今回は、青森放送のアナウンサーから独立・起業し、研修事業などでアナウンサーの活躍の場所を広げている株式会社トークナビの代表 樋田(といだ)かおりさんに、Web面接のポイントをお伺いしました。
岐阜県出身。2008年 日本テレビ系列 青森放送にアナウンサーとして入社。報道番組のお天気キャスターやニュースキャスター、7時間生放送のラジオパーソナリティなどテレビ・ラジオの放送現場を経験。
28歳で独立し1年後、株式会社トークナビを設立。話すことの大切さを広めるためスピーチトレーナーを全国に育成し、研修事業を展開する。身体全体を使ったユニークなトレーニング方法が話題を集めている。
第一印象を決める「初めの7秒」を意識する
──オンラインでの会議や面接が増えている中、面接を受ける側が気をつけるべきポイントはありますか?
まずオンラインの場合だと、背の高さや雰囲気、香りなど得られる情報が制限されてしまうため、「見た目」と「声」の印象が非常に重要になります。対面で会っていれば、相手の空気感はなんとなく感じられますが、オンラインだとなかなか感じることができません。
そこで重要になるのが、画面に映った見た目と、その人が話す声 (大きさやトーン)の2つです。
オンラインで気をつけるポイントは、「人は見た目が9割」と言われている通り、画面映りです。オンライン会議で、家の中の雑多な感じが映ってしまったり、頭が画面上で切れていたりする方もいますが、そうなると見た目の印象で「この人は、こういう人か」と判断されてしまいます。ちなみに人が第一印象を判断するのは、諸説ありますが最初の7秒だと言われています。
つまり、本題を話す前に自分の印象そのものが相手の中で作られてしまう可能性があるのです。
──アナウンサーの方だと、具体的にどのような工夫をされているのでしょうか。
例えば、アナウンサーが奇抜なファッションや派手なメイクだったら、服装やメイクに意識が行ってしまって、話している内容が耳に入って来ないですよね。そうならないようにアナウンサーはきちんとした服装でカメラの前に立つと決まっています。
そして、必ず画角調整をしてからニュースを読み始めます。画角調整では、身だしなみや服装、カメラの画角をチェック・調整します。おへその位置や、頭の上何センチを空けるなど定位置に調整できているかの確認です。少しでもずれていたらカメラマンに注意されることもあります。
ニュースが始まる前に徹底的に準備するくらい、画面映りは重要なのです。面接を受けられる方も、画面映りはぜひ気にしてほしいところですね。
樋田氏による研修の様子
緊張をしないためには何よりも事前準備が重要
──2つ目の声はどのような点に注意すればよいですか?
声は、緊張しているだけで震えたり、小さくなったりするので、その時点で「自信がない人」という印象になってしまいます。そのため、オンラインでも声をしっかり張ることが大事です。また、何を話すかを準備していないと緊張してしまうので、自己PRは暗記しておくぐらいが良いですね。
──緊張の克服にもポイントがあるのでしょうか。
緊張は、「自分をより良く見せたい」という感情が原因になることが多いです。そのため、自分が話す内容が決まっていない状態で本番を迎えると「自分を良く見せたいけど、話す内容が決まってない、あーどうしよう、緊張する」といった流れになってしまいます。
そうならないためにも、まず自分が何をPRしたいのかを固めておくこと。さらに、声がしっかりその思いに乗るように、声を出す練習をしておくことも重要です。面接に限らず、事前準備がどのくらいできているかで緊張は防げます。
声の出し方のポイント
──研修で、ユニークなトレーニングがあるというのを見たのですが。
ありがとうございます。弊社の研修は体と言葉を連動させて研修をしているため、驚かれることが多いんです。例えば、発声と同時に招き猫のように「右手を上げて山なりにおろす」と、日本語の高低アクセントの練習になります。
──具体的にやり方を教えていただけませんか?
初めて会う相手とのあいさつ「初めまして、トークナビの樋田と申します」という文章で練習してみます。受講生の皆さんに手を上げてもらって、せーのの掛け声で、出だしの「初めまして」を高いアクセントで。最後に行くにつれて声を低くするトレーニングです。
また、口元でぼそぼそと話していると伝わりづらいので、オンラインの時には声を前に出すのを意識します。「パソコンに向けて話すのではなく、その3メートル先に声を出してください」とお伝えしていますね。
「初めまして」の最初のあいさつで印象が決まってしまうので、面接を受ける方は、その出だしの声出しを練習しておくと良いですね。
自己PRは1つに絞る
──自己PRのポイントはありますか?
内容を詰め込みすぎないことですね。自己PRを1分間できるのであれば、1分間のネタは1つに絞ります。よくPRしたいことがいっぱいあって「スポーツを何十年やっていまして、こういう成績・実績があって、他にもこういうのが得意で」と詰め込んでしまうパターンが多いんですよね。
──私は趣味で乗馬をしているのですが、その場合はいかがでしょうか?
おしゃれですね。その場合は「乗馬が得意です」と1個の強みを出しておいて「なぜなら乗馬を10年やっているためです」、「具体的には、土日に乗馬クラブに通って〇〇の訓練をしています」と具体例をたっぷり入れて「そこから〇〇を学びました」とまとめて、乗馬ネタだけで終えるようにします。
さまざまな話を詰め込みすぎると、特徴がわからず記憶に残りません。「何かいろいろやっているけど、結局この人は何ができるんだろう?」と思われてしまいます。一方で、乗馬のことを熱く語っていれば、「あの乗馬の人、良かったね」と特徴と記憶が残ります。
面接官も「この人と働けるかな?」と想像しながら見ているはずですので、そのようなエピソードがあれば、どういうところに熱をかけられるのかを理解してもらえます。おっしゃっていただいた乗馬のように、1つの内容に絞ったうえで、その人らしさがトークの中に出ていたら1番良いですね。
──自己PRを1つに絞って印象づけるのは納得です。転職活動で悩んでいる方にとって、とても参考になるお話ありがとうございました!
◎Web面接のポイント
・面接では「初めの7秒」が重要
・画角調整、声のトーンを意識する
・緊張しないよう、何を話すかの準備を徹底する
・自己PRは1つに絞る
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