• 2023/09/22
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はりこらむ 第85回「人生終盤戦の価値観 ~何が幸せで何を残せるのか?~」

  • 萩原 張広  
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 人生終盤戦の価値観 ~何が幸せで何を残せるのか?~


 ⇒第84回「業績プレッシャーは必要か? ~自分の為の緊張感と与えられる恐怖感の違い~」はこちらから


 最近、同世代の経営者の方々と会食してお話させていただくと、皆さんそれぞれ人生終盤戦での生き方に違いがあって面白いなと思います。

 まだまだ野心いっぱいで、自分が生きていないかもしれない未来への事を考えて日々奮闘している人もいますし、個人的なエンディングを考えた準備を始めている人もいますね。

 終活的なニーズでの相談事を私が受ける機会も最近増えている感じがします。私個人としては、年齢の割には元気で最近は人生で最高くらいに体調もよいので実年齢は必要以上に気にせず、明るい未来を夢見てまだまだチャレンジしようと思っています。

 家にある体組成計に乗ると、いつも体年齢36歳と出るのですが、こういう機械って忖度するのでしょうか?よい結果の数値の方がその体組成計のことも気に入る可能性も高いので、買い替える時もまたリピーターになったりするのでしょうね。

 先日会食した同世代の社長は、人生で一度も入院や大病をしたことがないと自慢していましたが、私自身は20代の時に十二指腸潰瘍で2回入院しています。その時勤務していた営業の仕事が合わず、ストレスになっていたのもあると思います。リクルートに転職したら嘘みたいに治ってしまいました。

 その後独立し、仕事もプライベートも一番忙しかった40歳くらいでメンタル的な病気で体調不良になり、自分の健康と初めて向き合うようになりました。それまで吸っていたタバコも止めました。50代に入り前立腺ガンになり入院して手術しましたが、これは早期発見で無事完治しました。その後は腰痛がひどくなり腰の手術を受けて、これが大変で、今も背中に6本ボルトが入ったままですね。今はおかげさまで痛みはありません。

 病気や手術することは、人生や健康を考えるよい機会になるので、その度に食事や運動習慣に気遣うようになりました。体重もかなり落として、今は20代前半の状態に戻っていて、健康診断の数値もほぼオールAです。 現状ビジネスにチャレンジし、運動もできてお酒も飲めていることに感謝しています。 一方最近はガンなどの重い病気になって闘病生活を続けている友人も何人かいます。よい意味で残された時間を幸せに過ごしてくれればと思います。

 人生終盤戦での制限のある状態での生活でよく思い出すのが、正岡子規と『終身犯』という映画です。

 正岡子規は司馬遼太郎の『坂の上の雲』という小説に出てきます。日露戦争で活躍した軍人、秋山好古、真之兄弟と松山の同郷で若いころは一緒に過ごしていたようです。俳句や短歌など文学人として有名ですが、20代で当時の不治の病である結核になり34歳で亡くなります。終盤戦に彼の世界は、自分が療養している家とそこから見える庭という限られた状況になりますが、その状況を憂うのではなく、その世界を自分の唯一無二の世界と受け止め、最後までそこで得られる情報や刺激から想像し、文学人として作品を残し続けます。

 また『終身犯』という映画は、子供の頃に見たのですが、殺人を犯して終身刑となった囚人が、刑務所に迷い込んだ小鳥の面倒を見るようになり、いつしか鳥自体に関心を持つようになります。刑務所の中で鳥を育てさまざまな研究をするなかで、多くの鳥に関する文献を残し鳥類学の権威になるお話です。一生刑務所から出られないという環境の中で、新しい生きがいを見つけて生きていく姿に当時少年だった私は大きな驚きと影響を受けました。

 結局人はいつか死ぬわけなので、どんな状況の終盤戦であろうと自分なりの価値観考え方で、何をどう生きて、何を残していきたいのかを自分で決める事なのだなと思います。 まだまだ頑張れますが自分らしく生きていきたいですね。

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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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