解釈や捉え方についても継続的にコミュニケーションをとり、時間はかかりますが少しずつ組織における共通概念を育んでいくことが重要だと考えています。

■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。