• 2020/10/15
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印刷会社の凸版印刷がすすめるデジタルトランスフォーメーション(DX)

  • マーキャリ 編集部
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目次

日本を代表する印刷会社である凸版印刷。印刷会社にはデジタルなイメージはあまりないかもしれません。しかし、国内最大の電子チラシサービス「Shufoo! (シュフー)」を運営しているのが凸版印刷だと言えば、少し意外に思うのではないでしょうか。


この記事では印刷会社である凸版印刷が、実はデジタルトランスフォーメーションをサポートする側であることについて解説しています。ぜひ参考にしてください。

デジタルトランスフォーメーションとは

凸版印刷の事例を紹介する前に、デジタルトランスフォーメーションについて解説します。デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)は、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱されました。DTではなくDXと略すのは、英語圏では「Trans」を「X」と略すことに由来しています。


デジタルトランスフォーメーションとは何かについて、経済産業省では以下のように定義しています。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」。


つまりは製品をデジタル化するといった取り組みではなく、「デジタルを使ってビジネスモデルに変革を起こすこと」と言えます。当然ビジネスとは企業や一般消費者に向けて行うものですので、企業内だけでなく社会全体に変革が起きることになります。


よくある誤解としては「デジタル化=デジタルトランスフォーメーション」というものです。環境の変化に適応するための手段としてデジタルのテクノロジーやツール、データを活用することがデジタルトランスフォーメーションの本質です、デジタル化はあくまで1つのステップにすぎません。この点については誤解がないようにしておきましょう。たとえばオンライン商談ツールやWeb会議を導入するといったことはデジタルトランスフォーメーションではありません。  

デジタルトランスフォーメーションが進まないとどうなる?

経済産業省はデジタルトランスフォーメーションの推進についての具体的方策を盛り込んだガイドラインを発表するほど、デジタルトランスフォーメーションを積極的にすすめようとしています。これは、デジタルトランスフォーメーションが進まないことにより、日本企業全体が大きな損失をこうむることが予想されているからです。  

2025年がタイムリミット「2025年の崖」

多くの経営者は、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変するデジタルトランスフォーメーションの必要性について理解しています。しかし、デジタルトランスフォーメーションが進まないのには社内に大きな課題が潜んでいるからです。課題とは「既存システムの複雑化・ブラックボックス化」と「現場サイドの抵抗」です。


企業では、業務を行うにあたってすでに何らかのITシステムが導入されています。長年使われているものは、システムが老朽化するだけでなく複雑化することで、どんなものなのか実態が見えないブラックボックス化しています。新たなシステムを1から導入しようとしても、仕事のやり方そのものを大きく変更する必要があるため、現場からの抵抗が大きいことも、ブラックボックス化がすすむ要因となっています。しかし、これらの課題が解消されずデジタルトランスフォーメーションが進まなければ、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があるといわれています。これを「2025年の崖」と呼びます。


経済損失が起きる大きな理由には、市場での競争に敗れてしまうことに加えて人材不足が挙げられます。 属人化してしまった既存システムの運用者は、基本的には長年会社に勤務している方が担当しています。そのため運用者が退職、高年齢化し、既存のシステムが使えなくなる日が来ます。しかしそれを引き延ばせば引き延ばすほど、時はすでに遅しという状態になります。いざ、新しいシステムを導入しようとしても、人材の確保や育成ができていないため最先端の知識を持った人材はいません。2015年時点ではIT分野における人材は15万人不足していましたが、2025年には約43万人にまで膨れ上がるとされています。


デジタルトランスフォーメーションを進めることができなければ、企業としての競争力を失ってしまう。デジタルトランスフォーメーションは、何もIT系企業だけの話ではなく業界も業種も関係なく、あらゆる企業で推し進めていくべきものだと言えるでしょう。  

凸版印刷のデジタルトランスフォーメーション

凸版印刷は印刷という業務だけを行っている会社ではありません。たとえばチラシの印刷であればチラシを配布する店舗、地域、商品、顧客の特性などをとらえるマーケティング活動や、顧客情報の管理、ダイレクトメールの発送など、多岐にわたる業務を手がける必要があります。


凸版印刷には、印刷といった単一のカテゴリーではなく流通に関わる広い分野でノウハウがあるのです。凸版印刷は、ITの活用によって流通に関する膨大な情報を統合・管理・活用し、流通の課題を解決していく「デジタルトランスフォーメーション」の分野の力を入れています。 凸版印刷が製造業のデジタルトランスフォーメーション支援のために提供しているサービスが「NAVINECTクラウド」です。


「NAVINECT」は、もともとは自社の製造拠点をデジタル化するために開発した製造アプリケーションをサービス化したものです。これまで各企業にサーバーを設置して管理するタイプのサービスでしたが、主要なアプリケーションをクラウド上で提供開始したのが「NAVINECTクラウド」です。クラウドとは、「クラウドコンピューティング」のことで、従来のようにパソコン上のアプリやデータではなく、インターネット経由でアプリケーションを使うことを指します。サーバーの設置が不要でインターネット環境があれば、タブレットなどからもアクセスできます。


「NAVINECTクラウド」では、「生産点検」「見える化」「在庫管理」「帳票管理」「トレース」の5つの機能が提供されます。ちなみにトレースとはその製品がいつ、どこで、だれによって作られたのかを追跡できるシステムのことを指します。 凸版印刷では、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援するためのセミナーを実施するといった活動も行われています。


印刷会社と聞くだけでなんとなくアナログなイメージがあったかもしれませんが、想像以上にデジタルトランスフォーメーションが進んでいると感じたのではないでしょうか。 凸版印刷の事例は、デジタルの力を使って新しい価値を創り出すという意味でデジタルトランスフォーメーションの好例だと言えるでしょう。


デジタルトランスフォーメーションの本質は、顧客に対して理想的なかたちで価値提供をするためにデジタルの力を使うこと。自社が社会や顧客に対して、どんな価値を提供する会社なのかを見つめ直すところから、デジタルトランスフォーメーションが始まるのかもしれません。

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