• 2020/12/11
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サプライチェーンのデジタル化は可能?製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)について

  • マーキャリ 編集部
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この記事では、現在製造業において求められているデジタルトランスフォーメーションの波について、どのような取り組みが行われていて、どのような点が課題となっているのかについて解説しています。用語についての解説もしてありますので、製造業について詳しくない方やこれから就職・転職で製造業界を目指す方にも読みやすい内容になっています。 ぜひ最後までご覧ください。

製造業を知る上で理解しておきたい「サプライチェーン」

サプライチェーンという言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。直訳すると「供給の鎖」となりますが、製品を作って顧客や消費者の手元に届くまでの流れのことをサプライチェーンと呼びます。もう少し詳細に言えば製品を作るための原材料や部品の調達から製造、在庫管理、配送、販売、消費、そして場合によってはアフターサービスに至るまでの活動全体がサプライチェーンです。


アパレルメーカーで考えれば、服の企画をし、それを生産するために生地を取り寄せ、縫製工場でサンプルを制作、そして何度かのチェックを経て商品化し、工場に発注をかけ、工場から小売店へ、小売店から商品を購買する消費者へという流れになっています。


サプライチェーンという言葉を使うときに重要なのは、自社だけの話ではないということ。アパレルであれば、生地を卸している企業や縫製工場、小売店との関わりは無視できません。    

サプライチェーンの情報の流れ

サプライチェーンを考えるときには、製造する商品だけでなく情報の流れも重要だとされています。製品は生産者から消費者へ流れていきますが、情報は消費者から生産者へ流れていきます。ここでいう情報とは、例えば商品に対する口コミや意見などといったものを指します。これらの情報は商品のマーケティングを考える際に非常に重要な要素になります。モノの流れと情報の流れ、2つの流れがサプライチェーンにはあるわけです。

製造業におけるデジタルトランスフォーメーションは、サプライチェーンのデジタルトランスフォーメーションのこと

生産したものを供給する流れであるサプライチェーンは、製造業において業務のほとんどを占めています。近年注目されているデジタルトランスフォーメーションの推進を、製造業にあてはめると、それはそのまま「サプライチェーンをデジタルトランスフォーメーションすること」だと言えるでしょう。


サプライチェーンには製品を消費者の手元に届ける「モノの流れ」と、消費者から上がってくる口コミや意見、評価といった「情報の流れ」の2つの流れがあります。この2つの流れを管理(=マネジメント)することをサプライチェーンマネジメント(SCM)と呼びます。たとえばモノの流れを管理して在庫を減らそうとしても、単純に作る数を減らせばよいという話ではなく、仕入れ・在庫管理・販売管理といった複数の部門にまたがった問題になります。そのため、サプライチェーンマネジメントをするためには組織全体の連携体制を築くことが必要となります。    

サプライチェーンマネジメントに取り組むメリット

企業全体でサプライチェーンマネジメントに取り組むことにはメリットとデメリットがあります。まずはメリットから確認していきましょう。



・在庫管理の最適化


製品を作る側にとって、もっと注意したいのは在庫を抱えすぎないようにすることです。在庫が多くなればなるほど手元にお金が残らなくなるので、経営に支障が出てしまいます。かといって、在庫を抱えないようにすれば、欲しいと思っている人に行きわたらず他社に流れてしまうでしょう。在庫は多すぎても少なすぎてもいけないというバランス取りが重要になります。


適切な在庫管理を行うためには、在庫が足りなくなる欠品である状態を減らし、売れ行きデータに基づいて、適切な量だけを適切なタイミングで供給することが求められます。そのために、販売状況や消費者動向といったデータをリアルタイムで生産部門に共有し、最適な量を生産しなければなりません。


また、スピーディに供給するためには配送体制を確保しておくことも重要です。部門を横断した情報連携ができる体制を整えることで、供給体制全体を見直すことにつながることがサプライチェーンマネジメントのメリットの1つです。



・売上の最大化


在庫管理の適正化ができれば、過剰な供給がなくなり生産体制に無駄がなくなります。その結果、売上や企業価値は最大化へと向かっていきます。



・人手不足の解消


人手不足は製造業に限らずあらゆる業界で向き合わなければならない問題となっています。その最大の理由は日本の人口減少にあります。超高齢社会である日本では、すでに人口の減少が始まっています。 人口の減少は、労働人口の減少の要因になりますので、あらゆる業界で人材の確保がこれまで以上に大きな課題となります。サプライチェーンマネジメントを行うことで供給体制の最適化ができれば、これまでより少ない人数で稼働できるようになります。

サプライチェーンマネジメントに取り組むことで起きるデメリット

サプライチェーンは、商品の生産から消費者に届くまでの流れです。そのためサプライチェーンの改善であるサプライチェーンマネジメントに取り組むためには、会社内の組織はもちろん場合によっては会社を越えた横断的な改革が必要になることも少なくありません。


コスト面はもちろんのこと、自社にとって最善のサプライチェーンが徹底的に考えぬくことにも大きな労力が伴うでしょう。部署や部門を越えたデータの一元管理を行うためには、新たなシステムの導入も必要になるはずです。

デジタルトランスフォーメーションとは何か

製造業においてサプライチェーンのデジタルトランスフォーメーションが求められています。とはいえ、デジタルトランスフォーメーションについて、はっきりとどういったものか説明できないという方が多いです。デジタルトランスフォーメーションとは何かについて、確認しておきましょう。


近年話題になっているデジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)は、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱されたものです。DTではなくDXと略すのは、英語圏では「trans」を「X」と略すことに由来しています。


デジタルトランスフォーメーションとは何かについて、経済産業省では以下のように定義しています。 「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」。


つまりは製品をデジタル化するといった取り組みではなく、「型にはまらずデジタルを使ってビジネスモデルに変革を起こすこと」と言えます。当然ビジネスとは企業や一般消費者に向けて行うものですので、企業内だけでなく社会全体に変革が起きることになります。


よくある誤解としては「デジタル化=デジタルトランスフォーメーション」というものです。環境の変化に適応するための手段としてデジタルのテクノロジーやツール、データを活用することがデジタルトランスフォーメーションの本質です、デジタル化はあくまでデジタルトランスフォーメーションの推進を図るための1つのステップにすぎません。この点については誤解がないようにしておきましょう。たとえばオンライン商談ツールやWeb会議を導入するといったことはデジタルトランスフォーメーションではありません。    

デジタルトランスフォーメーションが進まないとどうなる?

経済産業省はデジタルトランスフォーメーションの推進についての具体的方策を盛り込んだガイドラインを発表するほど、デジタルトランスフォーメーションを積極的にすすめようとしています。これは、デジタルトランスフォーメーションが進まないことにより、日本企業全体が大きな経済損失をこうむることが予想されているからです。


日本企業がデジタルトランスフォーメーションを進める上で課題となっているのは主に以下の2つです。



課題1:既存システムの複雑化・ブラックボックス化


ほとんどの企業ではすでに何らかのITシステムが導入されています。しかし、それらの多くは事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができず、また過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化しています。


既存のITシステムは、数十年単位で同じものをカスタマイズしながら使っていることも珍しくありません。会社の中には「これはあの人にしか分からない」といったものが部署や業務を問わずあるものですが、それがシステムで起きているということです。長年同じシステムを使い、システムのブラックボックス化がすすむことでデータを活用しきれないだけでなく、新たな技術を導入しても効果が出にくくなってしまいます。



課題2:現場サイドの抵抗


デジタルトランスフォーメーションへのステップとして、既存のシステムを刷新し新たなシステムを導入する際には現場サイドからの抵抗が生まれやすいです。システムが新しくなることでブラックボックス化だけでなく業務の効率化にもつながるのなら、よいところだけのような気がするのにどうして現場の抵抗があるのかと疑問に思うかもしれません。


これはひとことで言うと「仕事のやり方が変わるから」です。新しいシステムを導入してもそれがまた20年後にブラックボックス化していては意味がありません。つまりはシステムの刷新と同時に業務自体の見直しも図ることが求められます。人は変化を好まないものです。慣れてきたやり方で続けていきたいと考える人は少なからずいます。そこで現場の抵抗や反発が起こり、デジタルトランスフォーメーションが進まないのです。


これら2つの課題が解決できないことは、単純にデジタルトランスフォーメーションが実現できないことで終わりません。2025年以降は現在の3倍となる年に最大12兆円の経済損失が起こる可能性があると予想されています。これが「2025年の崖」と呼ばれています。

サプライチェーンにどうやってデジタルトランスフォーメーションを起こすか

製品を作る工場は、ロボットや機械の力を借りてさまざまなものが効率化されており、すでにデジタル化は進んでいるのではと思う方もいるかもしれません。しかし、人間が行う作業をロボットや機械が代わりに行うことは、部分的にデジタルな面はあってもアナログな部分も多いです。たとえば縫製工場ではミシンが使われますが、人がミシンを使うことは機械化であってデジタル化ですらありません。デジタルトランスフォーメーションとデジタル化はイコールの関係ではありませんが、デジタル化がデジタルトランスフォーメーションへのステップであることは間違いありません。


在庫や生産数などの最適化を図るためのサプライチェーンマネジメントには、全社的なデータの活用が欠かせません。そのためには、既存のシステム・サービス体制すべてに別れを告げることが必要になるかもしれません。新たなシステムの導入には大きなコストがかかりますので、できる限り既存のシステムを使い続けていきたいという気持ちになるのは当然のことでしょう。


しかし、長期的に見ればデジタルトランスフォーメーションの推進が遅れることは、企業にとって大きなデメリットとなります。企業として競争力を失うことは、そのまま売上の損失を意味していますので、そのしわ寄せが従業員にもやってきます。


日本では今後人材の確保が急務となる未来がすぐそこまで来ているのにも関わらず、人材を放出してしまうことは本意ではないでしょう。システムの刷新にはコストがかかる、だからこそ本格的なデジタルトランスフォーメーションの推進の舵取りは経営陣にしかできないのです。既存システムのブラックボックス化を解決するためには、たとえ現場サイドの抵抗があろうとも強いリーダーシップを持てる経営陣の率先した行動が必須です。


「ITを使ってなんかやれ」といった言葉に代表されるような他人任せのマネジメントでは、望むような結果は得られません。経営陣にこそデジタルトランスフォーメーションを理解し、推進していこうとするマネジメントの姿勢が求められるのではないでしょうか。    

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