• 2021/03/09
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CEOが語る 第12回「お客様を理解すると言う事 ~愛とは相手を知ろうという努力だ!~」

  • 萩原 張広  
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お客様を理解すると言う事

愛とは相手を知ろうという努力だ!~


⇒第11回「道を選ぶという事 ~先の見えない道と猛獣の声、アバウトなゴール~」はこちらから


創業前に勤めていたリクルートは、最初はアルバイトでした。でも仕事は社員と一緒で普通に営業。求人広告を企業に売る事です。

将来的に社長になろうと、企画力とマネージメント経験を求めて正社員の営業職を辞めて入ったリクルートでしたが、マネージャーになってマネージメントを経験する為には、まずは正社員にならねばでした。そして入社半年くらいたった時にあるチャンスがおとずれます。当時私は川崎の営業所にいたのですが、小規模な営業所で営業マンは4人しかいませんでした。所長は兼務でいつも横浜支社にいて営業所にはおらず、リーダークラスの20代後半の高卒10年目のベテラン営業と、新卒1年目の正社員、そして私も含めアルバイト2名の計4名の営業。他に制作と庶務と進行アシスタントのバイトがいて10名くらいの人員でした。

その営業所で一番取引の大きいお客様がいてG社というエンジニア派遣会社でした。そこの専務(社長はほとんど引退していたので実質社長)が、すごく難しいクライアントで、しかもリクルートの役員とも直接ルートを持っていて、担当していたリーダークラスの営業の対応が気に入らないらしく営業担当を変えろと言ってきました。

普通で言えば正社員である新卒の営業に担当させるべきなんでしょうが、なんかタイプ的にその専務と合う気がしないらしく、久しぶりに営業所に来た所長が頭を悩ましていました。(ちなみにこの新卒の営業のM君は、優秀な営業マンだったのですが、その後リクルートを辞めて、ある女性社長がやっている派遣会社に転職して、その企業の著しい成長に貢献して、その後その大手人材サービスグループ会社の社長になりました。最近では年中テレビで宣伝しているあそこですね!)。

そして私におはちが回って来ました。まあ当時のリクルートなら、ない話ではないですが、一般的にはアルバイトでしかも入社半年の営業マンが、売上で20%以上を占めるその営業所のトップクライアントを担当するとかは普通あり得ませんね。

私にとってこれは正社員になるチャンスと思い、いろいろとそのクライアントのことを調べて引継ぎに向かいました。多少の緊張感はありましたが、そのレベルのクライアントでしかも経営者クラスの方を直接担当するのは初めてでしたので楽しみでもありました。

当日所長と一緒に訪問して名刺交換すると、名刺を見て
「なんだリーダークラスじゃないのか、うちを普通の営業が担当するのははじめてだな。。」と言われました。しかもアルバイトです!なんて、口が裂けても言えません。

当時週刊誌だった求人誌にその会社は毎週広告を出してくれていて、その打合せが毎週あります。そこはいつもその専務が直接出てきていろいろと打合せをします。

当たり前ですが、遅刻は厳禁で、以前の担当は一度たった5分ですが遅刻してしまい、その日は会ってもらえず、そしてその週の求人の広告はキャンセルになったという話を聞いていました。

毎週木曜日の午後3時!これがそれから3年間続いた、毎週のルーティンになりました。前担当の頃からアシスタントとして担当していた女性がいて、その女性は専務に気に入られていました。まず私はその女性から専務の情報を仕入れることにしました。もちろん本業である、求人広告の企画や打ち合わせなどは制作マンも交えて真剣に行って、ちゃんと求人広告の効果が出るように頑張る訳ですが、それよりも専務個人への対応の方が100倍気を使いましたね。以前よりこのクライアントを1年も担当すると心身ともにボロボロになると言われていましたから。

専務はウーロン茶が好きで、お酒は飲みません。いつしか専務室にウーロン茶をケースで届けて、その在庫を毎週確認して、なくなる前に持っていくのは私の仕事になりました。専務はお酒を飲まないのですが、カラオケと女子は好きで、2か月に1回くらいカラオケ会をするんですが、営業所の女の子に頼み込んで一緒に行ってくれるように交渉をするのも私の仕事でした。今では考えられない話ですね。パワハラのセクハラみたいな。。

専務は釣りが好きで、3か月に1回くらいは釣りのお供ですね。専務が連れてきてたぶん銀座あたりの女性の竿に、ゴカイとかあの気持ち悪い餌をつけるのが私の役目ですね。打合せの時に、専務が咳をしていると打合せ終わった後に、薬局に飛んで行って葛根湯を買ってきて、秘書の人にそっと渡してもらうとか。。。でもこういった対応は、私にとってはそんなつらい感じではなく、専務の人となりも解ってきて、たまにいろんなプライベートの話もしてくれるようになりました。ある意味私があこがれている規模の会社の経営者の方ですから、私個人としてはとても関心があり、自然にお客様のことを知りたくなり、理解していけたと思います。週に1回の打合せとカラオケ会や釣り旅行などを通して1年後くらいには、専務のことは、ご家族の事や会社としての将来象や夢、そしてちょっと言えないプライベートも含めほとんど理解している様になりました。ちょうどその頃私個人としてもリクルートの正社員になれて、堂々と担当する事が出来るようになっていました。

当時私はまだ独身で、同期にS君という慶応大学を出た、ピュアが洋服来ているようなまっすぐな男がいました。彼が1年上の女子先輩に恋をしてしまい、ある日曜に何故か私とS君と二人で「恋におちて」という恋愛映画を見に行って、新宿の今でも行くジャズ喫茶で酒も飲まずに、恋愛について3時間くらい語ったことがあります。その時に二人で行きついた結論が、「愛とは、相手を知ろうとする具体的な努力だ!」というワードです。

まあ専務を愛していた訳ではないと思いますが、その頃の私にとっては憧れであり心から理解したい人ではあったのだと思います。その後私が結婚する時に、専務は披露宴には参加したいからと言ってくれていました。

ですが私個人的な予算の関係とかもありあまり多くの人を呼べずそれはかないませんでした。それでも、ある日仕事の打合せの後でそっとお祝いを包んでくれました。私がマネージャーに昇進した時も、京都の祇園にお祝い旅行に連れて行ってくれたのもよい思い出です。私にとっては、相手を知ろうという具体的な努力が、時間をかけて結果に結びついたよい成功体験となりました。顧客を理解すると言うと何か仕事的なイメージをしがちですが、まずは一人の人としての好奇心や好意に基づいた興味や関心が重要なのではと思います。

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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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