• 2020/10/23
  • 連載企画
  • はりこらむ

はりこらむ 第11回「道を選ぶという事 ~先の見えない道と猛獣の声、アバウトなゴール~」

  • 萩原 張広  
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道を選ぶという事

~先の見えない道と猛獣の声、アバウトなゴール~


⇒第10回「BtoBビジネスにおける、マーケティングの本質的な意義とは?」はこちらから


コロナの自粛と在宅勤務が多くなったこともあり、雨が降っていない時は、自宅近くを必ず4~5キロぐらいウォーキングします。近くの川の土手か山の中を歩くのですが、薄暗い山の森の中を、一人で歩いていると、「グオーー!」みたいな猛獣の声が響いてくるんです。
実は自宅の近くに多摩動物公園があって、私がたまに歩く山岳路はその動物園の周りを廻っています。結構長い距離で、途中に分かれ道もあって、象さんや鳥の声が聞こえると本当にジャングルの中を歩いている気分になりますね。

はじめてこの山道を歩いた時、そうもう10数年前のことですが、ウォーキング中に猛獣の声が聞こえた時は本当にびっくりしました。しかも迷い込んだ感じの道で出口がよく解らず、いくつかの分かれ道もどっちに行ってよいのか。当時新しいビジネスを始めていて、いつもその事が頭にあって考えながら歩いていたのですが、その出口の見えない迷い道状況が、今の自分の状態の様に思えてしまいました。

歩いてもなかなか出られないので戻ろうかとか、一度来た分かれ道で、あの選択でよかったのかなとか。なんか、遠くの方には明るい陽射しが見えていて、いつかはそこにたどりつけるような気もするけど大丈夫かなとか。そんな感じで数十分歩いていると、突然目の前が開けて、景色のよい高台に出て、晴れた空に多摩の風景がとても美しく見えて、とても清々しい気持ちになりました。そしてその先の道すじもはっきり見えていて。そう、信じて歩き続ければ、きっとこんな感じの時がくるはずだと。ビジネスに対しても、なんか希望が持てる気分になりましたね。

新しいビジネスやチャレンジをしている時って、目指している山頂は見えているけど、途中には雲があって、そこに行く道がはっきりと見えない。前進しているのは解るけど、あとどの位で着くのかが解らない。時間が解らないから食料が持つかどうかも不安になるし、途中途中にある分かれ道も、その選択が本当に正しかったのか不安になる。ひょっとしたら雲に隠れている場所には、崖があって頂上までたどり着けない可能性もあるし。悩みながら歩いているうちに姿勢も悪くなって、頂上のゴールが見えなくなってきたりすると最悪ですね。

ビジネスも山歩きもそうですが、ゴールに向かう途中で、たくさんの選択をすることになります。その時にどうしても、最短距離でゴールの頂上1点に行きたくて、結果的にそうならない選択をすると後ですごい後悔をするような気分になることがあります。

でもそういった状況の中で、最近考えることが2つあって。

まずは一つ目はゴールについてですが、ゴールというとどうしても頂点の1点みたいな感じに考えがちです。でもアバウトに言うとだいたい頂上付近につけばよいじゃないですか。だってスタートしたばかりの時って、頂上付近の風景は、まだはっきり見えないですよね。その頂上付近のどのあたりが、自分たちにとって一番よいのか、楽しいのかって行ってみないと解らないですよね。ひょっとしたら選択した道によって、着くゴールの位置はちょっとずつ違うけど、だいたい頂上付近についていれば、それでよいのではと。あとは頂上付近が見えてから考えよう。

そしてもう一つは、ゴールについた瞬間だけを楽しみにするのではなく、歩いていく途中を楽しみにするということですね。一日で終わる山歩きと違って新しいビジネスへのチャレンジは、結構な年月を費やすことになります。ゴールした一瞬だけが喜びで、あとは苦しみの連続だと続かないですよね。多少、道を間違っても、時間がかかってもゴールに近づいていればよいのではみたいな感じですかね。学びもたくさんありますし。

以前、いくつかの新規事業をやっていた時があって、その一つの事業を自分で決めた撤退基準に沿って、止めたことがありました。その事業のアイデアは友人の社長に引き継ぎ、その社長は成功を収めました。その時辞めていなければとも思いますが、そのお蔭で私たちは事業を絞ることが出来て私たちも成長できたのだからそれでよいのではと。

ゴールを1点に定めて、最短でいくような、合理的な判断をしていくことはもちろん大事ですし、そう出来る人もいるかと思いますが、大半は予定どおりにいかない事が多いかと思います。

だからこそアバウトに頂点あたりに行ければよい、後は行ってから考えよみたいな感じと、途中で多少迷い道に入っても、それを楽しみながらやれるようなメンタリティの方が、全体的には頂上付近に辿り着く確率は高くなるのではと思います。
以前、いくつかの新規事業をやっていた時があって、その一つの事業を自分で決めた撤退基準に沿って、止めたことがありました。その事業のアイデアは友人の社長に引き継ぎ、その社長は成功を収めました。その時辞めていなければとも思いますが、そのお蔭で私たちは事業を絞ることが出来て私たちも成長できたのだからそれでよいのではと。

ゴールを1点に定めて、最短でいくような、合理的な判断をしていくことはもちろん大事ですし、そう出来る人もいるかと思いますが、大半は予定どおりにいかない事が多いかと思います。

だからこそアバウトに頂点あたりに行ければよい、後は行ってから考えよみたいな感じと、途中で多少迷い道に入っても、それを楽しみながらやれるようなメンタリティの方が、全体的には頂上付近に辿り着く確率は高くなるのではと思います。

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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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