• 2022/09/30
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はりこらむ 第63回「変われない日本! ~きめ細かいサービスが変革を妨げる可能性~」

  • 萩原 張広  
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変われない日本!

~きめ細かいサービスが変革を妨げる可能性~


⇒第62回「仕事の考えをプライベートに! ~人生を3倍楽しく、生産性高く!~」はこちらから


 先日、NHK特集の番組を見ていたら、日本の就業者の賃金の中央値が20年前より100万円以上下がっていると同時に、賃金水準の高い層と低い層での二極化が進み、中間層がいなくなって、世界から遅れているという内容をやっていました。

 その原因として、高度経済成長時代の終焉とか、年功序列型賃金体系の問題とかが挙げられていましたが、これってもうずーっと前から言われていますよね。20年以上も前から同じような事を言われていて、なんで日本は変われないのだろうと思います。

 一方、最近「新しい形の新卒採用」を考えていて、リサーチもかねて就職を考えている大学生の話を聞くと、やはり多くの学生は大手思考ですし、福利厚生が充実した会社に行きたいと言っている人も多いです。よい意味で親御さん世代の影響をちゃんと受けていて、昔とあまり変わっていない様に感じます。もちろん一部の学生は起業などを狙って、違う視点で就活を考えていますが、やはり少数派ですね。実際に私たちが、日常的に感じているビジネスシーンでの日本が置かれている危機感とはだいぶ違う感じがします。

 多くの大手企業は、大きな成長はしていませんが、内部留保とかは結構あって、すぐに倒産する感じではないし、まだ余力があるので大きく変わる必要もないというか、私の世代くらいの人たちは、「自分が働いている間や生きている間はこのままでよい」と思う方が、まだ多いのかも知れません。でも実際には今の40代,50代のサラリーマンは役職につけない方も多く、役職についても、早くに役職定年があって、皆さんが入社時に考えている将来のイメージとはだいぶ違う実情もあるように見えます。

 私の会社のお客様はIT業界が中心ですが、現状、IT業界ではSaaS系のビジネスが伸びていますね。ある資料によると、企業がSaaS系のサービスを導入している数は、日本の会社はまだ1社あたり10サービスくらいだそうですが、海外では30~40のSaaSサービスを導入しているのが当たり前の様です。日本の様に、オーダーメイドでシステムを開発する会社や、プロダクトのカスタマイズをするようなシステム会社が海外にはあまりないので、ほとんどの会社がプロダクトとしてのSaaSサービスを導入して、その組み合わせで会社の業務を進めるのがスタンダードな様です。

 アメリカでは、多くのSaaS系のベンチャーがINNOVATIONを起こしてサービスを展開して、中国や一部のIT先進国も続々と新しいSaaSサービスを生み出しています。一方、アジアや他の途上国の企業は、そういったSaaSサービスを続々と導入しています。日本の場合は、親切なシステム会社がその顧客にあった個別のシステムを開発してくれますが(お金は結構かかります)、多くの途上国はその選択肢がないため、SaaSシステムのベストプラクティスに自分の会社の業務を合わせていく事になります。

 これってよく考えると、日本は個別事情のシステムをたくさん開発して、その仕組みはその会社しか使わないのに、たくさんのコストが掛かっていて、アメリカやITが進んでいる国はどんどんINNOVATIONが起きて、生産性を上げていき、そして後進国は、その新しいSaaSに自社の業務を合わせる事で生産性を上げていく。そして日本だけが生産性があまり上がらずに、どんどん世界での地位が下がっていく様に思えます。ある意味日本らしい個別のお客様に対応したきめ細かいサービスをしていく事が、結果的に国全体では生産性を下げて、変革が進まない理由の一つになっている様にも思えます。

 エムエムがやっている営業やマーケティングの世界でも、俗人的なきめ細かい対応の出来る営業マンが活躍していた時代のなごりがまだたくさんあり、一部の先進的な企業を除いては、営業業務の仕組み化、標準化はなかなか進みません。コロナをきっかけに変革スピードは変わっていますが、まだまだこれからですね。このスピードをもっと上げて行かないと日本の世界での位置はどんどん下がっていく事になると思います。

 一方、観光業界では日本らしいきめ細かい「おもてなし」が大きな価値になりますね。そういった意味では、コロナが収束して観光産業が、復活するのは良い事だと思います。日本らしい良さを出していく事と、グローバルな変革に対応していく事の両面が今後必要になるのだと思います。


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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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