• 2021/05/10
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はりこらむ 第18回「お金の稼ぎ方 ストック&フロー ~20代をどう過ごすか!~」

  • 萩原 張広  
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お金の稼ぎ方 ストック&フロー

~20代をどう過ごすか!~


⇒第17回「エグゼクティブワーカー(知的創造ワーカー)の働き方 ~私にとっての労働と「はたらく」の違い~」はこちらから


 20歳くらいの頃に出会ったタイル工事会社の社長にずいぶんと影響を受けました。

 その社長から「お金を貯めたから社長になれる訳ではない、そんな金すぐなくなっちゃうし、20代の頃は貯金している暇なんてないよ!」と言われました。その頃の私はまだ喫茶店でもやるくらいしか将来のイメージが無かったので、独立して社長になる為にはとりあえず貯金する事かなと思っていました。今となればその意味はよく解ります。

 その社長は、当時30代半ばくらいで、20代で起業してタイル工事店をやっていました。私が営業として働いていた建築資材商社で、私が新規で開拓したお客様です。30人くらいの社員や職人さんを抱えて横浜では結構手広くやっていて、夜は関内あたりでいつも飲んでいました。私も結構可愛がられて飲みに連れていってもらいました。

 その社長は高校を卒業すると、建築系の会社で働いて、そこで知り合ったタイル工事の職人さんたちを集めて会社を創りました。サラリーマン当時は職人さんたちと毎日の様に飲みに行って、人脈を広げそれが起業につながった。また営業なのに、地下足袋はいて職人さんたちと一緒に仕事することで、いろいろな事を学んだそうです。

 その社長が言うには、20代のうちに稼げる力をつける事と仲間をたくさん作ることが一番重要だという事でした。

 私は漠然と社長になる事を夢見て、建築資材商社で営業をやっていましたが、建築関係の仕事をしたかった訳ではないので、どんな力を身に着けてどんな仲間を作るべきかを考え始めました。
営業なので営業力かなとも思いましたが、今までの営業の仕事ではそれなりに実績を出していたので、もっと自分で企画したりする仕事をしたいと思いました。

 こんな事を言ってはなんですが、それまで自分が働いた会社には、自分から見て優秀でリスペクトできるような人達があまりいなかったので、優秀な人材がいっぱいいるようなところで働いて力を付けたい、そういった環境で実績を出して、リーダーになってみんなを引っ張っていける存在になれば、社長の夢に近づくのではと考えました。

 そんな背景もあり、高校時代のある友人のすすめで、正社員だった当時の会社を辞めて、リクルートにアルバイトで入社しました。以前も書いているのでここでは詳細は、省きますが、結果的にはリクルートで正社員になりマネージャーになって今の会社を設立する事になります。

 リクルートに入る前の年収は、23歳で400万くらいで、年齢の割にはもらっていた方だと思いますが、リクルートにアルバイトで入って一瞬下がりました。その後は順調に階段を上がった感じだったので、毎年100万くらいずつ年収は増えていったと思います。

 前述した社長の言葉どおり、上がったお給料はぜんぜん貯金せずに、仲間と飲んだり自分への投資や楽しみに全部使っていました。当時出始めたパソコンを60万円くらいかけて買ったり。正社員になってからは、リクルートの持株会で株を買う事が出来たので、限度額の一杯まで株を買っていました。独立する時はほとんど貯金はなく、退職時に株を売却したお金が起業資金(たぶん買った金額の3倍くらいになっていたと思います)になりました。その後も自分の会社の株を借金して買い足したりして、現状も自社株以外の資産はほとんどありませんが、利益を出せば配当をもらっています。

 お金もそうですが、リクルートでは、企画力を上げる仕事とマネージメントの経験をする事ができ、たくさんの優秀な仲間と出会うことが出来ました。それで起業することが出来たと思いますし、事業をはじめた後もその経験や仲間がいる事に何度も助けられました。

 これってストックとフローをちゃんとやっていたという事ですね。

 何にもお金ないところからのスタートだとすると、普通の若者は時給1000円くらいからスタートする事になると思います。フローの収入だけですね。まずはこれが上がっていくような、仕事、経験、環境のあるところで頑張って収入を増やしていく。そこで付けた力が将来の稼ぐ力につながる事が重要ですね。そしてそうした環境の中で、多くのチャレンジをして、いざという時の仲間をつくっていく。貯金よりも自分への投資ですね。そしてある程度の収入が上がってきたら、ストックへの投資をする。そしてそこからのリターンを経て再度また投資をしていく。

 去年流行っていた資本論という本にも書いてありましたが、結局はストックを持っている人は資産が増えていき、フロー収入だけの人は永遠に増えない。

 六本木のバーとかにいくと、大学にいくのに奨学金を借りて、卒業後就職した後に、現状のお給料では返済が大変で夜バイトしている若者に会います。自分で借金(奨学金)をして大学にいっている人は技術系などの専門知識を身に着けるか、超有名私立や国公立の大学に行かないと、就職しても大学にいくための投資が回収できないのではと心配になります。

 そういう人達は、せめて今の仕事が将来のリターンにつながるようなスキルや経験が身に付く環境で働いてほしいですね。必要に応じて転職も考えるべきではと思います。

 20代は、将来価値を上げる為の自分の資産(経験・スキル・仲間)を作る大切な時間です。
どんな20代を過ごしたかが、その後のビジネス人生にとても大きな影響を与える事になると思います。


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■萩原 張広 Profile
株式会社エムエム総研代表取締役CEO。株式会社リクルートにて法人営業、営業マネージャーとして7年のキャリアを経て、株式会社エムエム総研を設立。法人営業のコンサルティングサービスを大手IT企業やベンチャー企業に向けて多数提供。1998年、ニューヨークでの視察経験から日本でのBtoBマーケティングの必要性と可能性を感じ、業態をBtoBマーケティングエージェンシーとする。以降、数百件のマーケティングプロジェクトに関わる。

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