新型コロナウィルスへの感染拡大を受け発令された緊急事態宣言は、4月16日には全国へと拡大された。5月6日までの期間が対象となっているが、以降も収束の見込みが立っていないのが実情だろう。新型コロナウィルスによって外出自粛が進む中、当然、社会にとって働き方の当たり前、そしてビジネスの当たり前が大きく変わろうとしている。
コロナウィルスによってもたらされたビジネス環境の変化
営業、マーケティングに関わる業務支援や人材支援などを事業として提供している私にとって、コロナウィルスによるビジネスの影響は甚大だ。 顧客や私の周囲で、日々様々なビジネスの変化に関わる情報が飛び込んでくる。 多くの企業にとって共通のビジネス変化という意味でまずは2点のポイントを挙げよう。(1)既に当たり前となった在宅勤務
今までであれば一部の企業や一部の社員を対象に導入されてきた在宅勤務だが、コロナウィルスの影響によって首都圏を中心に在宅勤務環境への移行が進んできている。 これは緊急事態宣言による影響がもちろん大きいが、今後、緊急事態宣言が解除されたりコロナウィルスが収束に向かったりしても、企業対応として一度在宅勤務を促進してきたこの時期を超えてからは、企業側もおいそれと在宅勤務をなかったことにはできないだろう。もはや日本企業の在宅勤務が当たり前になる日はそう遠くない未来に迫っている。
(2)対面によるビジネス活動からオンライン化へ
日本という地理的要素や商習慣、文化的なコンテクストによってこれまであらゆる場面で当たり前とされてきた対面によるコミュニケーション。しかし、現在では非対面のオンライン化が当たり前となりつつある。これまでは、慣れない環境に馴染まないビジネスパーソンも多かったが、あと少しもすれば、更に非対面コミュニケーションは一般的になっていくだろう。一方では、対面でビジネスコミュニケーションを取ることの価値が見直されていくことも当然考えられる。
「ビジネスプロセスや生産性課題の適応」に遅れる日本企業
これまでの当たり前が覆された現在、あらゆる日本企業の管理職が、急なビジネスプロセスの変化や在宅環境下におけるマネジメントや生産性課題に頭を悩ませている。 特に在宅環境のマネジメントでは「明確な成果目標を持たせていない」「対象社員の業務専門性が不明瞭」といった組織には非常に頭が痛い問題だ。また、ビジネスプロセスの変化によって、受注までの工数計算やKPI、コミュニケーション手段も大きく変わる。これまで対面で顧客の個別課題を解消してきた日本企業にとって、今回の急なビジネスプロセス変化は大きな課題だ。
対面営業活動は工数もかかり属人性も高いが、良い意味で言えば顧客の細かな課題やニーズをくみ取り臨機応変に対応できるビジネスプロセスとして、多くの企業に採用されてきた。しかしその対面営業活動ができない今となっては、属人性に頼らない営業活動プロセスを構築する必要がある。つまりWebやメール、SNS、動画と言ったデジタル媒体へ投資をすべき時代に変化していく。
企業のビジネス適応によって発生する「キャリアへの影響」
雇用者にとって何よりも懸念すべきはリプレイス
ビジネスプロセスや生産性課題の解決に向けては、これまで挙げた課題を解決する為に、人材に求める能力要件や成果要件などが今後急速に変化することは間違いない。 当たり前のようにオフィスでの働きぶりを常に観測できる状態が担保できない以上、企業と従業員との雇用関係はこれまでよりも成果や能力によって判断されるところが大きくなる。また、個人のキャリアに絞って言えば、企業に求められる能力要件もこれまでと変わり、デジタルや動画の設計や制作など、クリエイティブやプランニング、つまり創造性を求められる職務が増えていくはずだ。個人も同じように、ビジネスプロセスの変化によって新たな適応を求められる。もしその変化に適応できなければ、企業側は既存人材をリプレイスしよう、といった対応を検討するケースは増えるだろう。
フリーランスにとってより意識すべきは希少性
フリーランスや複業、というポジションに絞って言えば、各企業のビジネス適応はむしろ機会ともいえる。日本企業はリプレイスニーズがあったとしても、欧米企業のように急に人材を解雇して入れ替える、という訳にもいかないので、一時的にフリーランスや副業者、所謂スペシャリストへ業務を依頼する機会は増えるだろう。その際、フリーランスが意識すべきは何よりも希少性の明示と発信である。自分自身がどんな希少性を持ち、何が出来るかを明確にすることで、更に高い価値を発揮できるチャンスが生まれるだろう。
共通のキーワード「Must Have」の存在になること
いずれにしても今後 一個人として意識しなくてはならないのは「Must Have」な存在になることだ。自分がどんなスペシャリティや独自性を持っているのかの明示を強く意識し、 被雇用者としてではなく、一個人として企業と自分自身が持つ独自性によって合意を得て働く状態を作っておくことが必要になる。副業やフリーランスなど、複数の雇用形態が入り乱れるような企業が増えていくのであれば、キャリアアップを続けていく為に、今までとは比べ物にならないほど個人個人の独自性や強みを 意識してキャリア形成をしていく必要があるだろう。
まず皆さんに勧めることは、自分自身のこれまでのキャリアを整理し、自分自身の独自性や強みを発掘し、明示できる準備を行うことだ。
次回はこちら⇒マーケティングエバンジェリストが語るコロナ時代における「働き方とキャリア」(2)
キャリアの整理に関しては、私もキャリアを掲載しているマーキャリの「キャリアアーカイブ」も、ぜひご活用ください。
■河村 芳行Profile
現在170名のマーケターを取りまとめている株式会社エムエム総研の若き取締役。
着実にキャリアを重ね、入社10年にして現取締役として会社を牽引する傍ら、2018年に新規事業部署であるメディアプラットフォームDivの責任者に就任。
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