オリンピックが終わって思う事。ハードワークする権利!
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多くの皆さんは知らないと思いますが、私の子どもの頃のオリンピックはアマチュアスポーツの祭典であり、プロのアスリートは出場する事が出来ませんでした。
当時はお金をもらってスポーツするのはアマチュア精神に反するみたいな空気がありましたね。サッカーもオリンピックはアマチュアの世界一を決める大会で、ワールドカップはプロも含めた本当の世界一を決める大会でした。当時はサッカーにおけるオリンピックは、ワールドカップに比べ、それほど権威の高い大会ではありませんでした。
経済効果の大きさや努力して活躍した人が恩恵を受けるのはいけない事ではないと言った考えから、30年ほど前からオリンピックもプロ選手が出場するようになりましたし、現状ではオリンピックで活躍する事は大きな経済的成功をその人にもたらす事になっています。
オリンピックを目指す人、出場する人のほとんどがその競技のために、人生の大部分をその為につぎ込む事になります。そして成功すれば名誉と経済的な幸せを手に入れる事が出来る。これってビジネスの世界と一緒ではないかと思います。彼らはその練習では実際的な対価をもらっていない場合が多いので、労働者という扱いではないのだと思いますが。
一方で現状のビジネスの世界では、本人が望んでいても、必要以上に仕事に打ち込んで、長時間働く事は許されない風潮にありますね。もちろん健康管理の視点や、オペレーションワークを長時間休みなく続ける事は有意義と思いませんが、知的労働も含め、ある時期、質量ともに、それなりのハードワークをする事はその人の将来の成功の為に必要な事なのではと思います。もちろんこれはその人の意志があっての話で、会社側が働いている人に無理に強制するのは違うと思います。
働き方改革が言われて久しいですが、時間や場所などに囚われない働き方の実現、低賃金労働や本人が望まない上での選択肢のない長時間労働の改善はもちろんですが、意志をもって成長したい、そして自分で成功を勝ち取りたいと思っている人たちもいるので、そういう人たちには選択肢のある状態を作るべきだと思います。
働く人たちをすべて弱者として捉えて施策を講じるのは、すでに時代に合わなくなっていると感じます。むしろ人々の成長の機会をなくし、日本の成長にはマイナスな側面もあるのではないでしょうか。経営者に限らず、ある程度成功を収めている人たちで、そういったハードワークなプロセスがない状態で、成長してきた人を私はあまり知りません。不謹慎かもですが、オリンピックでメダルをとった人たちは、ハードワーク的に練習に取り組んでも怒られずに賞賛されてよいなあとちょっと思ってしまいました。
最後に、私が起業前に働いていたリクルートの創業社長の江副さんの言葉ですが、先日知り合いの元リクルートの方から教わったのですが、意味深いので記したいと思います。
「人間がどれだけ良く働くか、どれだけ多く働くかは、その人自身が決める問題だ。人間は自己の生産量とその質について自ら決める能力と機会を持っている。このことはむしろ人間の権利であるというべきかも知れない」――江副浩正
■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。