ポリシーとスタイル
~ミッションステートメントと向き合う時間~
⇒第69回「2022年を振り返る ~ビジネス編~」はこちらから
先日、いつもの社長会に出席し、ある女性社長から、「萩原さんは普段飲み会とかで接していると、遊びの話が多いし、仕事している感が少ないのに、一方ではクレドブックを書いたり、コラムの内容を見ると意外にまともな事が書いてあったりするから、どっちが本当か解らない」という事を言われました。言われた時には自分の中で違和感があって、うまく対応できませんでした。というのも、遊びも仕事も特に分けずにまじめにやっていますと言う事なんですが。社長なので経営の事を考え実行している時間が一番多いと思いますが、「仕事頑張っています」という表現をするのが苦手で、少し照れくさい感じもあり、「普通にやっていたらうまくいっちゃいました」みたいな感じで表現する事も多いので、そう見られるのかも知れないですね。
一方、もともと何事に対しても、はまり症なところはあって、プライベートでもサッカーやギターとか、カナダに行ってヘリコプターで頂上まで行ってスキーで降りたり、知的好奇心系でも、物理とか天文学とか歴史とかが好きで過去にのめり込んだりした事がありますね。仕事や勉強をしているという意識ではなく自分自身の知的好奇心です。また他者に対しても、損得ではなく、自分が持っている経験や知識が役に立つと思えば、相手が誰であっても嫌がられない限りはサポートしてしまう事も多いです。以前、お金を貯めてファッションのお店をオープンしようしていた若者と六本木で知り合って、オープンの前日に朝まで、お店のペンキ塗りを手伝った事がありました。着ていたスーツにペンキがついてしまい、朝方に家に帰ると、家族にその理由をうまく説明できなかった記憶があります。
大好きだった司馬遼太郎の『竜馬がゆく』という本の中で、維新に向けた国事に奔走している竜馬が、ある日知り合った飲み屋の女性のために命をかけて、かたき討ちを手伝うシーンがあります。その時に竜馬の子分の寝待ノ藤兵衛という泥棒が、「竜馬さん、いま竜馬さんは国を動かすような大事をやっているのに、飲み屋の女性を助ける為に命を危ない目に合わすなんて、理にかなってないじゃないですか?」と言うと、竜馬が、「人は運が悪ければ風呂場で転んで死ぬ奴もいるし、命なんかどうなるかは天の声に任せ、目の前の困った女人を助ける事に命を張れないようであれば、そもそも天下国家の大事は出来るにあらず!」と言うシーンがあって、「かっこよいなあ!」と高校生の時に思いました。
もちろん責任感は必要なのですが、あまりにも義務や仕事だからという感じでやるとパフォーマンス上がらないタイプですね。仕事とプライベートをきっちり分けるという感じの方から見るとちょっと不謹慎に見えるところもあるのかも知れません。自分なりには、パフォーマンスを上げやすいスタイルがこれなので、リスクも考えつつ、他の人に不愉快な感じは与えない様に配慮しつつ続けたいと思います。
また、別の忘年会では、今経営的に苦境に立っている友人の社長がいて、その人が必要以上に被害者意識を持ってしまうと二次被害が起こる可能性があると思い(自分が被害者であるという意識が強すぎると防衛的になり過ぎて、またよくない事が起こる可能性)、彼のためと思い真面目に答弁してしまいましたが、非難したように聞こえたようで上手に伝わりませんでした。ある社長が、まあまあと止めてくれたので、私もそれ以上話しても難しいなと思い、席を離れて、別の仲間と楽しんでいました。
相手が弱っていて過反応になっている状態に対する配慮が足らなかったなと反省しています。一方で、そういった時に、とりあえずその場を済ませる事だけを考えて進んでいくのはどうなのかなという思いもあります。時間が経って、認識が共有できる時もいつか来るのではないかと思います。
新年を迎え、いつも通りミッションステートメントの見直しや、今年の目標を考えています。自分自身のポリシーとスタイルって、自分のミッションステートメントの中にある、「ありのままの自分を表現でき、遊び、学び、働きそれを共有できる人々が大切な仲間である事、自らの価値観(直感)を信じ、勇気と思いやりをもって人々と接する。そしてその人(人々)の目的の実現に貢献する事」という事なんだなあと、再度確認できたかなとも思います。
あまり自分のスタイルにこだわり過ぎるのもよくないと思いますが、大切にしつつ、時にそれに対して客観的な視点を持ち、他者の意見にも耳を傾けつつ、再新再生をしていければと思います。皆さん今年もよい年になる事をお祈りしています。
■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。