歴史を変えた人たちの思い
~すべては個人の知的好奇心からはじまる~
⇒第63回「変われない日本! ~きめ細かいサービスが変革を妨げる可能性~」はこちらから
私が以前いたリクルートには「個の尊重」という経営理念がありました。個人の意思や思いって、最初は知的好奇心みたいな事からはじまるのだと思います。
「これって何故こうなっているんだろう?」
「このルールってなんで出来たの?」
「まだ見ぬこの世界はどうなっているんだろう?」
太古の昔から夜空を眺めて、宇宙に関していろんな想像をしたり、「日食とか、台風とか地震とかの様々な自然現象が何故起こるのだろう」と多くの人が疑問に思い、一部の探求心のある人たちがそれを時間をかけて究明していき、いろんな科学や発明が生まれたのだと思います。そしてそういった個人の知的好奇心からの発想が、「これってひょっとしたらこんな事に役に立つのでは?」と思う様になり、「これが実現すると多くの人々が幸せになるよね」とか、「多くの困っている人を救うことが出来るよね」と、それが経済的な効果も重なってビジネスになり、多くのビックビジネスが生まれて来ました。
また宗教や政治的な仕組みも、多くの人が幸せになるための考え方や、世の中の仕組みとして出来てきたのだと思います。自分自身も経営者としてビジネスをやってきて、歴史に残るような事ではないですが、新しいビジネスや仕組みを創ろうとした経験がたくさんあります。現在進めている、エムエム デジタルセールス・アカデミーという、一般の人が無償でデジタルセールスを学べる仕組みもそうです。エムエムの正社員を対象にやっていたアカデミーを、「コロナ禍で職を失った人たちに機会を与えるために、無償で開放してはどうか?」「エムエムとしても将来的に可能性のある人材と接点をもつチャンスになるのでは?」と思いついたのは、まさしくコロナ禍真っただ中の2年ほど前で、担当の役員と会社のそばの歌舞伎町の寿司屋で、その件に関して議論したのを今でも覚えています。
その時には思いだけでまだなんの形もなかったのですが、その後チャレンジを続けたことで、すでにこの仕組みの中でデジタルセールスを学び、新しいキャリアにチャレンジしていく人たちが出ています。これを実現すれば、少し未来の人たちを幸せに出来るかもしれない。そんな思いをもって取り組みを実現していくプロセスが、ビジネスの面白さだし、醍醐味ですね。
私たちのビジネスの周りには個人の意思をもち、勇気をもって行動すれば、そういった機会はたくさんあるのかと思います。何かと何かを組み合わせる、世の中の一般論ではなさそうな事にチャレンジしてみる事で新しい価値を創造する。これって会社的な判断でなく、個人としての「何故?」「こうしたらどうなるの?」という事から始まるのだと思います。
会社が組織としてINNOVATIONをするというよりは、会社や組織はそういった個人の発想や意志を、止めないようにする。それを発信して実行しやすい環境を作る事が重要だと思います。組織で働く人たちも、自分の中にある思い付きや疑問や発見を止めずに、アウトプットしてどんどんチャレンジしてほしいですね。
■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。