他者を違いと認識しリスペクトする!
~違いって何?~
⇒第66回「スタートアップ ~自分たちが置かれている共通認識の重要性~」はこちらから
何かを進める上で意見が対立した時に、「あいつは間違っている!」とか、「何考えているか解んない」など、マイナスになってしまう事ってありますね。でも違う考えや力が一つの方向に進み始めた時に、本当の意味の相乗効果が発揮されるのもまた事実だと思います。「そもそも違いって何なんだろう?」とウォーキングしながら考え始め、因数分解してみました。
考え始めてみると、自分自身が同じ人間であるにも関わらず違う事もあるなと思い、まずはそちらから考えてみました。同じInputがあっても必ずしも同じOutputでない事があるという事ですね。ここが変わらない人は、軸がはっきりしていてぶれない人になるんだと思います。でも人間なので、いつも完璧なコンディションでない事もあるかと思います。体調やメンタルの状態、厳しいプレッシャーがある時はいつものOutputができず、普段と違う対応をしてしまったみたいな事もありますね。力の入っていない自然体でいる事が一番よいと個人的には思っています。
また自分に対しては、あの時はちょっと調子悪かったからと、優しくなれるのですが、他者の対応には寛容に許せない事も多いかも知れません。多くの場合、決してその人が悪い人なのではなく、たまたまコンディションが悪く、違った対応をしてしまった。でもその一回の対応を、許せなくなって心の中で裁いてしまい、もう受け付けなくなってしまう事もあるのだと思います。他者に接する時は、常にその人の置かれた状況やコンディションがどうなのかを気遣える余裕が持てるとよいですね。そういう風に自分を保つ努力も必要かと思います。
一方、シンプルに他者との違いを因数分解すると、経験とそれに裏付けられた価値観、そして知見になるのかなと思います。その人が過去にどんな経験をしてきたか、それによってどんな価値観がはぐくまれ、何を大切にして、何に対して反発するようになったのか。他者を理解しようと努力する事は出来ますが、価値観を変えようとする事は、多くの場合難しいのだと思います。その人がまたいろいろな経験をしていく事で変わっていくのを見守る感じですね。
そして、知見。これは言葉とその概念の理解が重要かと。ここはお互いのコミュニケーションを深める事で、解決する事や、共感できる事もあるのだと思います。「言葉はラベルだから!」と、昔ある友人がいつも言っていました。何かの事象や考え、概念に対して言葉というラベルを貼っているだけで、同じ言葉として使っているものでも、その人によって中身は違うという事ですね。よくあるのが「頑張る!」ですね。
「おまえぜんぜん頑張ってないよ!」と言われた人が、「いや俺は頑張っている!」と返しても、この二人の「頑張る」の内容が違うのであれば、これはまったく不毛な会話になります。まあこれは稚拙な例ですが、ビジネスの世界で言えば、例えば「頑張り」をKPIなどにして可視化して、客観的に判断できる事が重要ですね。また「ガバナンス」とか「法令順守」とか、「セキュリティ」などビジネスで普段使っている言葉や概念でも、人によって、その中身の理解や捉え方が違う場合がほとんどです。
何故その概念が必要なのかを具体的な事象に落とし込んで、共通の認識を創っていく事が大切ですね。そういった取り組みを通じて、お互いの違いに関する理解が深まって、組織チームとして相乗効果の発揮しやすい環境が少しずつ出来ていくのだと思います。
■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。