• 2025/03/07
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はりこらむ 第117回「会社を伸ばす社長と、潰してしまう社長~オープンの重要性~」

  • 萩原 張広  
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会社を伸ばす社長と、潰してしまう社長
~オープンの重要性~

 ⇒第116回「そのルール何のためにありますか?と聞かれて答えられますか?」はこちらから


  起業して35年になりますが、周りを見渡すと、成長して上場企業になった社長もいますし、一方で自己破産したり、行方不明になってしまった社長もいます。よく言われる事ですが、成功には一定の法則はなく、失敗(何をもって失敗とするかは解りませんが、会社の倒産や自己破産、事業が立ち行かなくなる事をここでは失敗とします)には、共通項の法則がある様な気がします。

 私自身は経営を指導できるほどの力量があるとは思いませんが、社長経験が長いので最近は経営に関するご相談を受ける事も多いです。結果的に事業が立ち行かなくなったり、自己破産した社長さん達には以下の3つの共通項があると感じています。

1.会計を知らない(勉強しようとしていない)
2.公私混同をしてしまう
3.親しい人に経営状況をオープンに相談出来ていない、もしくはそういう人がいない

1.会計を知らない(勉強しようとしない)

  経営者のことをあまり知らない人はびっくりするかもしれないですが、社長をやっていても会計について解っていない人は意外と多いかと思います。領収書や伝票を税理士さんに渡して、月次の決算もやらず、「売上が上がっていて、お金が回っているから大丈夫」という感じでしょうか。

  私個人的にも会社を始めたばかりの頃は会計について全然解ってなかったです。リクルートのマネージャー時代に営業所のPLは作成・管理していたので、PLについてはなんとなく解っていましたが、起業時最初から社員は3人いて、少ない創業資金で始めたので、資金繰りは最初からピンチでした。そのため初めから、売上よりも粗利益とキャッシュフロー重視の管理をしていました。これは会計を理解していたというよりは、生きるためにそうせねばという感じでしたけど、その後は独学で現場経験から会計を勉強してきました。

  会計を解ってないと、いざピンチになったときに自分の会社のBS的な信用状況やお金の時間的な猶予をちゃんと理解できてないので、対策が打てられずに立て直せなくなってしまう事が多いかと思います。

2.公私混同をしてしまう

  オーナー社長であれば自由なので、ともすると会社のお金と自分のお金の区別がつかなくなります。多少の「これは仕事でしょ」みたいな飲み食いを会社の経費で落とすくらいはよいですが、会社のお金を個人に回して投資を始めたり、まったく仕事に関係ない事にお金を使い始めるとやばいですね。 一方、個人のお金を会社に回しすぎて会計上解らなくなっているのも、逆の公私混同で会社の実力が解らなくなりよくない事ではと思います。

3.親しい人に経営状況をオープンに相談できていない、もしくは相談できる人がいない

  そして3つ目の共通項として、経営状況をオープンに相談できる親しい人(できれば経営や会計の知見がある人)がいない、もしくはいるのにオープンに出来ていない。個人的には、これが一番重要かなと思います。

  若い時に経営者になるとかっこつけたいのもあって、仲間うちには結構よい感じに見せていて、困難な状況を自分だけで解決しようとした結果、ダメになっていく会社もあります。

  事業なのでよい時も悪いときもあるかと思いますが、よかろうと悪かろうとその状況をオープンに相談し、アドバイスをもらえる仲間や信頼できる人がいる事が重要です。

  その人が経営や会計の事が解っていれば、1.の会計も学べますし、また2.の公私混同もよくない事なので、監視、抑止力にもなって発生しづらいと思います。

  逆に、公私混同を容認するような人は、個人的にはあまりよい相談相手ではないと思います。
ここらへんのリスクを補完する為に、上場企業やそれに準じる企業は監査役などの含めた監視機能があります。

  また、奥さん旦那さん、親や親友に経営状況をオープンにしないことについては賛否がありますが、個人的には親しい人だからこそオープンにすべきと考えています。よく「心配かけたくないから」みたいな事を言う人がいますが、殆どの場合は何か言いづらい様な事を隠している場合が多いのではないでしょうか。

  親しい周りの人は本当に心配していて、いざふたをあければという状態で話すと、「なんでもっとはやく話してくれなかったの?」みたいになる事も多いかと思います。

  私自身は起業以来、かみさんとも一緒に事業をやってきたので、状況は自然と共有しながらやってきました。また、ずいぶん前に会計に詳しい方に株主になっていただいた時も、相手の方は迷惑だったかもしれませんが、当時私が付けていた日記をその方に送って、「プライベートも含めて隠し事はしません」という決意表明みたいな事をしました。その後も、その方とはずっと大切な相談相手になっていただいております。

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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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