• 2020/10/12
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Googleが社会に起こすデジタルトランスフォーメーション(DX)にはどんなものがある? 事例を解説

  • マーキャリ 編集部
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「ググる」という言葉があるほど、一般にも広く認知されているGoogle。この記事ではGoogleがこれまでどのような変革を社会にもたらしてきたのか、デジタルトランスフォーメーションの観点から解説しています。自社でどのようなデジタルトランスフォーメーションが必要なのかについて考えるヒントとしてください。

デジタルトランスフォーメーションって何?なぜ必要?

デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)は、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱されました。DTではなくDXと略すのは、英語圏では「Trans」を「X」と略すことに由来しています。


デジタルトランスフォーメーションとは何かについて、経済産業省では以下のように定義しています。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」。


つまりは製品をデジタル化するといった取り組みではなく、「デジタルを使ってビジネスモデルに変革を起こすこと」と言えます。当然ビジネスとは企業や一般消費者に向けて行うものですので、企業内だけでなく社会全体に変革が起きることになります。


日本では経済産業省から、企業がデジタルトランスフォーメーションを達成するためのガイドラインも発表されています。日本では諸外国に比べてデジタルトランスフォーメーションが遅れているとされています。


デジタルトランスフォーメーションに取り組む際の、よくある誤解としては「デジタル化=デジタルトランスフォーメーション」というものがあります。環境の変化に適応するための手段としてデジタルのテクノロジーやツール、データを活用することがデジタルトランスフォーメーションの本質です、デジタル化はあくまで1つのステップにすぎません。この点については誤解がないようにしておきましょう。たとえばオンライン商談ツールやWeb会議を導入するといったことは、業務の一部をデジタル化したに過ぎずデジタルトランスフォーメーションではありません。  

デジタルトランスフォーメーションの推進が必要な理由

世界中で新たなデジタル技術を利用したこれまでにないビジネスモデルがどんどんと生まれてきています。時代につれてビジネスモデルの展開方法が変化し新規参入企業も増えてきています。そのような状況の中で既存の企業が収益を上げ続けるためには、場合によっては業務全体の抜本的な改革が必要となります。


そこで求められるのがデジタルトランスフォーメーションを進めること。競争力を維持するためには従来通りのやり方では革新的な新規参入企業に太刀打ちできません。デジタルトランスフォーメーションを進めることは競争上の優位性を保つために避けては通れないものなのです。 特に日本においてはデジタルトランスフォーメーションの推進が世界的に遅れていると言われています。


しかし、デジタルトランスフォーメーションを推し進めるには障壁があります。それは既存のシステムです。企業では、業務を行うにあたってすでに何らかのITシステムが導入されています。業種によっては数十年単位でシステムの変更が行われていないというケースも珍しくありません。企業は自社が運用しやすいようにシステムをカスタムし続けるのが通常ですので、システムが老朽化するだけでなく複雑化し、どんなものなのか実態が見えないブラックボックス化している現状があります。


たとえデジタルトランスフォーメーションへのステップとしてシステムを刷新することを経営者が望んでも、仕事のやり方が変わるのを嫌う現場の反対があり改革がすすまず、さらにブラックボックス化がすすむといった悪循環が生まれています。


ブラックボックス化が解消できない場合は、デジタルトランスフォーメーションが実現できないというだけにとどまらず、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があるといわれています。これは「2025年の崖」と呼ばれています。


経産省は、システムのブラック化による経済損失を危惧しているため、デジタルトランスフォーメーションを積極的に推進しようとしているのです。

Googleのデジタルトランスフォーメーション事例

日本では遅れてしまっているデジタルトランスフォーメーション、その解決のための糸口はデジタルトランスフォーメーションがすすんでいる企業に着目することで見つけていきましょう。Googleのデジタルトランスフォーメーション事例を紹介していきます。

Google Duplex

「Google Duplex(グーグルデュプレックス)」はiOSとAndroidで配信されている音声アシスタントアプリの「Google アシスタント」を経由して、AIが人間の代わりにレストランや美容院などに電話をかけて予約を代行してくれる機能です。「Google アシスタント」で店舗の検索や決定をすれば、自身で文字を打ち込む必要すらありません。AIが実店舗に電話をするわけですので、当然電話を受ける側はAIではなく人間です。しかしいかにもAIであるような機械音声ではなく、人間の声に近い声で予約をしてくれるので、相手はAIだと気づかないこともあるほど。


日本ではまだ実装されておらずアメリカのみで開始しているサービスとはなりますが、面倒な予約をそのまま代行してもらえるのは生活がデジタル化するということ。まだ完璧な精度ではなく部分的に人間が電話を担当する場合もありますが、画期的なサービスだと言えるでしょう。また、電話を受ける店舗側も、Googleアシスタントからの電話を受けない設定にできます。

Google Cloud Platform(GCP)

Googleのデジタルトランスフォーメーションを語る上で最も重要となるのが「Google Cloud Platform」です。Google Cloud Platformは、Google社が提供する公共クラウドサービスです。Googleのサービスといえば検索エンジンをはじめとして、YouTubeやGmailなどさまざまなものがありますが、それらはすべてGoogleが持つ世界各地のデータセンターとネットワーク回線につながることで提供されています。 この世界最大のネットワークを支える基盤を、一般利用者にも使えるようにサービス化したものがGoogle Cloud Platformです。つまり、Google社内で使われているものと同じテクノロジーやインフラを一般利用できるということです。  

Google Cloud Platformでできること

Google Cloud Platformでできることは1つではありません。Google Cloud Platformは、Googleのネットワークを使ったサービスの総称で、コンピューティングやストレージ、ビッグデータなどさまざまなカテゴリーに分かれています。それぞれのカテゴリーでできることは主に以下のようになります。


・コンピューティング:

高性能な仮想マシンが使えます。仮想化とは、物理的な環境に関係なく、ハードウェアに含まれるCPUやメモリなどを分割・統合する技術のことをいいます。仮想化にはサーバ仮想化・ストレージ仮想化・ネットワーク仮想化などいくつかの種類があります 。Googleが提供する仮想マシンは、仮想化の技術を用いてコンピューターを動作させるもので、サーバ仮想化と同じと言えます。実際のサーバが1つであっても、複数サーバを稼働することが可能になります。


・ストレージとデータベース:

コンテンツの保存ができるストレージとは、データを保存する場所のこと。スマートフォンで写真をたくさん撮ると内部の容量がいっぱいになりますが、これはスマホ内部のストレージがいっぱいになったということ。Googleではこのオンライン版であるオンラインストレージを提供しています。



・ビッグデータ:

企業が蓄積したデータを使用・解析企業にとって情報は重要。しかし、いつか使えるかもと記録・保存してはいるものの有効に活用できていない企業は多いです。宝の山ともいわれるビッグデータを解析するツールの提供をしています。



・機械学習:

AIを使った学習機能画像の分析や音声をテキスト化する変換サービス、テキストを翻訳するサービスなどがあります。 Google cloud Platform(GCP)が提供しているさまざまなサービスの中で、特に注目を集めているのは、ビッグデータ分析サービスの「BigQuery(ビッグクエリ)」、自分が作ったWEBアプリケーションを簡単に公開できる「Google App Engine」、機械学習モデルを簡単に構築できる「Cloud Machine Learning Engine」の3つです。


ビッグデータを分析する「BigQuery(ビッグクエリ)」の特徴は超高速の情報処理・分析能力です。ビッグデータと呼ばれるような膨大な量の情報の分析を数十秒で完了させます。検索エンジンをはじめとして、世界中の膨大なデータを扱ってきた Googleだけが持つ強みと蓄積されたノウハウを使える環境にあるのと同じことを意味します。


アプリを公開するサービスの「Google App Engine」は、近年ではさまざまなデータ言語に対応してきており、企業が取り扱うような複雑なアプリケーションの公開もできるようになりました。


「Cloud Machine Learning Engine」は、Googleが自社で使っているクラウド機械学習機能を一般ユーザーが利用できるようにしたサービスで、それまで参入が難しいとされてきた機械学習分野への第一歩を踏み出すことを容易にすることに貢献しています。

Google Cloud Platform(GCP)を活用するメリット

ここからは「Google Cloud Platform」がなぜ支持されているのか、どのようなメリットがあるのかについて解説していきます。 

Googleと同じインフラが利用できる

Googleが提供しているGoogle検索やYouTube、Gmailなどと同一の環境で業務を行えるのはそれだけでも大きなメリットであるといえます。キーワードを入力すれば瞬時に数十億件の検索結果を返し、月に60億時間もの動画を再生し、4億2,500万人ものGmailユーザーにストレージを提供しているGoogleと同様の環境が使えるオフィスにいるようなものです。 

インフラへの初期投資が不要になる

セキュリティ面などで信頼性の高いインフラを自社で構築するためには時間も費用も膨大にかかってしまいますが、Google Cloud Platformを利用すれば、信頼性の高いインフラが整っている状態でスタートできます。結果としてITコストの削減も可能になります。  

従量課金制である

Google Cloud Platformの料金体系は、買い切り型や定額制のものではなく使った分だけ使用する従量課金制です。アクセスや処理量の変化に伴って料金が変動します。事前の契約なしで長期間利用割引が自動的に適用されるなど、いくつかの割引も用意されています。


低コストであり、少人数でも開発可能であることから、Google Cloud Platformは資金の少ないスタートアップの企業などにも適しています。

Googleは社会にデジタルトランスフォーメーションを提供する会社

Googleが提供するサービスについて考察していくと、GoogleはGoogleの社内でデジタルトランスフォーメーションを推進しているのではなく、社会に対してデジタルトランスフォーメーションを推進するための環境を提供している企業であることが分かります。自社が培ってきたノウハウや技術を、広く一般利用できるようにすることで、世界のデジタルトランスフォーメーションを活性化しているとも言えるでしょう。


デジタルトランスフォーメーションの実現には、業務の一部をデジタル化する「デジタイゼーション(Digitization)」と業務のプロセス全体をデジタル化する「デジタライゼーション(Digitalization)」の2つのステップを経るとされており、日本の課題は第2段階のデジタライゼーションにあると言われています。すでに各企業ではなんらかのITシステムを導入し、運用しています。


しかし既存のシステムにカスタマイズを加えながら何十年も同じものを使っていることも珍しくありません。既存システムのカスタマイズを続けていくことは、今は販売されていない車に乗り続けるようなものです。新しく生産されていない車なら、既存の部品がなくなれば修理できなくなります。これと同様に、既存システムでは増え続けるデータの活用ができないときがきます。そのときにシステムを新しくしようとしても、世界はデジタルトランスフォーメーションがかなり進んでいて追いつけなくなるでしょう。


デジタルトランフォーメーションは、した方がよいことではなく、しなければならないことであるという意識を持って、経営陣主導で一歩一歩自社のデジタルトランスフォーメーションをすすめていくことが、日本企業にとって非常に重要なことと言えるでしょう。  

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