• 2020/09/07
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デジタルトランスフォーメーション(DX)のお手本!Amazonが起こすデジタルトランスフォーメーションとは

  • マーキャリ 編集部
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この記事では、世界的な大企業であるAmazonが起こしてきたデジタルトランスフォーメーションについて解説しています。世界で最もデジタルトランスフォーメーションを体現していると言われるAmazonが、これまでどのような変革を私たちの生活にもたらしたのか、その事例を確認することで、自社におけるデジタルトランスフォーメーションの参考にしてください。

デジタルトランスフォーメーションとは

デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)は、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱されました。DTではなくDXと略すのは、英語圏では「trans」を「X」と略すことに由来しています。


デジタルトランスフォーメーションとは何かについて、経済産業省では以下のように定義しています。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」。


つまりは製品をデジタル化するといった取り組みではなく、「デジタルを使ってビジネスモデルに変革を起こすこと」と言えます。当然ビジネスとは企業や一般消費者に向けて行うものですので、企業内だけでなく社会全体に変革が起きることになります。 よくある誤解としては「デジタル化=デジタルトランスフォーメーション」というものです。環境の変化に適応するための手段としてデジタルのテクノロジーやツール、データを活用することがデジタルトランスフォーメーションの本質です、デジタル化はあくまで1つのステップにすぎません。


この点については誤解がないように注意しておきましょう。たとえばオンライン商談ツールやWeb会議を導入するといったことは、業務の一部をデジタル化したに過ぎずデジタルトランスフォーメーションではありません。 世界中で新たなデジタル技術を利用したこれまでにないビジネスモデルがどんどんと生まれてきています。時代につれてビジネスモデルの展開方法が変化し新規参入企業も増えてきています。そのような状況の中で既存の企業が収益を上げ続けるためには、場合によっては業務全体の抜本的な改革が必要となります。


そこで求められるのがデジタルトランスフォーメーションを進めること。競争力を維持するためには従来通りのやり方では革新的な新規参入企業に太刀打ちできません。デジタルトランスフォーメーションを進めることは競争上の優位性を保つために避けては通れないものなのです。


特に日本においてはデジタルトランスフォーメーションの推進が世界的に遅れていると言われています。

Amazonにおけるデジタルトランスフォーメーション

どういう状態になればデジタルトランスフォーメーションが実現されているかと判断することは難しいです。なぜなら、デジタルトランスフォーメーションが起きれば私たちの生活や働き方が大きく変わるからです。企業によっても達成すべきデジタルトランスフォーメーションは異なっているはずです。


それでは、世界で最もデジタルトランスフォーメーションの実現に近い形だと言われているAmazonが、これまでどのような変革や問題解決を起こしてきたのかについて見ていきましょう。  

Amazonの企業理念

Amazonの企業理念は「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」「地球上で最も豊富な品揃え」の2つです。この2つをもとに「最高の顧客体験」を目指しています。Amazonのことを今でも単なるWeb上にある雑誌や書籍が買える本屋さんと思っている人はいないでしょう。本当にあらゆるものと言ってよいほどAmazonから購入することができます。


最初はWeb上の本屋さんからスタートしたAmazonですが、それまではネットで物を買うことすら定着していませんでした。しかし、独自のシステムにより「あなたにおすすめの本」や、「これを購入した人はこんなものを合わせて購入しています」といったおすすめ機能の実施や人気書籍のランキングなどを行うことで、良書を買い求めやすくなったり、自分に合った本を見つけやすくなったりしました。Amazonは本を買うという行為に変化をもたらしたのです。  

1クリックで商品が購入できる

Amazonで書籍や商品を購入する際、一部の商品については「1-Clickで今すぐ買う」というボタン(ワンクリックボタン)が表示されます。すでに自身の届け先住所や支払い情報の登録が終わっていれば、注文の内容の確認や注文を確定させるボタンをクリックすることなく、瞬間的に注文手続きが完了します。Amazonのプライム会員であれば「Primeマーク」が表示されているものに関しては送料もかからずに注文できます。


1クリックで商品が素早く買えるというのは、それだけ顧客の手間を省略していることになります。最高の顧客体験を目指すAmazonならではの工夫と言えるでしょう。1クリックで商品が購入できるのは意外なほど便利で、特に繰り返し注文するような消耗品の際には特に効果を発揮します。Amazonはこの仕組みに特許を取得していて、他の企業はそのまま真似することはできません。


さらにAmazonは顧客の注文履歴をAIが学習・分析することで次に何を買うかを予測をし、顧客にスムーズに配達できるようにあらかじめ顧客の近くの倉庫に商品を移動させるといった仕組みも取り入れています。このシステムを活用することで、注文から数日、早ければ当日に届けるという素晴らしい納品スピードを実現しています。


また、現在は販売を終了していますが、Webサイト上のワンクリックボタンを具現化した「Amazon dash button(アマゾンダッシュボタン)」というサービスも実施していました。ダッシュボタンは、食料品や飲料水、ペットフード、洗剤など自宅でいつも使う商品のロゴが描かれた「その商品専用」の注文機器です。Amazonのサイトを開かずともダッシュボタンを押すと自動的にAmazonに注文情報が送られて自宅に届くというものでした。数ある商品から選んで買うということ自体も省略した購入体験が可能なサービスです。


ダッシュボタンの進化版とも言えるのが、スマートスピーカーの「Amazon Echo」です。スピーカーなので話かけて音楽を流してもらうだけのものと勘違いしている人もいますが、対応スマート家電を使えばライトをつける、エアコンを調整する、ドアに鍵をかける、ニュースや天気、鉄道運行状況を確認するといったことも、話しかけるだけで可能になります。スマートフォンの専用アプリや対応機器を持つ友人や家族と「Amazon Echo」を通してハンズフリーで通話が可能です。呼びかけ機能を使って別の部屋にいる人に話しかけたり、アナウンス機能を使って対応Echoデバイスがあるすべての部屋に音声メッセージを一斉に送ったりすることも可能です。  

Amazon Prime Now(アマゾンプライムナウ)

Amazon Prime Nowは、Amazonと食品スーパーが提携して行う食品の配達サービスです。日本では全国的に展開している食品スーパーの「ライフ」と提携し、ライフの実店舗で取り扱っている新鮮な野菜や果物、精肉、鮮魚をはじめ、店内で調理された惣菜やパンなど数千点の商品を自宅まで届けてもらうことが可能です。専用のアプリで注文し、配達までは最短で2時間。仕事が終わり会社を出る少し前などに注文しても、自宅に着くころに届けてくれるので、疲れた体でスーパーに寄る必要がなくなります。現在は東京都と大阪府で実施されています。 

Amazon go

Amazon goは、レジに人がいない無人コンビニです。人がいないと言うよりは、レジ自体がありません。専用のアプリをインストールし、入口のゲートで自身のQRコードをかざして入店します。店内の天井にはたくさんのカメラがあり、棚にはセンサーがついています。これらで人の動きを判定し商品を棚から取るとスマホ上にその商品が表示される仕組みです。もちろん表示が間違っていれば自分で削除も可能です。


商品を戻せば商品の表示は一覧から消えます。専用の買い物かごではなく自身で手に持っても自分のショッピングバッグに直接入れても問題ありません。会計は入場時のゲートを通るだけで完了しますので、レジに並ぶ手間は発生しません。レジにスタッフを配置する必要がないので、人件費を抑えることができます。人の手で行うのは商品の在庫と鮮度のチェック、品出し程度です。Amazonは2021年までに、全米に3,000店舗を展開する計画を持っているようです。  

Amazon Web Service(AWS)

「Amazon Web Service」はAmazonが提供している100以上のクラウドコンピューティングサービスの総称です。クラウドコンピューティングとは、インターネットを介してサーバーやデータベース、ソフトウェアといったコンピューターを使った様々なサービスを利用することを指します。


手元に1台のPCとインターネットに接続できる環境さえあれば、サーバーや大容量のストレージ、高速なデータベースなどを必要な分だけ利用できますので、従来のように自社の一画に物理サーバーを設置する必要がないというものです。物理サーバーが必要ないので、設置するスペースも管理する人員も必要なくなり、コストの削減ができます。  

Amazon Prime Air

Amazon Prime Airはまだ実用化されていない計画段階のサービスです。これは顧客が注文した商品を30分以内に届けることを目標としたドローンの宅配サービス。配送センターが配達場所の半径10マイル(=約16km)の範囲にある都市部を対象としたサービスとなる予定です。  

Project Kuiper

「Project Kuiper」は地球規模の高速通信サービス実現を目指す計画です。Amazon自身が低軌道衛星を打ち上げ、インターネットのインフラ対応が進んでいない国・地域を含めた全世界をカバーする高速ブロードバンドネットワークを構築するという長期的な取り組みです。そのために3,000個以上の衛星を打ち上げて、人口カバー率で言うと全人類の95%がインターネットを利用できるようにするという計画です。  

フルフィメント by Amazon(FBA)

「フルフィメント by Amazon (FBA)」はAmazonを使って商品を販売したい個人・事業者向けのサービスです。商品の保管から注文処理、配送、返品対応、カスタマーサービスといった業務をAmazonに代行してもらえます。事業が軌道にのってきたら配送業務に時間が多く取られてしまいますが、面倒なことは代行してもらえるので時間の有効活用が可能となります。


Amazonの倉庫までは自分で配送する必要がありますが、24時間365日出荷が可能となる上に、Amazonプライム対象商品となります。Amazonプライム対象商品となれば購入者は送料がかからなかったり、お急ぎ便が使えたりしますので他社と差別化を図れるというメリットがあります。 月額は基本料金の4,900円(税抜)に販売手数料を加えたものです。販売手数料は注文商品の梱包、配送、カスタマーサービスに対して課金される「配送代行手数料」と、商品を保管・管理するための保管スペースに対して課金される「在庫保管手数料」の2つで構成されています。それぞれの手数料は商品のサイズや重さによって変動します。


商品を販売したい企業も顧客と捉え、「最高の顧客体験」を提供することを実践していると言えるでしょう。  Amazonは、もはや単なるインターネット通販サイトの領域を大きく超えています。デジタルトランスフォーメーションの実現には、業務の一部をデジタル化する「デジタイゼーション(Digitization)」と業務のプロセス全体をデジタル化する「デジタライゼーション(Digitalization)」の2つのステップを経るとされていますが、Amazonが行っていること、行おうとしていることは、デジタルを使って企業や顧客、ひいては社会全体の生活スタイルを変革しようとするデジタルトランスフォーメーションそのものです。その点では、Amazonは世界で最もデジタルトランスフォーメーションに近い存在と言って間違いないでしょう。


Amazon自身が、自社のことを「ネット書店」としか認識していなかったとしたら、現在のような事業拡大は起こっていないはずです。自社のこれまでのやり方や常識に縛られていては、大きな成長は望めません。これまでのように定期的に自社のITツールを新しくしていけばよいといった時代ではないのです。超高齢社会の日本では、すでに人口の減少が始まっています。このことはそのまま労働人口の減少に直結します。にもかかわらず日本はデジタルトランスフォーメーションの推進が諸外国に比べて大きく遅れています。


デジタルトランスフォーメーションの推進が遅れ、競争力を失ったとしても、人口が減少している日本では数の力でカバーすることはできません。今一度、自社の課題を洗い出し、デジタルトランスフォーメーションへの歩みを進められるように経営陣が強いリーダーシップで引っ張っていくことが求められています。

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