今年の書初め
「天地人」にしました!
⇒第113回「今年はどんな年?~個人の目標と仕事の目標、複数シナリオの重要性~」はこちらから
新年にあたり、会社の役員でいつも書初めをしています。そして1月の全社員会議で、その内容を発表します。今年は「天地人」にしました。この言葉は、天の時、地の利、人の和の意味で使われ、孟子の言葉として「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」に由来していると云われています。戦に勝つには、天の時、地の利、人の和が揃う必要があり、とりわけ人の和が重要であることから、一般に事が成就するのに必要な条件と云われています。上杉謙信の家臣だった直江兼続が主人公の大河ドラマのタイトルにもなりましたね。
ビジネスで言うと、地の利はビジネスモデルの事かと思います。どんなターゲットにどんな商品やサービスをどんな価値を提供して行うのか。まずはここがちゃんとしていないと最終的にビジネスとして収益が継続する形になりませんね。日本ではベンチャー企業が育ちにくいと言われていますが、そうはいっても毎年かなりの数の新しいビジネスモデルが考えられて実行されていると思います。
そして人の和、会社で言うと人材や組織の事ですね。地の利であるビジネスモデルが秀逸で成功確率の高そうな事業が、人材が足らずに成長しきれなかったり、経営層の内輪もめなどで崩壊するような事もよくあります。結局事業を行うのは人なので、まさしくこの人の和がうまくいかないと成長を実現する事は難しいのだと思います。
そして天の時。これだけは自分たちでは選べません。アンテナを張って、タイミングを見る。その時にむけて準備をしておくことですね。地の利(ビジネスモデル)がよいけど、タイミングが早すぎて顧客がついてこなかったり、マネタイズがうまくいかず、途中で挫折する新規事業も多いですね。最終的な勝者になるのは、最初にそのビジネステーマを始めた会社ではない事もよく起る事です。また、タイミングが遅すぎて、ビジネス化が現実化した時はすでに時遅しという事もあるかと思います。
天の時以外、地の利は考え抜いて仮設と検証を繰り返せばある程度のモデルは作って行けると思います。また人の和も、時間をかけて人の本質や関係性に関する原理原則を貫いていけば組織として作っていけるのだと思います。人材や組織の問題を他責にせずに、会社として経営としての課題として認識し、反省から学び、他者を変えるのではなく自分たち自身を変えて行く事でより良くしていく事を継続する事ですね。
天の時が来た時にどんな準備が出来ているのか、そこが重要なのだと思います。
■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。