• 2024/09/06
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はりこらむ 第105回「AIによる仕事の変化 ~作業者視点から上司視点に変わる事が必要~」

  • 萩原 張広  
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AIによる仕事の変化
~作業者視点から上司視点に変わる事が必要~


 ⇒第104回「営業マネージャーから経営者へ
~本質を理解して自分の経験を転用する~」はこちらから


 TikTokでホリエモンやソフトバンクの孫さんの動画を見るとAIについての危機感が増しますね。AIを使いこなせない人は、これからの時代自転車に乗れない人みたいに比喩されています。AIの成長のスピード感もAIの能力が人間の100倍1000倍になるのにそんなに時間はかからないと言っています(孫さんはAIと人間の差が、今の人間と金魚の差ぐらいに早々になると予言しています)。個人的にも日常的にChatGPT-4(有料版、web連携や画像生成、音声認識も出来る)を使うようになって、実際の仕事の現場でも大きな変化が起きると感じています。いろいろな会社の取り組みなどの情報を見ていると、今年後半から来年にかけてはビジネス現場へのAIの普及が加速度的に上がる様に感じます。

 ChatGPT-4を使って感じるのは、仕事をする人に求められるレイヤー(視点視座とそれに見合った知見)の変化ですね。AIのない時代ですと例えば、上司が部下に「人事部門におけるIT推進についてうちの会社も進めたいから進め方とスケジューリングについて案を作って!」と指示すると、部下が2~3日いろいろな情報を集めて、検討して自分でレポートを作成して、それを上司に報告する事になります。そして上司がそのレポートを見て、その内容が自社に導入するにあたって妥当なものかを検討する事になります。これって今ではChatGPTに上手に依頼すれば1~2分で案を作成してくれますし、出てきた案に対して追加で質問したり、修正を繰り返していくと自社にかなりフィットした内容になってきます。最終的にはその内容を自分でチェック、修正する事になりますが、スピード的には何十倍も速くなりますね。しかも、この案を作る部下の仕事は必要がなくなる事になります。

AI時代には、すべての人が「頼まれて作業する人の視点」ではなく、「上手に部下に仕事を依頼できる上司の視点(レイヤー)」で仕事する必要があると言う事です。ChatGPTを使いこなす上でよく言われる事が「プロンプト」というもので、ChatGPTにどんな質問をするかで、回答のクオリティが変わるという事でその頼み方を「プロンプト」と言います。

 ChatGPTに依頼する場合は、前提条件として、そもそも従業員数が何名で人事部門が何名で、社内のITリテラシーがどんな感じで、導入の目的や達成までのスピード感などの内容を、できるだけたくさん具体的に入力する事で精度が上がって行きます。よく考えるとこれも、普通に人間同士で何かを人に頼むときも頼み方の能力やセンスによってOutputが変わるのと一緒ですね。これが上手な人がリアルな仕事の中でも有能な上司と言う事になるかと思います。

 AIには人間が学んだ知見の総和が入っています。ただ人間の様に意志があって何かを考えているのではなく、ある文章の後にはどんな文章をつければ確率的に正解に近いのかという事をものすごいスピードで計算して出しているだけなので、もちろん人間が回答を聞くと間違いと思えるものもあります。最終的な答えをAIに依存するのではなく、上手な頼み方をして、出て来た回答案を自分の置かれた状況を勘案してチェックして使えばすごいツールになる事は間違いありません。ソフトウェアだけで機能するAIは物理的な事の制限(これもそう遠からずAIロボットが急速に普及してリアルな仕事の現場も変わっていくと思いますが)がない分、仕事への普及はホワイトカラーの方が早いかと思います。Uber Eatsの仕事をするのに自転車に乗れない人ありえない、ホワイトカラーの仕事をするのにAI使えない人ありえないという時代はもうすぐそこまで来ています。来年の新卒から一部の企業ではAIの理解や使いこなしレベルで初任給変える会社も出てきている様です。

 ChatGPT以外にも画像生成や動画生成、パワポやエクセルなどの自動生成、マーケティングに特化してペルソナやカスタマージャーニーを考えてくれるAIなど100種類以上のAIツールがすでに使われ始めています。会社を上げてAIの活用推進に取り組んでいる会社も多いですし、会社にたまっている知見とAIを組み合わせて自社としての法人GAI(会社専用にカスタマイズされたAI)を構築する会社も増えています。2年後くらいには、この取り組みの差が企業の生産性や人材の求心力に大きな影響を与える時代になっていると思います。

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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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