• 2021/04/15
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はりこらむ 第16回「影響力のあるリーダーになる! ~要望する→理解する→リスペクトする~」

  • 萩原 張広  
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影響力のあるリーダーになる!

~要望する→理解する→リスペクトする~


⇒第15回「起業の決断 ~社長になる夢とお葬式!人生と時間は有限である事~」はこちらから


リクルートのアルバイト時代に、上司のマネージャーに「どういう人材になれば社員になれるのですか?」と聞くと「社員はすべてマネージャー候補だから影響力のある人材になる事だな!」と言われました。飲み屋での会話でもあり、なんとなく解るような、解らないような。今で言えばリーダーシップみたいな事だと思います。

元々将来の独立の為、社員になりマネージャーに昇進し、マネジメントの経験をするのが目的なので、やる気を持って行動していたつもりなので、周りにいた社員や同じアルバイトの人達にもそれなりに影響は与えているのではと思ってはいました。

アルバイト時代にちょっと出世してメンバーを持つようになると、一生懸命育てようと思いメンバーと接しました。早朝ロープレして、夜も居酒屋に行ってずっと仕事の話して、その後サウナに泊まって、サウナの中でロープレして、クロージング出来ないと出してあげないとか。前も書きましたが、今の時代これは間違いなくパワハラでアウトですね!

その後、難関を乗り越えて無事に正社員になって、営業所のゼロワン(これってリクルート用語ですが、マネージャーの次のポジションで、何の手当もないけど仕事はトッププレーヤーとマネージメントサポートも両方やるとってもハードな役割。マネージャーへの登竜門)になると、さらにエスカレートして、個人的に坂本龍馬が好きだったので、新人が入ってくるとまずは、竜馬がいく全8巻を必ず読ますとか。たぶん振り返るとここまでの自分は、影響力をただの要望性と思っていて、自分の考えややり方を人に押し付ければよいと思っていたのかも知れません。

当時私がいた営業所は営業マンが20人いたので、私一人が頑張ってもなかなか営業所の数字が上がらず孤軍奮闘、メンバーも本当についてきてくれるのか本当は不安でした。

そんな中あるメンバーと飲んだ時、「萩原さんは出世街道に乗っていて、頑張ってよいけど、みんなには一人ひとりいろんな事情があって、それを理解していない」みたいな事を言われたのがきっかけで、自分がどれだけみんなを理解しているのかちゃんと考えてみようと思いました。ある週末の金曜の夜に、一人暮らしのアパートで、メンバーの名前一人ひとりの目指す目標と強みと弱みを書くフォーマットを作り、ウイスキー飲みながらずーと考えて想像し書いていきました。朝方までかかったと思うけど、取り組んでみて、自分がいかにみんなを理解していない事が解ったり、逆にみんなを理解したいという思いが痛切に沸いていきました。

その後メンバーと飲みにいっても自分の考えを述べることよりも、相手の状況や考えを聞く方に努め、ミーティングのやり方(今で言うONEonONEですかね)も変えて行きました。

メンバーの中に、小さなチームをもっているアルバイトのA君(24歳男性)がいて、彼はこのままリクルートで続けて頑張るのか考えているようでした。営業所の業績が今一つ上がらない状況の中、私は日曜も出勤して、休日もやっている不動産会社とかに営業してました。途中A君が一人で住んでいるアパートが近くなので、ちょっと寄ってみるかと思い訪ねました。私がスーツ姿で営業カバンを持って彼の部屋に入ると、ジャージ姿のA君のテーブルの上には、資格系の専門学校の資料がいくつか置いてあります。話を聞くと、このままリクルートのアルバイトを続けてもしょうがないので、なんか資格でもとって別な仕事を探そうと考えているようです。

私も元はアルバイトで、考えている事は解るので彼の話をひととおり聞くと、「頑張っていろいろ検討してね。自分の人生だから!」と言って、私はまた別な会社へ営業に向かいました。

次の日の月曜に、私がいつもどおりに早めに出社すると、昨日のA君が自分のチームメンバー集めて、ミーティングを開いています。それぞれが「やる気!、死ぬ気!、必死!」と書いてあるハチマキをして、A君が熱く語っています。そして始業と同時に、チームメンバー3人で一斉に大きな声でアポ取りをはじめました。その後、彼らの影響もあってか営業所のメンバーたちのモチベーションも上がっていき、営業所は無事に目標達成することができました。

何故A君が、あの時次の日から自分の行動を変えたのか、本質的なことは解りません。
その後彼はリクルートの関連会社に社員として採用され、その会社の部長さんになりました。

その頃、同じようにアルバイトで社員を目指しているW君という営業マンがいて、営業力はすごくて、いつも高い業績を上げています。W君も自分のチームを持っていたのですが、個人の業績はよいのですが、どうもメンバーが育ちません。彼は新卒で紳士服の販売会社に内定していたのですが、それを蹴ってアルバイトのリクルートを選んだようです。二人で飲みに行くと、彼の実家は長野で豆腐屋をやっていて、彼はいつか長野に帰って、その豆腐屋を基盤にして地域に名立たる会社を創っていくのが夢だという事です。ある意味、私とリクルートに来た理由が似ているので、それならばと「経営者を目指すなら個人業績も大切だけど、メンバーの育成もできるようにならないと。その為に時間と意識を使った方がよい」と話しました。いつしか私とW君のあいだに「豆腐屋」というキーワードと共通認識が生まれて、W君が悩んでいると「豆腐屋実現のためにはどうすればよいと思う?」と聞くようになりました。

W君は私がマネージャーに昇進したのちリクルート本体の正社員になり、その後彼もマネージャーに昇進しました。豆腐屋の夢は実家の都合で実現しませんでしたが、今は独立してうちの会社の採用を手伝ってくれています。

この頃になると私の中で、影響力って要望性だけでなく、相手を理解して共通認識を持つことなんだなと思うようになりました。

A君とW君は、私の下で2~3年貴重なミドルメンバーとして活躍してくれ、その後半には自然に、私の中で彼らに対するリスペクトが生まれてきました。私自身も彼らから影響を受けるようになっていったと思います。この頃が業績も営業所の雰囲気も一番よい状態だったと思います。

W君は、結婚が早く子供もいました、私が結婚しようか悩んでいる時に相談すると「萩原さん、仕事好きだから結婚とかして家族が増えると、時間がとられて嫌だなと思っているんでしょ!」そのままずばりの事を言われました。でも彼は「違うんですよ、結婚して家族が増えると時間は変わらないのに生きていくパイの総量みたいなものが増えるんですよ。だから大丈夫なんですよ!」と、言われました。なんとなく解るような解らないような。でもその言葉で、私は結婚して家族をつくっていく決心が出来ました。彼のこの言葉には人生で大きな影響を受けたと思います。

リーダーになりたての頃って、自分が出来ることをメンバーが出来なくて、でもチームのミッションを達成したいという強い思いがあって、だから必然的に要望性が強くなる。その強い思いがあってこそでの、その後の理解とかリスペクトになる。そういった意味でも、頑張って要望する→相手を理解して共通認識を作る→リスペクトして自らも影響を受ける。というのは、リーダーとして成長する為の必然なプロセスなのかも知れませんね。


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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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