• 2025/07/24
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はりこらむ 第125回「刺激と反応の間にはスペースがある! ~主体性を持ち反応的にならない工夫~」

  • 萩原 張広  
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刺激と反応の間にはスペースがある!
~主体性を持ち反応的にならない工夫~

 ⇒第124回「楽しむ事は続けられる秘訣 1万時間の法則」はこちらから


 エムエムが起業して間もない頃、バブルが崩壊しました。その際、メインの取引先であった上場企業の不動産会社が、政府の不動産総量規制の影響もあって倒産するかもしれないという情報が入りました。元勤めていたリクルートの友人からその話を聞いた私は、あえて会社にはいないようにして、近くのスポーツクラブへトレーニングに行きました。

 案の定、その日会社にその会社が倒産するという連絡があり、会社のメンバーは不安でいっぱいになっていたようです。予想どおり私に連絡がありました。(当時はまだ携帯がそこまで普及していなかったため、スポーツクラブの館内放送で呼び出されて、電話を取り次がれました)

 実はこの日は年末で、会社の忘年会も予定されていました。私は電話に出ると、「大丈夫、もう知っているし、対応策は考えてあるから安心して。忘年会にはみんな遅れないで来てね」と伝えました。実際のところは、友人からの連絡があった後、その時に進めていた銀行への初の借り入れの確認や、もろもろ資金繰りなどは計算して、しばらく時間は稼げる事を認識していました。

 当時のエムエムにとって、一月分の売上に匹敵する大きな金額が全く入金されない状態で、今後どうやって会社を運営していくか、具体的なプランはまだありませんでした。その後、心配するみんなに平静を装いながら、頑張って楽しい忘年会をしたのを覚えています。結果的には、借り入れや営業努力によってぎりぎりピンチをしのぐことができました。結局その1千万近い金額は回収する事は出来ませんでした。

 まだ会社を始めて間もない頃の私にとって、こういったピンチの場面でリーダーがどう対応するべきかについては、経験も含めてわかっていなかった部分も多かったと思います。ただ、それ以前のリクルートのマネージャー時代の経験から、リーダーが反応的になってはいけないことの重要性は認識していました。そういった経緯もあって、会社にその不動産会社の倒産の連絡が来るタイミングで、あえて会社にはいない方がよいという選択をしたのだと思います。

 今では、私の会社の研修でも参考にしている『7つの習慣』の中の主体性に関する文章に出てくる「刺激と反応の間にはスペースがある」という感覚を実践している感じです。例えば、人が何か悲しい事があったとして、それに対して涙を流すかどうかは自然な反応ではなく、自分で選択しているという考え方です。赤ちゃんが親の顔をみて、泣こうか泣くまいか瞬間一度考えてから泣き始めるみたいな感じの時ありますよね。少なくとも他者からの刺激に対して、自分ではもう選択できなくて、どうしようもないと考えるよりは、それに対しても自分で選択できる、主体性を持って決められると考える方が、その後の人生における効果性は高いということです。

 一方で反応的になっている時は、外からの刺激や情報に過敏になりすぎて、すぐに怒ったりイライラしたり。また、ちゃんと考えないで対応してしまい、後で後悔することにもなりかねません。

 個人的には、主体性を持てる良いコンディションを保ちたいと思い気を付けている事が二つあります。一つは、事前に可能な限り想定しておくこと。それも常に最悪の事態を想定しておくことです。前述した起業時の不動産会社の倒産も、連絡が来る以前よりバブル崩壊など世の中の状況からある程度は想定していました。それ故、事前に借り入れの交渉を銀行にしておくことが出来ていました。

 もう一つは、自分が反応的になるようなシチュエーションをできるだけ作らないことです。最近ではスマホに電話の着信があっても、ほとんど出なくなりました。親しい人や会社からの連絡がいきなり電話で来ることはないからです。アプリを入れているので、相手の番号が登録されていればわかるので、その番号でその時に思い当たる要件がある時だけ対応しますね。レストランの予約の確認とか。

 会社の電話も同じで、もう何年もデスクの前の電話は使っていないと思います。家の電話も同じです。現状、連絡はチャットやメールで来るケースが多いので、その事象に対して相手と向き合う前に準備することができます。つまり、「刺激と反応の間にはスペースがとれる」ということですね。相手のわからない電話の連絡って、出てみるとオートコールの営業電話や、最近では選挙、私個人にはM&A会社からの電話とかばかりですからね。

■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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