• 2025/02/21
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はりこらむ 第116回「そのルール何のためにありますか?と聞かれて答えられますか?」

  • 萩原 張広  
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そのルール何のためにありますか?
と聞かれて答えられますか?

 ⇒第115回「ミッションステートメント書き換えました!「自分のため、みんなのために、生きる」」はこちらから


  会社やお店には、取引規定やメニューなど、いろいろなルールがありますね。そのルールの意味を理解できて納得できる事もありますが、「なんで?」と思う事もあります。

 ルールを考えた人には、背景や理由があって策定しているはずです。一方、ルールの本質的な意味や策定した時の状況などを知らずに、そのルールに沿ってただ行動している人たちも多いです。もちろん個別の事象に対応して都度判断していたら、ビジネス的には生産性がとれない事も多いかと思います。でも、お客様に何故そのルールなのですか?と聞かれた時、ルールの理由や影響についてしっかりと説明出来る事も重要です。決まりなのでとか、「他のお客様の迷惑になりますので」などの一般論で言われて、本当は納得出来ていないお客様もいるのではないでしょうか。

 会社でよくあるのは、事業部門の人がお客様や取引先から何等かの要望を言われて「ちょっと会社に確認してみます」と言って、管理部門等に問い合わせをして、担当の人が「うちではそれがルールなのでできません」と回答し、事業部門の担当がお客様には、「うちは融通が利かなくてすいません」とお客様に伝えるみたいな感じですね。

 昔、リクルートで働いていた時に求人広告の営業をしていたときのことです。求人広告を掲載するには掲載基準(ルール)がありました。ある時求人広告を載せたい中小企業の工場から問い合わせがあり、私が訪問しました。早速求人広告の内容の打合せになり、お客様は「お給料も含めあまり細かい待遇を載せたくない」と言っています。「給与に関しては、『高給優遇』で出してくれ」と。(当時は、そういう求人広告がまだ世の中に出ている時代でもあった)

 リクルートとしては、読者保護の観点や媒体の信頼性を保つ為に、待遇などの条件面をしっかりと出す掲載基準になっている事などを説明しましたが、ちょっと強面の担当の方は納得してもらえず、声を荒げはじめていて少し怖かったです。それでも私なりに求人誌にちゃんとした情報を載せる事で媒体の信頼性は向上し、ひいては求人を出している企業様にもメリットのある事など必死に説明していると、後ろからさらに強面の工場長の様な人が出て来て、怒鳴られるのかなと思ったら、以外と優しい感じで「君が言っている事はよく解ったよ。もう一度採用する時の給与や待遇を決めて連絡するよ」と言ってくれました。ほっとして帰り、その後改めて掲載基準をクリアした広告を作成し出稿してもらう事になりました。

 お客さまの望むかたちを断り、本質的な意味を理解してもらう難しさを感じた経験でもありました。自分が事業の意味や媒体の信頼性の価値、そうした本質的な事から策定された掲載基準(ルール)の意味を理解していてよかったと思います。

 一方実際に運用されているルールが、本当に今もあてはまっているかという問題もあります。特に昨今は世の中の環境の変化が大きく、ルールの変更みたいな事をお客様が求めてくるのは別な見方をすると、市場ニーズの変化やビジネスチャンスな事もあります。

 最近飲食のチェーン店でも裏メニューがあって、SNSにたまに拡散していますね。メニューにはないその商品が結果的にみんなの指示を得て、定番メニューになる事もあるようです。これって、お客様の要望を全部断っていたら、ない話ですね。

 現場ではルールを守る、守ってもらうのはもちろん重要です。でもそのルールが出来た背景や本質を理解し、その上で本質的な事が大丈夫であれば、そのルールを破る影響も考えた上で、ルールを超えた判断ができることも重要ですね。

 今後画一的な対応や多少のイレギュラーはほとんどAIが対応するようになるので、こういった潜在ニーズに答えられる人がやれる事の意味が大きくなるかと思います。

■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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