• 2020/10/05
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日立のデジタルトランスフォーメーション(DX) カギは人材育成

  • マーキャリ 編集部
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目次

この記事では近年話題となっているデジタルトランスフォーメーションについて、日立グループの事例を詳しく解説しています。 デジタルトランスフォーメーションについても基礎から解説していますので、知識がなくても読みすすめられるものになっています。ぜひ参考にしてください。  

デジタルトランスフォーメーションを理解しよう

デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)は、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱されました。DTではなくDXと略すのは、英語圏では「Trans」を「X」と略すことに由来しています。


デジタルトランスフォーメーションとは何かについて、経済産業省では以下のように定義しています。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」。


つまりは製品をデジタル化するといった取り組みではなく、「デジタルを使ってビジネスモデルに変革を起こすこと」と言えます。当然ビジネスとは企業や一般消費者に向けて行うものですので、企業内だけでなく社会全体に変革が起きることになります。


よくある誤解としては「デジタル化=デジタルトランスフォーメーション」というものです。環境の変化に適応するための手段としてデジタルのテクノロジーやツール、データを活用することがデジタルトランスフォーメーションの本質です、デジタル化はあくまで1つのステップにすぎません。この点については誤解がないようにしておきましょう。たとえばオンライン商談ツールやWeb会議を導入するといったことはデジタルトランスフォーメーションではありません。  

デジタルトランスフォーメーションが進まないとどうなる?

経済産業省はデジタルトランスフォーメーションの推進についての具体的方策を盛り込んだガイドラインを発表するほど、デジタルトランスフォーメーションを積極的にすすめようとしています。これは、デジタルトランスフォーメーションが進まないことにより、日本企業全体が大きな損失をこうむることが予想されているからです。  

2025年がタイムリミット「2025年の崖」

多くの経営者は、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変するデジタルトランスフォーメーションの必要性について理解しています。しかし、デジタルトランスフォーメーションが進まないのには社内に大きな課題が潜んでいるからです。課題とは「既存システムの複雑化・ブラックボックス化」と「現場サイドの抵抗」です。


企業では、業務を行うにあたってすでに何らかのITシステムが導入されています。長年使われているものは、システムが老朽化するだけでなく複雑化することで、どんなものなのか実態が見えないブラックボックス化しています。新たなシステムを1から導入しようとしても、仕事のやり方そのものを大きく変更する必要があるため、現場からの抵抗が大きいことも、ブラックボックス化がすすむ要因となっています。


しかし、これらの課題が解消されずデジタルトランスフォーメーションが進まなければ、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があるといわれています。これを「2025年の崖」と呼びます。経済損失が起きる大きな理由には、市場での競争に敗れてしまうことに加えて人材不足が挙げられます。


属人化してしまった既存システムの運用者は、基本的には長年会社に勤務している方が担当しています。そのため運用者が退職、高年齢化し、既存のシステムが使えなくなる日が来ます。しかしそれを引き延ばせば引き延ばすほど、時はすでに遅しという状態になります。いざ、新しいシステムを導入しようとしても、人材の確保や育成ができていないため最先端の知識を持った人材はいません。2015年時点ではIT分野における人材は15万人不足していましたが、2025年には約43万人にまで膨れ上がるとされています。

日立は人材の教育体制に改革を起こした

日立がデジタルトランスフォーメーションをすすめるにあたって着目したのはIT分野における人材の確保です。すでに人口減少が始まっている超高齢社会の日本において、IT分野に限らず人材の確保は今後も続く大きな課題です。


デジタルトランスフォーメーションの推進には、AIやIoT、ビッグデータの活用などが求められる一方で、データ分析の専門家であるデータサイエンティストが担う役割が大きくなっています。しかし、日本に限らず世界中でデジタルトランスフォーメーションが推進されている中で、外部から優秀なデータサイエンティストを採用することは困難です。そこで日立が注力しているのが、データサイエンティストの育成です。 

データサイエンティストの役割

データサイエンティストは、企業が蓄積した膨大な量のデータを分析し、ビジネスに活かす予測や発見を行う職種です。膨大な量のデータはビッグデータと呼ばれ、スキルや経験がなければ適切な分析を行うことができません。いろいろなツールや数式でデータを分析する能力が必要となります。主にはIT・デジタル業界に限らずデータをもとに販売戦略を練るマーケティングの分野でも重宝されている職種です。


膨大なデータの中から関連性や規則性を導き出し、ビジネスに活用することでこれまでにない施策をしたり、戦略を練ったりすることができるようするのがデータサイエンティストの仕事です。 データを分析するという点で、データサイエンティストとデータアナリストは混同しやすいかもしれません。実務においては行う業務の線引きが曖昧なことも多いですが、データアナリストは、「データを集めること」に比重が置かれていることが特徴です。それに対しデータサイエンティストは、「データをどう活用するか」をメインテーマとしています。データを分析することで見えてくることから、課題の解決策を提案するのがデータサイエンティストです。


日立はデータサイエンティストが直面するさまざまな課題に対して,高度なAI技術を生み出した国内外のトップクラスの研究者や、デジタルトランスフォーメーションの経験を持つ実務者が相互に情報提供やアドバイスをするといったデータサイエンティストの自発的な行動と実務を通じた相互啓発的な学習ができるコミュニティを設立しています。


デジタルトランスフォーメーションについて、何から手をつけてよいかと悩む企業が多い中で、日立の人材育成計画は先を見据えた行動だと言えます。 デジタルトランスフォーメーションとは、デジタルの力を使って社会や生活、働き方に変革を起こすこと。デジタルを使うことは手段であっても目的でもゴールでもありません。


デジタルトランスフォーメーションは他人任せにしてすすむわけではありません。そして自社にとってどういう状態になることがデジタルトランスフォーメーションなのかは、自分たちにしか分からないものです。デジタルを使って変革を起こすことがデジタルトランスフォーメーションであるならば、終わりはないはずです。


であるならば、自社が社会に提供できる価値をどのように届けるので理想であるかを追求していくことがデジタルトランスフォーメーションとなるのではないでしょうか。これまで以上によいかたちで価値提供する際には、デジタルの力は必須となるはずです。デジタルはあくまでツールです。デジタルトランスフォーメーションの進め方に迷っているなら、企業としての理想の在り方を考えてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。 

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