• 2022/04/08
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はりこらむ 第52回「コア人材が育つ環境を作る ~業績責任と育成のバランスに悩む!その(2)~」

  • 萩原 張広  
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コア人材が育つ環境を作る

~業績責任と育成のバランスに悩む!その(2)~


⇒第51回「コア人材が育つ環境を作る ~業績責任と任せるバランスに悩む!その(1)~」はこちらから


 実際に自分が会社を創って、当時のリクルート時代の営業所の規模になるまで10年以上かかりました。

 会社設立後1年半でバブルが崩壊し、世の中の環境は厳しくなり、日本経済も長い不況の時代に入っていきました。そんな状況でしたので、何年かは自分で売って納品して、営業も全部同行して、経理や税理士さんの対応もして、すべての業務をプレーヤーに戻って経験しました。それ自体は当時の資金状況やリソースではしょうがない事ですし、経験になったのでよかったと思っています。

 しかしその状態を続けたかった訳ではなく、事業でチャンスを作ってちゃんと組織拡大して行きたいという思いは持っていました。そして実際に事業が軌道に乗って人が増えてきた時、前回書いたリクルート時代のマネージャー経験のおかげで、私の下にリーダークラスの人材がいる2階層の組織のイメージを持てていた事は、その後に向けて大きかったと思います。

 起業した時は3人のメンバーでしたが、経営が始まると、キャッシュフローのリアリティはリクルート時代とは当然違う訳で、実際にお金が回らなくなるとお給料もパートナーさんへの支払いも出来なくなります。当時のエムエム総研は起業時に資金調達していなかったので、私の手持ち資金と銀行の借り入れで回していましたから、キャッシュはいつもギリギリでした。エクセルで手作りの資金繰り表を作って、そこの最後の行に、「お金残」という項目がありました。厳しい時は今月いくら粗利稼いで、その分を全部翌月末入金にして支払いに回さないと足らなくなるような時もありました。そういう状況の中で業績リスクがある仕事をメンバーに任せるのはとてもしんどかったですね。

 途中で手を出してしまう事もしばしばあったと思います。会社をつぶしてしまっては元も子もないですが、やはりもう少し長期的な視点で経営が出来ないとダメだなと思う様になりました。ちょっとずつ利益で資金を貯めて……とも思いましたが、その当時コールセンターを使った新しい事業を考えていたので、この事業計画をもとに外部から資金を集めようと思いました。今の様にスタートアップに資金を出してくれるVCがたくさんいる時代ではないので、自分で創った事業計画書を持って、知り合いや先輩経営者を訪ねて回りました。今思い出しても、陳腐な計画書で赤面の至りですが、1件1件回って真摯に話すと、10名ほどの人たちが資金を出してくれることになり、3,000万円くらい資金調達する事が出来ました。当時のエムエムの事業規模で言えば大きな金額だったと思います。

 この資金のおかげで事業の為に新しい人を雇ったり、仮説で立てたプランを誰かに任せてみたり出来るようになりました。もちろん仮説ですのでうまくいかないケースの方が多いのですが、失敗から学んでそのメンバーが成長していく時間をとれるようになったのは大きかったと思います。そして多少軌道にのってきた事業をもとに再度計画を練って、その後さらに億単位での資金調達をする事になります。

 人が育つ為に一番重要な事って、その人が主体性を持ってやった仕事で失敗し(もちろん最初から成功する事もありますが、まれだと思うので)、そこから学ぶ経験なんだと思います。そしてその失敗する時間やコストも含めての計画や想定、また、それが実現できる環境をリーダーが作る事だと思います。すべての人がそうなれる訳ではないので、可能性のある特定のメンバーを選んでそういった人に機会や環境を作っていく事が重要だと思います。

 例えば(人数規模が小さい時の良さでもあるのですが)、リーダー(社長)とメンバーがすぐにコミュニケーションがとれて、リーダーがメンバーにやって見せ、細かい指導もすぐにできる環境では、色んな事がスピーディに進みます。でもこれって実は、リーダーはさまざまな判断をして学びながら進んでいるけど、メンバーは言われたことだけをやっている場合が多いです。メンバーの業務的なスキルは一部アップするけど、本質的な成長という意味では、リーダーはメンバーの成長の機会を奪っているかも知れません。そういった状態で組織が拡大すると、次のリーダー的な人材が育っておらず、成長にブレーキがかかる事もあります。そんな中でも性急なリーダーはスピードを求めて、指示してすぐに結果を求めてしまうけど、そんなにうまくいく事はありません。

 もう少し長期的に見て、人に接する。失敗することも想定した上で、任せてみる。その上で機会として失敗経験を活用させる。業績的には保険をかけておく。その代わり本当のピンチの時はリーダーが自らやる。それ以外はやらない。そして自分の中で、どこまで我慢するか決めておいてあらかじめ伝えておく。そして落とし穴の可能性は伝えておくことですね。成功要因は一定ではないですが、失敗する要因はだいたい決まっているからです。その上でその人が学べる機会や情報を与えていく。

 必要以上に自分が育てるとか教えるのではなく、情報と機会を与えて、時間はかかるけどその人の中で様々な経験を消化してその人自身で意志を持って成長していくイメージを持つ事が重要かと思います。ここらへんはタイプにもよるのですが、自分としては、そういった状況を眺めそれを楽しむ事が大切だと自分に働きかけています。


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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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