• 2026/02/05
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はりこらむ 第139回「標準化されたOutputが価値ではない。~AI時代の人の介在価値~」

  • 萩原 張広  
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標準化されたOutputが価値ではない。
~AI時代の人の介在価値~

 ⇒第138回「計画と実行のバランス~自分と向き合う時間が価値を上げる~」はこちらから


 起業後10年間ほど、私も営業兼納品者として現場で仕事をしていました。営業コンサルの一環として営業マニュアル作成の仕事をたくさんやらせていただきました。家電店の営業から始まり、通信系、化粧品やIT製品など、さまざまな営業の現場を取材して共通化できるノウハウを見つけて、マニュアル化していき、その中で多くの学びがありました。

 営業マニュアルというとトークマニュアルでOutputの方法をテキスト化するように思われがちですが、多くの優秀な営業パーソンを取材する中で、重要なのはOutputの標準化ではなく、顧客理解と見極め、そのための想像力とヒアリングスキル、そして商談を進めるうえでの留意点(陥りやすい失敗などの整理と対応)でした。むしろトークなどOutputにはそれほどの成功法則はありませんでした。

 営業トーク集を作成して、研修などで若手の営業担当に教えてしまうと、どんなタイミングでもそれを言えばよいと捉えられ、かえって失敗確率が高くなることもありました。一方、顧客理解の考え方や留意点、事前準備の方法をマニュアル化していき、研修などで営業担当の方に伝えていくことで、クライアント企業の営業成果は向上していきました。

 営業の最終ミッションは受注であり、サービス従事者の場合は顧客満足になると思いますが、サービス業に関してもこの考えは当てはまると思います。むしろ今後、生成AIの台頭によってサービス業においても標準化されたOutputの価値は相対的に下がっていくでしょう。そして、人としての介在価値は、顧客理解や個別最適なサービスの提供へと今後さらに移っていくことになると考えています。生成AIやRPAで業務の効率化を追求する一方で、昔からある日本の老舗企業のように顧客に対して個別かつ丁寧な対応を行うこと、また、そういった思想を持ってサービスを提供できる人材の育成が今後さらに重要になると考えています。

 「早い成長を求めて、やり方だけを標準化し『同じようにやれ』と指導しない」
 「お客様を理解する本質的な力を、時間をかけて育成していく」

 生産性を追求しすぎてやり方だけを伝えていくと、その通りにやることが目的化し、本質を理解して進められる人材が育たなくなります。何かあった時に柔軟な対応や新しいオペレーションへの改定の難易度が高くなります。

 顧客満足などの成果が最重要であり、やり方はそのための手段であり必要に応じて変えてよい。そうした本質を見て柔軟な対応ができる行動特性(コンピテンシー)を持った人材が育つ仕組みやカルチャーを創ることが、これからのサービス業にはさらに重要になると考えています。

■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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