• 2020/09/11
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アパレル業界に起こるデジタルトランスフォーメーション(DX)とは? 事例を紹介します

  • マーキャリ 編集部
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この記事では、アパレル業界で期待されるデジタルトランスフォーメーションについて詳しく解説しています。アパレル業界において特にデジタルトランスフォーメーションの推進が著しいZOZOTOWNの事例についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。  

アパレルはIT化も遅れている

アパレル業界のデジタルトランスフォーメーションについて解説をする前に、現在のアパレル業界の状況を確認しておきましょう。アパレル業界はIT化が他の業界に比べて大きく遅れていると言われています。事実、ほとんどの方が服はECサイトではなく百貨店やショッピングモールなどの実店舗で購入するのではないでしょうか。


その一番の要因は「サイズの問題」でしょう。靴やスーツなど、ジャストサイズで身につけるものについては特にサイズの問題がシビアになりますよね。また同じMサイズでもブランドによって実際の大きさは異なります。もちろんECサイトにはS・M・Lといったサイズ表記だけでなく着丈や袖丈、身幅といった採寸の表記もされています。しかし、ほとんどの方が自分に適した身幅や袖丈などは把握していないでしょう。


このような理由から、アパレル業界全体での売り上げに対するECの割合は10%程度となっています。新型コロナウイルスの感染拡大により、アパレル業界が大打撃を受けたことが話題になったことからも、アパレル業界におけるECの割合の低さがうかがえます。  

デジタルトランスフォーメーションについて確認

デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)は、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱されました。DTではなくDXと略すのは、英語圏では「trans」を「X」と略すことに由来しています。


デジタルトランスフォーメーションとは何かについて、経済産業省では以下のように定義しています。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」 つまりは製品をデジタル化するといった取り組みではなく、「デジタルを使ってビジネスモデルに変革を起こすこと」と言えます。当然ビジネスとは企業や一般消費者に向けて行うものですので、企業内だけでなく社会全体に変革が起きることになります。


日本では経済産業省から、企業がデジタルトランスフォーメーションを達成するためのガイドラインも発表されています。日本では諸外国に比べてデジタルトランスフォーメーションが遅れているとされています。


 デジタルトランスフォーメーションに取り組む際の、よくある誤解としては「デジタル化=デジタルトランスフォーメーション」というものがあります。環境の変化に適応するための手段としてデジタルのテクノロジーやツール、データを活用することがデジタルトランスフォーメーションの本質です、デジタル化はあくまで1つのステップにすぎません。この点については誤解がないようにしておきましょう。たとえばオンライン商談ツールやWeb会議を導入するといったことは、業務の一部をデジタル化したに過ぎずデジタルトランスフォーメーションではありません。  

デジタルトランスフォーメーションの推進が必要な理由

世界中で新たなデジタル技術を利用したこれまでにないビジネスモデルがどんどんと生まれてきています。時代につれてビジネスモデルの展開方法が変化し新規参入企業も増えてきています。そのような状況の中で既存の企業が収益を上げ続けるためには、場合によっては業務全体の抜本的な改革が必要となります。そこで求められるのがデジタルトランスフォーメーションを進めること。競争力を維持するためには従来通りのやり方では革新的な新規参入企業に太刀打ちできません。デジタルトランスフォーメーションを進めることは競争上の優位性を保つために避けては通れないものなのです。


特に日本においてはデジタルトランスフォーメーションの推進が世界的に遅れていると言われています。IT化すら遅れているアパレル業界においてはその傾向はより顕著なものになるでしょう。 しかし、デジタルトランスフォーメーションを推し進めるには障壁があります。それは既存のシステムです。企業では、業務を行うにあたってすでに何らかのITシステムが導入されています。業種によっては数十年単位でシステムの変更が行われていないというケースも珍しくありません。企業は自社が運用しやすいようにシステムをカスタムし続けるのが通常ですので、システムが老朽化するだけでなく複雑化し、どんなものなのか実態が見えないブラックボックス化している現状があります。


たとえデジタルトランスフォーメーションへのステップとしてシステムを刷新することを経営者が望んでも、仕事のやり方が変わるのを嫌う現場の反対があり改革がすすまず、さらにブラックボックス化がすすむといった悪循環が生まれています。


ブラックボックス化が解消できない場合は、デジタルトランスフォーメーションが実現できないというだけにとどまらず、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があるといわれています。これは「2025年の崖」と呼ばれています。  経産省は、システムのブラック化による経済損失を危惧しているため、デジタルトランスフォーメーションを積極的に推進しようとしているのです。

アパレル業界におけるデジタルトランスフォーメーション

ここからはアパレルの通販サイト最大手であるZOZOの例をもとに、アパレル業界のデジタルトランスフォーメーションについて考察していきます。 

ZOZOについて


https://zozo.jp/

ZOZOは、2000年にインターネット通販を手掛けた会社です。先日ヤフーが買収したことでも大きな話題となりました。ZOZOTOWN経由での年間購入者数は800万人以上、2019年の3月期の商品取扱高は3,200億円を超えています。


アパレル市場では、試着のできないECサイトはあまり向いていないものですが、ZOZOは若者に人気のあるブランドを多く取りそろえることで、売上を拡大させることに成功しています。現在は実施していませんが、ZOZOは長らく送料無料を実施しており、また返品も気軽にできるシステムを整えることで、「とりあえず取り寄せて、ダメなら返品できる」という新しいECサイトのスタイルを確立させることに成功しています。これはアパレル業界における大きな変革と言えるでしょう。  

ZOZOのデジタルトランスフォーメーション事例

服を購入するにあたってはどうしてもサイズの問題があります。これを解消するべくZOZOTOWNでは、サイズ選びに悩まず購入できる「マルチサイズプラットフォーム(MSP)」というサービスを実施しています。これはマルチサイズプラットフォーム(MSP)の対象商品を購入する際に、自身の身長と体重を入力することで、自分にあったサイズをおすすめしてくれるものです。たとえば、とあるデニムパンツを買うときに、173cmで70キロと入力すれば、「縦はLマイナス、横はMプラス」が推奨のサイズだと表示されます。


単純にウエスト周りで分けているのではなく、縦と横の組み合わせが選べる服が対象商品となっているため、たとえば「少しゆったり目で着たいので縦はLマイナスのままで、横はLマイナスに変更しよう」といった調整も可能です。服のサイズがS・M・Lと大きく分かれているのではなく、縦と横にそれぞれS・M・Lやそれ以上のサイズ分けがされていると考えれば分かりやすいでしょう。


マルチサイズプラットフォーム自体がデジタルトランスフォーメーションなのではなく、ZOZOTOWNのデジタルトランスフォーメーションは、マルチサイズプラットフォームの商品制作を効率化するために生まれたものです。ZOZOTOWNは、さまざまなアパレルブランドのアイテムの購入ができますが、そのなかには「ZOZO」というオリジナルのブランドを持っており、今回紹介するのは「ZOZO」ブランドにおけるデジタルトランスフォーメーション事例となります。  

ケアラベルの自動化

1つの服をつくるのには、想像以上にたくさんの人が関わっています。素材の調達などを除いても、企画・デザイン・発注・生産・輸送・販売・配達などのさまざまな工程を経て購入者のもとに届けられています。まず効率化のためにZOZOが行ったのがケアラベルの自動化です。ケアラベルとは、洗濯方法の表記やコットンが何%でウールが何%といった混率が記載されているもの。


自動化する以前は、デザイナーがPhotoshopを使って一種類ずつレイアウトをしていたそうです。一種類を作成することは大きな作業ではなくとも、アパレルの繁忙期の関係で同じ時期に作業が集中するため、デザイナーの負荷が一気に上がる状態でした。これを解決するために、ケアラベルの自動作成に取り掛かり、現在はデータを拾って自動的にケアラベル用のデータを作成できる仕組みとなっています。人手が必要になるのはケアラベルの表示内容を決定する工程のみになったため、他の業務へ注力できるようになっています。  

検寸データの連携

検寸とは、出来上がった服がサイズ面で基準を満たしているかをチェックすることを言います。通常であれば、結果を紙に書いた上で結果と基準の目視確認を行いNGかどうかを判定します。しかしZOZOTOWNでは、Bluetoothが搭載された電子メジャーとAndroidアプリを連携させて検寸作業を効率化しています。ケアラベルにQRコードを載せ、そのなかに検寸が必要な箇所と仕上がりの基準値、合格基準を埋め込んであるので、合格基準を記載した紙と見比べる必要もなくなっています。つまり検寸作業は、QRコードで支持される計測箇所を電子メジャーで計測するだけで、入力も合否判定も行える仕組みだということになります。  

検品データの連携

これは検品で不良が発覚した場合の情報連携のデジタル化です。ケアラベルに付属しているQRコードを読み取ると、「縫い不良」、「穴あき・ほつれ」、「汚れ・シミ」などの項目が表示され、該当箇所にチェックを入れ、スマホのカメラで状態を撮影すると検品の記録がデータ化される仕組みになっています。  

進捗管理をデータ化

服の生産が遅れれば、購入者の手元に届くのも遅れてしまうことになります。既存の製品を発送するのではなく、受注生産といって注文が入った数だけ生産する方式の場合は特に生産状況の進捗管理が重要になります。



たとえば100着の受注があったとして、現在40着は縫製が完了、うち20着は検品も完了している。残り40着は縫製中でさらに20着は未着手といった進捗管理が行われるわけですが、ZOZOでは従来この進捗確認を電話で行っていたため電話する側にも電話を受ける側にも負担がありました。この作業をアプリで行えるようにし、進捗を一覧でチェックすることで遅れがあるものがすぐに把握できるようになり、迅速な対応ができるようになっています。


服を作るという工程には必ず人手が必要ですので、1から10までの作業すべてをデジタル化することはできないでしょう。ZOZOが行っていることは、業務の一部やプロセスをデジタル化しているわけですので、正確にはデジタルトランスフォーメーションとは言えないかもしれません。 デジタル化とデジタルトランスフォーメーションはイコールの関係ではありませんが、デジタルトランスフォーメーションはデジタル化の先にあるものです。まだまだアナログな部分が多いアパレル業界においては、さまざまな工程のデジタル化に挑むことも大きな進化だと言えるでしょう。


新型コロナウイルスの影響で、大手アパレルも大打撃を受けています。そんな中で活路を見出せるのは、デジタルトランスフォーメーションに真剣に向き合うアパレル企業ではないでしょうか。デジタルトランスフォーメーションの推進のためには、既存の働き方やシステムを刷新することが求められます。その点ではスタートアップ企業が一気にアパレル業界を変える可能性も秘めています。


重要なのは、「こういうものだから」と思考を停止しないこと。どのようにすればよい商品作りに集中できるか、どの工程を効率化すべきかについて常に考えることが今後のアパレル業界に必要なのかもしれません。

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