• 2026/05/01
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はりこらむ 第145回「生産性の視点ではなく効果性の視点~労働デフレに負けない価値を創造する~」

  • 萩原 張広  
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生産性の視点ではなく効果性の視点
~労働デフレに負けない価値を創造する~

 ⇒第144回「AIがどんなに進化しても天気予報は100%当たらない!~大谷選手の準備の意味~」はこちらから


 Netflixの料理ドラマで、「レシピが持ち出されても大丈夫。結局、作る料理人が勝負だから」という話があります。情報がオープンになっても真似できない、人間に付随する価値。AIの時代は、ここが一番重要になるのではと思います。

 多くの人が喜ぶサービスを再現性のある形で提供することが成長には必要、という考え方が主流の時代が続きました。その結果、何か特別なことができる人がいても、「それって再現性あるの?」とネガティブな扱いを受けることもあったと思います。一方、現場での成功事例を標準化しようとしても、結果的には個別対応しなければならない事象も多く、成果が出ないこともあったのではと。

 AIの時代は、むしろ逆の発想が大切になるのではと個人的には思っています。特定の人にしかできないことを積極的に探して、その価値を最大化するためにAIを活用することですね。生産性(時間あたりのOutput)を重視した発想は、一度捨てる勇気も必要だと思います。とにかくお客様が喜ぶとか、とてつもなく美味しいとか、感動するとかに着目し、その価値を出すのにどのくらいの個別性や時間がかかるということを、一度考えずに見る感じですね。そこに、人が働く楽しさやワクワク感があるのだと思います。

 今読んでいる本に経済学者のケインズの話が出てきます。今のような時代になることは、ケインズはすでに予見していたようです。ケインズ曰く「いつか物質的な経済課題は解決する」。食べることや住むことや着ることなど、生きるために必要な最低限の物質的な価値の創造や労働はいずれなくなるということですね。そういった時代になると、それでも経済を回さないといけないので、雇用をつくるために「穴掘って、それをまた埋める」などの意味のない雇用が提供される事になるだろうと予言しています。ちょっとこれは悲しいですね。

 この先の時代の答えはまだわかりませんが、人として発揮できる価値をみつけ続けること、そこに人生の喜びもあるのではと個人的には思っています。実現するためには、自分と違う価値を創造できる他者をリスペクトできる感覚が重要ですね。その人自体の良し悪しや好き嫌いよりも、その人ができることを素直に客観的に見ることですね。そういう人がたくさんいて、一方でそういった人が価値を発揮できない“標準化された仕事”はAIが担っている--そんな会社がこれから生き残れるのではないかと思います。

 経営者視点で、会社事業の運営をコンサルがよく使うフレームで整理すると次のようになります。
①戦略=全社的な戦う計画(方向を決める/何をやらないか決める/誰に価値を届けるか決める/理念や文化を創る)=経営者としての意志・価値観
②戦術=具体的な戦い方・武器
③戦闘=日々の実務
上のレイヤーほど、人間の介在価値は高くなるのだと思います。なぜなら、①戦略は「個別」だからです。
・会社ごとの強みが違いますし、組織や人間関係も違います。②以下も全部がAIになるのではなく、特定の人の経験やスキルが必要な領域は、レイヤー毎に人とAIの比率の違いとして残っていくのだと思います。

 どのレイヤーにおいても、まずは人の介在価値を見極め、その価値を活かすためにAIを活用することで、会社事業全体としての付加価値を高められるのだと思います。AIを生産性の視点だけで捉え、標準化目的にだけに使ってしまうと、労働価値のデフレだけが進み、際限のないコスト競争に巻き込まれてしまうのではないかと懸念しています。

■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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