• 2022/06/24
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はりこらむ 第57回「パブリックカンパニーになる ~起業して30年、今後について思う事~」

  • 萩原 張広  
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パブリックカンパニーになる

~起業して30年たって今後について思う事~


⇒第56回「会社の理念 〜浸透させるのか?結果的に浸透するのか?〜」はこちらから


 エムエムを起業して30年以上たちますが、その間にバブル崩壊、リーマンショック、震災、今回の新型コロナなどいろいろな事があって、その都度事業への大きな影響がありましたが、なんとか生き抜いて来たなあという実感があります。社員数も200名近くなってきて、私自身よい年齢にもなっているのでこの先の事を良い意味で考えますね。

 会社を始めた頃に、家族に対してはどんな状況になっても年収800万位の普通の家庭を作ると決めて、会社の調子が良くて私に結構な収入があった時も、逆に会社が厳しくてほとんど役員報酬をとれずカードで借金していたような時も、家族にはそんなに大きな変化がない様にしてきて(もちろん、かみさんの助けもありました)、3人の子どもたちは育ったと思います。

 特に社長の子どもという意識もなく、高校まではみんな公立でした。何よりも「自分の価値感で幸せになってね!」というメッセージを私が出していたので、今は社会人になり、みんなそれぞれ自分で選んだ職業についています。世襲的な事は考えていないので、会社の中から次のリーダーが出てくればなと思っています。

 現状、エムエムのやっている事業は、営業DX人材の育成や、マーケティングを普及させる事によって、売り手買い手双方の幸せと日本の営業生産性を上げるという社会貢献性の高い事業ですし、このテーマは日本にとって今後も重要な事だと認識しているので、将来的に私がなんらかの理由でいなくなっても事業としては存続して継続的な成長を遂げてくれればいいなと思います。そんな中で社内へはエムエムはパブリックカンパニーを目指して行くのだとアナウンスしています。

 パブリックカンパニーをネットで調べると以下の様な文言が出てきました。
「プライベートカンパニーからパブリックカンパニーへ」

 企業が上場すると、パブリックカンパニーと呼ばれるようになります。上場が基準にはなりますが、非公開の会社でも【パブリックカンパニー】になっている会社も存在します。パブリックカンパニーということは、社外の第三者にも明確な説明ができる、ということです。

・経営方針
・経営計画

をはじめ内部統制までもがはっきりしていること。そして、計画通りに実績を出し続けていることです。「第三者から見られている」ことを意識することから始まるかもしれません。社員の方も、外部の方から見られていることを意識し、説明しなければならない立場に立てばおのずと理解できるでしょう。上場するかしないかは、あくまでもひとつの手段です。しかし、パブリックカンパニーになるのは、企業の役目の一つではないでしょうか。

 個人的にパブリックカンパニーのキーワードとしては、

1.       社会貢献
2.       説明責任
3.       法令順守
4.       適宜開示
5.       継続性

と思っています。世の中の役に立つ事業をやり、社会的な責任を果たし、会社の方針や活動内容についてしっかりとした説明が出来る。法治国家内の会社である以上その国の法律を守り、必要な情報をタイミングよく開示できる。その上で利益を上げ続け成長していける会社。

 上場はその一つの手段であり基準ですね。エムエム総研は私個人が設立したプライベートカンパニーですが、ずいぶん前から比率は少ないけれど外部株主さんも入れて、その準備をしてきています。現状は私のオーナーシップが圧倒的に強いので、オーナーカンパニーの側面が強いと理解しています。

 エムエムが今後成長を続け、社員数も300名とか500名とかになっていった時、さらにテレワーク等の新しい働き方が主流になっていくと、会社としての内部統制等も含めた管理機能やコンプライアンス、セキュリティリスク対応、意思決定や方針に関する透明性等課題はたくさんあります。その中で上場の基準を満たす会社になっていく事が大切だと考えています。

 IPOを目指す事で私のオーナーシップも分散され、多くの上場企業のようにちゃんと多数の株主から選ばれたトップがこの会社を運営していく事になると思います。上場の基準を満たした上で利益を上げ続ける会社になる事で、社員に対しても待遇面や社会的価値の向上などいろんな面で価値を上げていけると考えています。

 もちろん創業間もない頃に出資してくれた株主さんに報いたい創業者としての思いもありますが、現状エムエムに多大な出資をしていただいているベンチャーキャピタルがいてIPOに対するプレッシャーがかけられている訳ではないので、あくまでもIPOはパブリックカンパニーを目指す一つの手段であり、この会社の継続的な成長と社員や関わる皆さんのトータル的に考えた幸せのためと考えています。


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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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