7月に入り東京都では新型コロナウイルスの感染者が100人を超えるのが通常となり、7月9日から7月12日の4日においては200人を超えたことも記憶に新しいところです。
この記事では、改めて東京都が出している事業者向けのコロナ対策ガイドラインや、新しい生活様式・新しい日常とは具体的にどういったものなのかを解説しています。ぜひ参考にしてください。
東京都のロードマップの内容
ロードマップとよく耳にするようになりましたが、正式名称は「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ~『新しい日常』が定着した社会の構築に向けて~」というものです。ロードマップとは進行計画案のこと。つまり、「このような流れで新型コロナウイルスを乗り越えましょう」という内容になっています。ロードマップの正式名称にもある通り、ロードマップの目的は「新しい日常」を定着させるためのもの。新しい日常が具体的にどんなものなのかについては後述します。
東京都が出しているロードマップのポイントは以下の5つです。
・外出自粛等の徹底を通じて、感染を最大限抑え込む
・モニタリング等を通じた、都民生活や経済社会活動との両立
・必要な場合には、「東京アラート」を発動
・「第2波」に対応するため、万全の医療・検査体制を整備
・「新しい日常」が定着した社会の構築
都庁やレインボーブリッジが赤くライトアップされる「東京アラート」はすでに7月6日の23時に解除されて次の段階へと移行しています。ロードマップでも示されていますが、さまざまな制約が解除されれば当然新型コロナウイルスの新規感染者は増えてしまいます。今後はまた休業要請などが行われることが予想されます。
参考リンク:東京都防災ホームページ
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1007942/1007957.html
各施設に対する休業要請緩和のステップ
東京都では緊急事態制限の解除後、さまざまな施設の休業要請の緩和についてステップ0からステップ3までの4段階を示しました。6月11日の午前0時から最終段階のステップ3に移行しています。ステップ3ではすべての施設で休業要請が解除されています。ただしたくさんの人が集まるイベントに関しては屋内イベントでは5,000人以下でかつ収容定員の半分以下、屋外イベントでも5,000人以下の規模とするように要請されています。
なお感染状況を考慮しながら、8月1日以降の屋内イベントは収容人数の半数以下という要請に変更される予定でしたが、感染者の増加をうけて、当面延期する方向となりました。
出典: https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/007/957/2020061200.pdf
事業者向け東京都感染拡大防止ガイドラインの内容
東京都から「感染拡大防止ガイドライン」として、施設ごとにどのような感染防止策を行うべきかをまとめたものが発表されています。その中でどの業種にも共通する特に重要なポイントについて説明します。
施設を利用する人向けの対策:入場時
スーパーや会社などさまざまな施設を利用するにあたって、施設側が利用者に対して入場時に行う感染対策です。これは感染の疑いがある人が施設を利用しないようにということももちろんですが、自覚症状なしの方が周りの方にうつさないようにするための対策でもあります。
入場の際の列の間隔をあける
施設を利用するにあたって、開店時間前などにたくさんの人が入口付近に密集してしまうと感染リスクが高くなります。行列ができている場合は整理を行うだけでなく、人と人との距離ができれば2m以上空くようにすることが望ましいです。人が多く並ぶ長い行列だと自然と人同士の間隔が狭くなりますので、立ち位置の表示をテープなどで示すことも重要です。
入場者数や滞在時間を制限する
たくさんの人が同時につめかけるようなものに関しては一度に入る入場者数を制限するのも感染防止策となります。また、人数だけでなく滞在時間も制限できるとさらに効果的です。どうしても人が多くなる場合には、電子チケットなどで日時指定を設けて完全予約制にするのもよいでしょう。
入場者にマスク着用の徹底・検温の実施
現在はほとんどの人がマスクをしていますが、マスクをすることを入場するためのルールとすることは大きな意義があります。また、マスクを着用していない人にはその場で配布できるとなお良いです。またおでこを照らす非接触型の検温器で熱があるかどうかをチェックし、発熱している場合は入場を制限するのが推奨されます。入口にはアルコールスプレーやジェルを設置して手指の消毒をしてから入場できるようにしましょう。
出典:https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/008/459/0625-01.pdf
施設を利用する人向けの対策:施設内の利用について
喫煙スペースが3密にならないようにする
建物内の喫煙スペースは、外に煙が行かないようになっているため他の場所よりも密閉された場所になっています。そのため一度に使用できる人数を制限することが推奨されます。とはいえ、使用人数の制限をするために人員を配置することは難しいでしょうから、一時的に屋内の喫煙スペースは使用禁止としている施設が多いようです。
印刷物の配布は据え置き方式で
直接手渡しするよりは、棚などを設けて入場者が取るスタイルにした方が、感染防止ができます。
座席配置の工夫
球場やスタジアム、劇場などの観覧の際には席の間隔をあけて座れるようにすることや大声での応援や声援は控えるようにすることが求められます。また、施設側の窓口業務もなるべく間隔を2m以上あけることが望ましいです。
出典:https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/008/459/0625-01.pdf
施設の従業員向け対策
感染防止対策は、施設を利用する側だけでなく施設の運営側にも重要な問題です。こちらもきちんと確認しておきましょう。
出勤前の検温・体調確認
従業員が体調不良で新型コロナウイルスに感染したおそれがあるのに出勤してしまうようなことがあってはなりません。出勤前には検温と体調確認を行い、都度共有できる体制を整えましょう。特に検温に対しては、発熱しているかどうかはその人の平熱によって異なります。体温が何度以上だったら出勤を控えるなどといった画一的な方策にしないようにしましょう。
体調の報告を管理しやすいアプリなどもありますので、それらを利用しながらきちんと管理ができるようにすることをおすすめします。また、勤務中に体調不良になった場合にはすぐに帰宅させて自宅待機とするのが望ましいです。感染防止のためには、無理して出勤しなくてもよい仕組みつくりが重要です。臨機応変にテレワークで業務にあたれるようにするなど、急な欠勤がでてもカバーできるような体制つくりも必要となります。
制服やユニフォームはこまめに洗濯する
勤務中に使う制服やユニフォームをこまめに洗濯することで、衣服に付着したウイルスを洗い流すことも大切な対策です。
換気はこまめに行う
気温が上がりクーラーをつける時期になるとどうしても換気がおろそかになります。定期的に窓を開けて外に向けて扇風機やサーキュレーターを回すことで換気を行うようにしてください。
更衣室や休憩室の利用も注意
朝の出勤時やお昼の休憩室は、多くの従業員が利用します。一度に使える人数を制限する、食事は対面せずに会話も控えることが推奨されます。
ごみの捨て方まで徹底する
どのような事業においてもさまざまなごみが出ます。ティッシュやマスクなどはゴミ箱に入れる際にビニール袋に入れた上で口を縛って捨てることや、ごみを回収する従業員は収集の際に手袋とマスクを着用する、収集後は必ず石けんと流水で手を洗い、その後消毒を徹底するようにしましょう。
出典:https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/008/459/0625-01.pdf
「新しい日常」・「新しい生活様式」とはどういうものか
新しい日常や新しい生活様式とは、感染拡大を防ぐために日々の暮らしにおいて取り組むべき習慣のことを指します。国が提唱しているものが「新しい生活様式」で、東京都が提唱しているものが「新しい日常」です。基本的には感染拡大を防ぐためのものなので大きく内容は違いません。この記事では、同一のものとして具体的にどんな習慣が求められているのか解説しています。
ひとりひとりが行う基本的感染対策
まず感染防止の最も基本となるのは、「身体的距離の確保(できれば2m)」、「マスクの着用」、「手洗いの徹底」の3つです。身体的距離の確保はいわゆる「ソーシャルディスタンス」のことです。2mとは互いに手を伸ばして届く距離程度です。
マスクの着用については、基本的は「他人にうつさないようにするためのもの」。日本では花粉症対策としてマスクを着用するので、ウイルスをガードするという目的だと勘違いしている方も多いですが、ウイルスは粘膜から侵入してくるので目からも感染します。マスクを着用するのは、せきやくしゃみといった飛沫を周りに飛ばさないようにするのが本来の役割です。新型コロナウイルスは感染しても無症状であることも多いですので、万が一他人にうつさないためにもマスクの着用が推奨されています。
手洗いの徹底を行うのは、手にウイルスがついた状態で顔などをさわることで感染につながらないようにするためです。しっかりと石鹸を泡立ててから手洗いを行うことでウイルスが手から流れ落ちます。手洗い時間は30秒ほど行うのが効果的とされています。また顔にもウイルスが付着している可能性はありますので、外出から帰ってきたら顔も洗うことも重要です。人混みに出かけた際はできるだけ着替えて、シャワーを浴びるとなお良いとされています。
会話をする際は真正面で対面するのを避けることが推奨されています。会話をするときは屋内・屋外を問わずマスクの着用をしましょう。マスクをしていると蒸れて暑いですので、夏場は熱中症にも十分に注意してください。
移動時にも感染対策に気を配る必要があります。まず感染が流行している地域から移動すること・感染が流行している地域への移動は控えましょう。自分が感染源となることや感染してしまう可能性が高くなってしまいます。その他の場所へ移動する場合にも、誰とどこで会ったのかをメモしておくことが重要です。これは発症してしまった場合に追跡できるようにするためです。
日常のシーン別の感染対策
日々暮らしていくには買い物や通勤などさまざまな行動が必要になります。日常のさまざまなシーンごとの注意点を紹介します。
買い物
スーパーやショッピングセンターは、人が密集しやすい場所です。買い物に行く際はできるだけ少人数で空いている時間に行い、接触を減らすため電子決済を利用するのが推奨されています。また通販を利用するのもよいでしょう。レジで並ぶ際には前後の距離を保って並ぶようにしてください。
公共交通機関の利用
通勤などで電車やバスなどの公共交通機関を利用しなければならない場合も多いです。なるべく会話は控える、混雑する時間帯は避けることが重要です。また可能なら徒歩や自転車を併用するとよいでしょう。
食事
店内での食事はなるべく避け、持ち帰りや出前、デリバリーを利用することが望ましいです。大皿料理などで食事を共有するのは避け、料理は個別に。対面で座るのではなく横並びで座り、お酌や回し飲み、グラスを合わせる乾杯は避けましょう。
娯楽・スポーツなど
公園は空いている時間や場所を選び、スポーツジムやヨガは十分に人との間隔をとるか自宅でオンラインを活用する、ジョギングは少人数で行うことが推奨されています。スポーツ観戦などの応援は十分な距離を保つかオンラインで行いましょう。
働き方
オフィスの中も人が密集しやすい場所なので感染リスクが高いです。テレワークや、早番・遅番などのローテーション勤務、オンライン会議やはんこレスを行う、座席の間にはついたてを設けるなどの工夫が必要です。
出典:https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1007942/1007957.html