• 2025/12/12
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はりこらむ 第135回「オープンであること~二面性を持たないことで生まれる信頼~」

  • 萩原 張広  
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オープンであること
~二面性を持たないことで生まれる信頼~

 ⇒第133回「大谷選手の未来ノート~成長課題の因数分解~」はこちらから


 起業前に働いていたリクルートには、「社長も新入社員も持っている情報は同じ」という考え方がありました。会社の財務情報も開示されていましたし、社内報が多数あって様々な情報が共有されていました。現状私が経営しているエムエムでも、働き方の3つの柱として「オープン・フェア・ファン」というものがあります。個人的にも「オープンですね!」と言われることが多いですが、私は二面性を持たないで人と接したいと考えています。仕事においても、情報操作をマネジメントに使わないということをとても大切にしています。オープンであることを働いている一人ひとりに対して100%要望しているわけではありませんが、社員同士の間でも、可能であれば二面性のない信頼関係を築いて欲しいと願っています。 以前、私が担当した新卒向けの研修中に、「みんな自分でちゃんと選択してこの会社に入って来たんだよね!」と聞いたら「いや実は本当は就職したくなかったけど親が『ちゃんと就職しろ』と言うから来ちゃった」と突然カミングアウトした人がいました。他の同期のメンバーも含め私もちょっとびっくりしましたが、本人とも話した上で、その後は契約社員として処遇を変えて残業のない状態で仕事ができるようにしたことがあります。親御さんにとっては就職した会社は継続できていて、一方で音楽への道を目指せる環境もできてよかったようです。また、そうすることで二面性のない状態になって、その後はオープンにコミュニケーションがとれるようになりました。 中途採用も含め面接時に本当の考えを100%確認することは難しい部分もあります。社員が入社したら、私がスタンス面の研修をやるのですが、その研修を通じて初めて本当の話をし始める人もいます。また、研修のプロセスで本当に自分のやりたいことが固まって、起業したり再度転職したりする人もいますが、それはそれでよいことだと考えています。  エムエムでは自身のキャリアアップなどについて上司と話せる機会も多く、よい形で転職していく人も多いです。お客様側の会社に転職して、その後お仕事の関係を続けている元社員も多数います。私自身、ちゃんとしたプロセスで退職していく人たちには、「卒業会食」をお願いしています。そこで聞く話は私にとってもいろいろな気づきにもなります。辞めた社員とその後に飲みに行く機会も多いですね。すべてのケースでそうなるわけではありませんが、在職中に二面性のない関係性が維持されてオープンにコミュニケーションが取れていると、そういったことが可能になるのだと思っています。もちろん個人情報などの問題もあり、すべてがオープンであることが望ましくない時もあるので例外事項も言語化して決めています。以下がその内容です。 「オープン」とは、一緒に働く仲間として、会社、事業、仕事に関わる情報共有 を徹底することです。そして、個々人の思いを、そのまま何でも言い合える、「本音の関係性」が重要だと考えています。疑心暗鬼にならず、仲間を信じて思い切り仕事をするためには、オープンな姿勢が不可欠と考えるからです。 ただし、情報開示することが適切ではないと考えられる場合もあり、 以下の例外事項を定めています。 ① その情報をオープンにすることが著しく個人の尊厳を損なうと 判断するとき。 ② 個々人のプライベート情報。 ③ その情報を理解するための受け手の知識、経験が不足しており、 正しく伝わらないと考えられるとき。 ④ 人事情報など、当該者や関係者に伝える順番等を配慮すべきとき。 仕事もプライベートもお互いの信頼関係の上にしか成り立たないと思うので、こういった姿勢は今後も続けていきたいと考えています。

■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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