出版の話
~3冊目の本が出ます!~
⇒第46回「新年のご挨拶 ~長期の事業ビジョンを持つ意味について~」はこちらから
本を書くって、それまでにいろいろとやっていた取り組みを振り返ったり整理したりする事になるので、自己対話が増えてよいなと思います。
2006年に出版された最初の本『営業の科学―根性主義でない、普通の人間がやれる必勝の法則』(ダイヤモンド社)。私の会社は1990年に創業し、1~2年でバブル崩壊に遭遇する事になります。バブル崩壊後苦しい時代が続き、新しい事業のヒントを求めて、1997年にニューヨークに行きました。そこで衝撃を受け、法人営業変革を目的に、コールセンターで分業化された営業の一部分を代行する法人営業アウトソーシング事業を推進する事になります。
なかなか軌道に乗らなかったこの事業ですが、2000年頃から始まったITネットバブルをきっかけに成長期に入っていきます。この本は日本の古臭い営業の在り方を変革したいと思い書きました。高校を卒業してから営業の仕事に出会うまでや、営業を始めてからの数々の失敗経験やまだ成長期でありベンチャー風土の残っていた頃のリクルート時代の事、その後独立してから当時にいたるまでの事を自分なりにまとめて、初めての出版だったので懸命に書いたのを覚えています。
やはり最初の本が出来て、書店に並んだ時は嬉しかったですね。一時はビジネス本のランキングにも入り、毎週ドキドキしてそのランキングを見ていました。結果的にはそんな部数は売れませんでしたが、この方を見てお問い合わせを下さったお客様も多く、また本を読んでいただく事で価値共有がしやすくなって、その後の商談もすすめやすくなり、ビジネス的な効果はとても大きかったと思います。この本が出た頃、会社は成長路線に乗っていましたが、出版から3年後くらいにリーマンショックが起こり、大きなピンチを迎える事になります。
2冊目の本は2017年に出版した『少人数チームからはじめる失敗しないBtoBマーケティングの組織としくみ』(クロスメディア社)。『営業の科学』のあと、リーマンショックがあり当時メインのお客様であったITネット系のベンチャー企業の勢いはあっと言う間になくなり、時代は大きく変化していきました。そんな中、私の会社は、営業支援からBtoBマーケティングに大きくかじを切り、お客様も外資大手IT企業が中心になって行きました。おそらく日本で言えばBtoBマーケティングのトップレベルであると言われる外資系企業のマーケティング担当者の方と直接お仕事をさせていただく事によって、私たちの中にBtoBマーケティングの様々な知見が貯まっていく事になりました。
当時、日本でもBtoBマーケティングに取り組む企業様が増えはじめ、そういった企業様に私たちが学んできた知見を共有したいという思いからこの本は出版されました。ただ、まだ日本企業の場合は営業的な文化が中心でマーケティングに対する知見は少ない場合が多く、用語も含めて難解なケースも多かったと思います。そういった意味では、私のリクルート時代の営業経験などを中心に営業的な視点でマーケティングを語り、その中で現実的に小さな単位からマーケティングを進めていくやり方について記しています。
会社としてはリーマンショックの影響からも2~3年で立ち直り、その後はまたマーケティングサービスを中心に成長を遂げる事になり、リーマンショック直後から3倍の売上規模になる事になります。
そして今回の出版になります。今回の本は、私たちがコロナ前から推進している、デジタルセールスへの取り組みを事例も含めて紹介するものです。マーケティング戦略をもとに、非対面で行うインサイドセールスやカスタマーサクセスなどの次世代型営業職へチャレンジする人達やそれを受け入れる企業。コロナ禍の影響で働く機会を失い、この新しい取り組みにチャレンジして見事に新しいキャリアを掴んだ人達が多数登場しています。
私たちの会社もコロナで業績的には一度大きな打撃を受けました。しかし現状はこの環境変化を機会に変えて、新しい成長へと進み始めています。こうしてみると、バブル崩壊、リーマンショックそして、今回のコロナと、そういった危機があるたびに、そこから立ち上がろうともがき、考え、そしてそこからまた作り上げてきた事が新しい成長のキーとなり、結果それが出版にもつながっている気がします。
完成した書籍を手に取るのが今から楽しみです。
■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。