• 2026/04/03
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はりこらむ 第143回「経験を成長に繋げること ~ひとりよがりでアバウトな振り返りにならない~」

  • 萩原 張広  
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経験を成長に繋げること
~ひとりよがりでアバウトな振り返りにならない~

 ⇒第142回「責任が重く孤独なリーダー~潜水艦の艦長~」はこちらから


  エムエムを起業して30数年、「どうしたら人は成長するのか」はずっと命題です。今もその課題に取り組んでいる感じです。人は経験しないと成長しないというのは一つの答えなのですが、同じ経験をしても成長する人、成長に時間がかかる人、経験がマイナスに働いて成長の阻害になる人もいるというのが実感です。

 経験を成長に変える重要な要素として、経験すべきことにどう向き合い、またその結果をどう振り返るかだと思っています。仮説を立てずに、とりあえず経験し、分かりやすい方法で動き始めてしまう人もいます。未知なことが多く「まず動いてみる」という場数が必要な状況はあるかと思いますが、多少なりとも想像できる状況なら、「これをしたらこういう結果が出るのでは?」という仮説を持っていることが重要です。仮説を持つか持たないかで、経験後の学びが大きく変わるからです。

 また結果が出た後に、その仮説の検証も含め複数の視点で振り返る事が重要です。自分の視点だけでなく、お客様の視点、上司の視点、関係スタッフの視点、短期そして長期で見た視点で自己評価をした上で、他者とコミュニケーションを取り、他者評価とのすり合わせを行うことが大切です。自分だけの視点と短期成果だけで振り返ってしまうと客観性がなくなって、「ひとりよがりの振り返り」になってしまうことがあります。

 その事象でのプラス面もマイナス面も、感情的な思い込みやトラウマになり、「あの通りやればうまくいく」「あんな事は二度とやらない」など、同じ状況ではないのに次の機会で柔軟な対応が出来なくなり、経験したことがかえって成長を妨げることにもなり得ます。

 また、振り返りの時に成長のための自己課題を具体的に認識することもとても重要になります。アバウトな言葉で自己課題を設定するのではなく、高い解像度で自己課題を設定することがその後の成長に大きく影響します。例えば、「プレゼンがうまくいかない」→「プレゼン力の向上が自己課題」のような解像度ではなく、さらに因数分解して、そもそもプレゼン前の顧客課題認識の問題なのか、解決策の選定の問題なのか、それを表現する資料作成の問題なのか、プレゼン時の説明の仕方の問題なのか、というように切り分けることです。自己課題設定が詳細であるほど、解決のためのアクションプランも具体的になるので、結果的に成長する確率も高くなります。「野球がうまくなる」という自己課題設定のままで野球がうまくなった人はいないと思います。どうやって自分なりの詳細な課題に置き換えるかが重要ですね。

 振り返りの機会は、エムエムではとても大切にしています。マネジメントが人(他者)を育てるのではなく、「意志ある人材に機会と情報を与えることで結果的に人は成長する」というのが人材に対する基本的な考え方です。エムエムでは、評価を「処遇や昇進のためにだけに行うもの」ではなく、「成長するための機会の場である」と定義しています。通常、半期に1回、振り返りと目標設定が行われます。それ以外にも「振り返り」という言葉は社内でもよく使われ、プロジェクトが終了した時や、アカウントを持っているメンバーは全員、四半期に1回、私も参加する形で自己成長のためのミッションの振り返りミーティングをしています。

 下記は最近勉強している人材成長に関するコラムにあった文言です。
「人が大きく成長する瞬間には共通点があります。それは、外から新しい情報が与えられた瞬間ではありません。“自分の内側で、世界の見え方が変わった瞬間”です。成長を本質的に支えるのは、知識ではなく“認知の変化”です。」

 外部からの情報を得て、自己客観性を持つ中で、自らの意志で自分と対話し、何らかの認識や見え方が変わった時に、初めて人は成長の機会を掴み始めるのだと思います。

■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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