• 2024/11/01
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はりこらむ 第109回「うなぎのNS」をマーケティング視点で見てみた~再現性の高いモデル~

  • 萩原 張広  
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「うなぎのNS」をマーケティング視点で見てみた
~再現性の高いモデル~

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 最近急拡大している「うなぎのNS」と言うチェーン店があります。家から電車で10分程の京王八王子駅のそばにもあって何回か行きました。最寄り駅高幡不動にも最近出来ました。友人の社長がこのフランチャイズで店舗経営を始めており気にもなっていました。

 私はうなぎが大好きで、よく食べに行きます。以前新宿にあった「FTB」という老舗のうなぎ屋さんがあって、一番のお気に入りでした。そのお店は新宿店が閉店になり、今は町田にしかないのですが、年に何回かは行きます。うな重の特上が8,000円します。一方家の近くにすき家もありますが、ここの特うな丼は1,590円ですね。「うなぎのNS」の料金体系は、うなぎ専門店と牛丼チェーンの間位の設定になっています。一番高いうな重特上の「松」が4,400円です。輸入物の安い「並」もあってこちらは松で2,600円。(メニューには特上、上、並とあって、これは国産とか脂ののりとかうなぎの種類で分けられており、一方梅竹松は、一尾、3/4尾、半尾といううなぎの量で分けられています。ちなみに一番安い並の梅は1,600円です、)

 これってマーケティングで言うところのSTP(セグメント、ターゲティング、ポジショニング)で言うと、うなぎ屋さんというセグメントの中で、中価格帯にターゲティングしているとも言えます。また顧客層も年配の方が多い感じですね。私もそうですが、ある年齢以上の方はうなぎはできれば専門店で食べたく、牛丼チェーンに食べにはいかない人が多い感じがします。

 ここからはあくまでも個人的な所感です。「うなぎのNS」の味はというと、特上の松はそれなりに美味しくて、「FTB」など高級専門店には及びませんが、一般的な専門店と比べてもそんなに遜色ないかと。一方安い「並」も食べてみましたが、これはやはり味や食感が私にはいまいちで、これなら牛丼チェーンのうなぎでもよいかなという感じでした。

 一方のこの「うなぎのNS」は、ビジネスモデルとしては秀逸かなと思います。うなぎって、ほとんどの人は目的を持って来店するので、そこに店がある事を知っていれば、駅前とかの好立地でなくてもお客様は行くと思いますし、ファーストフードや居酒屋に比べると客単価も高い。また、このチェーンでは経験のない人でもうなぎを焼ける特別な調理機を開発しているらしく、店舗をはじめるのに必要なノウハウやスキルが少なくてすむようです。また店員さんも高齢者や大学生のアルバイトでも十分回していけるようです。フランチャイズに加盟してはじめる難易度が低く、サラリーマンを辞めて退職金ではじめるような人もいるようです。そういった背景もあり、あっと言う間に200店舗を超える規模に急拡大しました。事業として成長していくための再現性や投資回収率が高い(現状は)モデルと言うことですね。このチェーンを運営している会社の社長のインタビューを読んだことがありますが、本人は食に対する思い入れや関心はそんなになく、ビジネスモデルとして捉えていると語っていました。ある意味気持ち良いですね。

 顧客という視点で自分を考えると、うなぎ屋さんは店舗の雰囲気とか、職人さんみたいなおやじさんが一尾一尾こだわりを持って焼いている感じとか、お店の中にただよう煙や匂いも含めて価値だと感じる部分もあるので、やはり自分の好きな専門店に行くような気がします。家の近くにあるので、今後もたまには行くかと思いますが、ハードリピーターにはならないかなと。またお店によってクオリティに違いがあるのも気になるところです。最初に行った八王子のお店の方が、店も30坪くらいあって広く店員さんの対応もそれなりによい感じで落ち着けましたが、家の傍にある店舗の方は店内が狭く、アルバイトの店員さんの対応もいまいちに感じました。お店に入ってから出るまでの感覚はファーストフード店にいる時の感覚で、そこに4,000円以上払っているのはなんだか違和感がありましたね。 外食って、「いきなりステーキ」みたいに一気に知名度が上がって急拡大するけど、その後は順調にはいかない事例も多いです。今後の「うなぎのNS」の発展を興味深く見守っていきたいと思います。

■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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