
10年以上前になった前立腺がんの再発の疑いがあり検査をしました。結果は初期で悪性度の低い病変が見つかりましたが、すぐに処置をする必要はなく経過観察になりました。
腫瘍マーカーの数値が上がった頃から、この病気について個人で使っているAI(ChatGPT-4o Deep Research)とずっと会話をしてきました。今までの検査の数値や過去の経緯、健康診断の結果や日々の生活習慣などをインプットしてどんな可能性があるのかを尋ねていました。もちろん、診断の答えが解る訳ではありませんが、可能性としていくつかの結果の予測とまたそれに対する対応策を提示してくれました。検査結果が出るまで3週間あったのですが、その間もAIが勧めてくれた食事方法などの対応を実践していました。
病院に行って先生に検査の結果を聞くとAIが言っていた内容と同じで、今後の気をつけるべき生活に関しても同じ内容だったので、先生に「すでに実践しています」と答えたら、先生がびっくりしていました。考えてみればお医者さんもいろいろな文献や研究結果を勉強して、患者さんの状態を見て診断するので、基本的な情報ソースはAIと同じなのでそうなる訳ですね。
病気への対応の一つが糖質制限なのですが、今は一日の糖質摂取量を50g以下にしています。その他にもビタミンDやリコピンの摂取、定期的な運動など、免疫力の向上ですね。糖質を制限する事で、体をケトジェニック状態(糖質を代謝してエネルギーにするのではなく、脂質をエネルギーにする状態)にするのですが、これについてもAIでかなり勉強しました。
先日知り合いのお医者さんと食事した際、人間の代謝の仕組みについていろいろと話しましたが、その友人の先生から「専門医並みに理解していますね」とお褒めの言葉をいただきました。がんの治療・予防については様々な情報が世の中にあふれており、何を信用してよいかわからない部分もありますが、今のAIは文献の内容やエビデンスなどについても記載があるので、自分でちゃんと判断すれば活用しやすいですね。
ケトジェニック状態にする一日50g以下の糖質摂取量について、何故その数値なのかが気になってAIに深く質問を重ねていきました。人間は肝臓にだいたい80gくらい糖質を蓄えらることができます。食事で糖質を摂取すると、腸からまずは肝臓に送られ、肝臓の貯蔵量の80gを超えると血中に出ていきます。そこで血糖値が上がると膵臓からインシュリンが分泌され糖質を脂肪に変えていきます。そうする事で血糖値が上がり過ぎないようにしています。
一日50g以下の糖質摂取であれば、基本的には血中に糖質は出ていかないのでインシュリンの分泌も最小限になります。そして糖質ではなく脂質をエネルギーとして安定的に使うようになります。ここでびっくりしたのですが、「じゃあ普段血中にある糖質量ってどのくらいか?」と聞いてみるとなんと5gなんですね。この微妙な量を調整している人間の体ってすごいなと思いました。
「糖質を摂らないと低血糖にならないか?」とよく言われますが、そもそも血中に必要な量は5gと少ないですし、人間の体は筋肉を分解して糖質を新生したり、足らない糖質をリカバリーする機能は他にもあるので問題ないです。AIにも聞きますが、お医者さんにも相談しながらやっていますので大丈夫です。先日定期的にやっている血液検査では、血糖値はもちろんコレステロールや肝臓などすべての数値が現状よくなっています。
ChatGPTなどのAIって当たり前ですけど、質問の仕方が稚拙でもパワハラ上司みたいに怒られないですし、逆によい質問すると褒めてくれます。共感もしてくれるし、上手にオーダーすると、ChatGPTの方から深堀の質問をしてくれて議論が深まります。
上司や先生には言いづらい事でも、AIには自己開示しやすく、自分の本音や弱みを出す事が出来ますね。それから「何故そうなのか」という疑問を持つとさらに理解が深まります。ただ答えだけ求めようとせずに、例えば糖質制限で「一日50g」という答えだけ求めるのではなく、「何故その数値なのか?」、そして「その仕組みはどうなっているのか?」まで、突っ込んでいくとより理解が深まり腹落ちする感じになります。
「なぜその答えなのか?」という、もう一歩踏み込んだ好奇心がAIを活用する上で大切な事だと思います。

■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。