自分の頭で考え抜く! ~勉強した内容に答えがあるのではない~
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学校の授業や書籍やネット、また仕事になるとセミナーとか専門家の意見を聞くなど勉強熱心な方はいます。でも多くの人はその勉強した内容の中に何か答えがあると思っているのではないでしょうか。私の好きなミステリー作家である、東野圭吾の小説に出てくる、湯川学(通称ガリレオ)が、「先生はなんの為に勉強するのですか?」と学生に聞かれると、「自分なりの答えを見つけるために勉強するのだよ」と答えるシーンがあって好きですね。
自分自身も以前がんになった時に、担当の医師に一般的な治療法を勧められましたが、自分で情報を集めて勉強し、自分の状況や意志に合う治療法を見つけて完治した経験があります。命に係わる事だからこそ自分で決めなければいけないと思いました。病気治療に関わらず、「言われた通りにやったのに」とか、「ちゃんと勉強したように進めたのにうまくいかない」と言うのはそもそもおかしい事で、その学んだ知見に自分の意志や置かれた状況、関係する人々への影響などを考えた上で自分なりの答えを導きだすという事が重要だと思います。
ネットの調査によると日本人のマスコミ報道に対する鵜呑み率は70%を超えていて、海外に比べると圧倒的に高いようですね。何事も鵜呑みにせずに、自分の頭で考えることが重要ですが、なかなかそういった思考の人は少なくなっていると思います。人の成長も同じで、簡単に答えだけを伝えてしまうと、自分で考える事をしなくなりますね。機会と情報を提供して、教えすぎない事も重要かと。もちろん緊急事態や早期になんらかの回答に辿り着かないとみんなが多大な迷惑を被るような場合は別ですが。
また、「考え抜くというのはどういう事か?」という視点もあるかと思います。例えば何か重要な選択をしようとする時に、自分がしたい選択の損得と、その選択をした時に行動していくイメージくらいまではみんな考えるのだと思います。でも考え抜くという意味では、
・その選択によって影響を受ける人々とその内容について
・その選択をうまくいかせるための複数の行動仮説
・うまくいかないとしたらどんな事が考えられて、それに対してどんな対応が可能なのか?
・その選択によって最悪な事になった場合それは許容対応できるのか?
・どんな結果であれ、その選択によって影響受ける人たちは自分も含めて学ぶ事はできるのか?
ここらへんは際限がないですが、どこまで考え抜いたかが結果的に重要ですし、それによってどんな結果が出ても学びに変えていけるのではと思います。
■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。