• 2020/10/01
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ガートナーが伝える デジタルトランスフォーメーション(DX)推進へのアドバイス

  • マーキャリ 編集部
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目次

IT分野を中心とした調査・助言を行う企業である「ガートナー」は、近年話題となっているデジタルトランスフォーメーションについて、推進の際のアドバイスを世界に発信しています。


この記事ではデジタルトランスフォーメーションの実現のためにどのような行動をしていくべきかについて、ガートナーのアドバイスを紹介しています。デジタルトランスフォーメーションとは何かといった基礎的なところから解説していますので、詳しい知識がなくても読み進められますよ。ぜひ参考にしてください。

デジタルトランスフォーメーションとは

デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)は、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱されました。DTではなくDXと略すのは、英語圏では「Trans」を「X」と略すことに由来しています。


デジタルトランスフォーメーションとは何かについて、経済産業省では以下のように定義しています。 「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」。


つまりは製品をデジタル化するといった取り組みではなく、「デジタルを使ってビジネスモデルに変革を起こすこと」と言えます。当然ビジネスとは企業や一般消費者に向けて行うものですので、企業内だけでなく社会全体に変革が起きることになります。


よくある誤解としては「デジタル化=デジタルトランスフォーメーション」というものです。環境の変化に適応するための手段としてデジタルのテクノロジーやツール、データを活用することがデジタルトランスフォーメーションの本質です、デジタル化はあくまで1つのステップにすぎません。この点については誤解がないようにしておきましょう。たとえばオンライン商談ツールやWeb会議を導入するといったことはデジタルトランスフォーメーションではありません。

デジタルトランスフォーメーションが進まないとどうなる?

経済産業省はデジタルトランスフォーメーションの推進についての具体的方策を盛り込んだガイドラインを発表するほど、デジタルトランスフォーメーションを積極的にすすめようとしています。これは、デジタルトランスフォーメーションが進まないことにより、日本企業全体が大きな損失をこうむることが予想されているからです。

2025年がタイムリミット「2025年の崖」

多くの経営者は、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変するデジタルトランスフォーメーションの必要性について理解しています。しかし、デジタルトランスフォーメーションが進まないのには社内に大きな課題が潜んでいるからです。課題とは「既存システムの複雑化・ブラックボックス化」と「現場サイドの抵抗」です。


企業では、業務を行うにあたってすでに何らかのITシステムが導入されています。長年使われているものは、システムが老朽化するだけでなく複雑化することで、どんなものなのか実態が見えないブラックボックス化しています。


新たなシステムを1から導入しようとしても、仕事のやり方そのものを大きく変更する必要があるため、現場からの抵抗が大きいことも、ブラックボックス化がすすむ要因となっています。しかし、これらの課題が解消されずデジタルトランスフォーメーションが進まなければ、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があるといわれています。これを「2025年の崖」と呼びます。


経済損失が起きる大きな理由には、市場での競争に敗れてしまうことに加えて人材不足が挙げられます。 属人化してしまった既存システムの運用者は、基本的には長年会社に勤務している方が担当しています。そのため運用者が退職、高年齢化し、既存のシステムが使えなくなる日が来ます。しかしそれを引き延ばせば引き延ばすほど、時はすでに遅しという状態になります。いざ、新しいシステムを導入しようとしても、人材の確保や育成ができていないため最先端の知識を持った人材はいません。2015年時点ではIT分野における人材は15万人不足していましたが、2025年には約43万人にまで膨れ上がるとされています。

ガートナーが述べるデジタルトランスフォーメーション推進へのカギ

出典:https://www.gartner.com/jp


どうなればデジタルトランスフォーメーションを実現したと言えるのか。実はこれには答えがありません。それぞれの企業は目指すべきデジタルトランスフォーメーションは異なるからです。また、技術は進歩し続けるので、正確に言えばデジタルトランスフォーメーションに終わりはないと言えます。 そのため、デジタルトランスフォーメーションは簡単に失敗してしまいます。ガートナーは、デジタルトランスフォーメーションが正しく進むようにいくつかの提言をしています。

デジタルの先にあるものをゴールにする

デジタルトランスフォーメーションは、システムや業務をデジタル化することが目的ではありません。デジタルの力を利用するのはあくまで手段として。このことを誤解したままデジタルトランスフォーメーションは成功しません。企業が、社会や顧客へ提供できる価値をよりよいかたちで届けるためにデジタルの力を使うのです。


デジタル化し、業務効率化することで変化を終えてしまうことを目的にしてしまっては、結局収益にはつながりづらいです。会社の中で「自社におけるデジタルトランスフォーメーションとは何か」を定義づけすることも重要になるでしょう。

経営者がリーダーシップをもって率先して行う

デジタルトランスフォーメーションは、会社の中のIT部門が行うものではありません。デジタルトランスフォーメーションは、デジタルの力を使って変革を起こすこと。これまでになかったものを新しく創り上げるわけですから、会社中の1つの部署ではなく全社的な行動が必要です。そのために重要なのは経営陣が強いリーダーシップでデジタルトランスフォーメーションを推進していくことです。

大きな計画よりも小さな行動

デジタルトランスフォーメーションでは計画よりも実行が重要です。計画ばかりでデジタルトランスフォーメーションが進まないことは本末転倒で意味がありません。ガートナーは顧客に提供可能な「最小限の実用的な成果物」を作り、それに対するフィードバックを生かしてイノベーションを進化させるサイクルを、すばやく反復することを推奨しています。


自社のビジネスが社会に提供できる価値を理想のかたちで届けるためにデジタルの力を利用する。それがデジタルトランスフォーメーションの本質です。変革を起こすこと自体が目的化してしまわないように注意が欠かせません。


また、企業で働く従業員は、変革を起こすためではなく業務を遂行するために企業にいます。デジタルトランスフォーメーションの推進のためには従業員の理解も得る必要があるでしょう。会社の未来について従業員と時間をかけて対話し、従業員に変わるものと変わらないものをしっかりと伝え、従業員の信頼を得ることも、デジタルトランスフォーメーションの推進には欠かせないステップです。

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