• 2020/08/28
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アフターコロナの時代に向けてデジタルトランスフォーメンション(DX)がすすんでいく?

  • マーキャリ 編集部
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目次

この記事では近年話題となっているデジタルトランスフォーメーションについて、アフターコロナやWithコロナと呼ばれる時代を経ることでどのような変化が予想されるのかを解説しています。新型コロナウイルスの影響でわたしたちの生活は大きく変わりました。このことはデジタルトランスフォーメーションにどのような影響を与えるのかみていきましょう。

働き方に変化が生まれてきた

新型コロナウイルスの影響で、緊急事態宣言が発令され、多くの企業では一時的にではありますが自宅で仕事を行わざるをえない状況になりました。しかし実は働き方改革などによりこれまでも少しずつ働き方は変化していたのです。最近ではテレワークが話題に挙がることが多いですが、今回初めて言われるようになったわけではなく、フリーランスが増加していることなどからも注目を集めていました。そういった動きが新型コロナウイルスをきっかけに、一般企業でも広がったというのが正しいでしょう。


しかし多くの企業は、テレワークをしたくてしたわけではありません。とはいえ、テレワークを体験したことで、働き方の1つに「テレワーク」が選択肢として浮かび上がったのは大きな動きであると言えるはずです。

元に戻る仕事とテレワークで可能な仕事

新型コロナウイルスの影響で今回テレワークを実践した企業においては、テレワークで働くという大きな経験を得たと言えます。半ば強制的にであってもテレワークを行ったのであれば、テレワークで働くことのメリットだけでなく、課題や改善点、対面の方が優れている点などを知ることができたでしょう。


効率性を犠牲にしてテレワークでなんとか持ちこたえたという企業もあれば、逆にテレワークでも意外と問題なくスムーズに働けることが分かったという企業もあるはずです。テレワークを今後も実施するとしても、オフィスをなくして完全にテレワークに移行するわけではないでしょう。たとえばワークショップ形式の研修やセミナーなどはやはりオンラインでは効果が発揮しづらいと考えられます。テレワークで問題がなく行える点はテレワークで、対面の方がよいところは対面でと並行して働くという方法がベストではないでしょうか。 


効率や効果以外の利点としては、自宅で働けるのであれば通常の勤務だけでなく休日出勤の際や、午前中は病院に行くなどの日は自宅で仕事をする、といったことも場合によっては可能になるでしょう。土日休みの方の場合は、役所に手続きに行くために有給休暇を取るなどの対応をしている方も少なくありません。自宅で働けるというのは、そのことだけで働き方を大きく変えうるものなのです。  

テレワーク推進の流れはデジタルトランスフォーメーションにどう影響するか

近年話題となっているデジタルトランスフォーメーションですが、まずが簡単にどういったものなのか確認しておきましょう。 

デジタルトランスフォーメーションとは

デジタルトランスフォーメーションとは何かについて、経済産業省では以下のように定義しています。


「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」 


つまりは製品をデジタル化するといった取り組みではなく、「デジタルを使ってビジネスモデルに変革を起こすこと」と言えます。当然ビジネスとは企業や一般消費者に向けて行うものですので、企業内だけでなく社会全体に変革が起きることになります。よくある誤解としては「デジタル化=デジタルトランスフォーメーション」というものです。環境の変化に適応するための手段としてデジタルのテクノロジーやツール、データを活用することがデジタルトランスフォーメーションの本質です、デジタル化はあくまで1つのステップにすぎません。この点については誤解がないようにしておきましょう。  

テレワーク・オンラインの商談=デジタルトランスフォーメーションではない

デジタル化とデジタルトランスフォーメーションはイコールの関係にありません。これと同様にテレワークやオンライン営業もデジタルトランスフォーメーションとは言えません。テレワークは会社で行う業務を自宅などで行うことで、仕事の内容は変わっておらず場所だけが変わったものです。そしてオンライン商談やWeb会議といったものは、業務の一部をデジタル化したものに過ぎません。では、オンラインでの商談はデジタルトランスフォーメーションと逆行したものなのかと言うとそれも誤りです。デジタル化は、デジタルトランスフォーメーションを達成する上での初めのステップなのです。 


デジタルトランスフォーメーションへ至るまでには「デジタイゼーション(Digitization)」と「デジタライゼーション(Digitalization)」の2つのステップを経ることになります。どちらも業務工程をデジタルの力によって効率化していくものですが、デジタイゼーションはデジタルツールを導入することで特定業務のデジタル化やアナログ情報をデジタルにしてデータを蓄積できる環境を整えることを言います。たとえば、紙にサインする代わりにタブレットにサインをする電子署名や、商談の際に相手に見せる紙のパンフレットの代わりにタブレットを使って説明をするといったものがデジタイゼーションの例です。


デジタイゼーションの次のステップであるデジタライゼーションは業務フロー(プロセス全体)をデジタル化していくことです。つまり、デジタルツールやシステムを導入することは、デジタルトランスフォーメーションの途中段階であるデジタイゼーションやデジタライゼーションにあたります。

アフターコロナ・withコロナに向けてトランスフォーメーションは加速するか

緊急事態宣言が解除され、多くの企業は従来の働き方に戻りました。もちろんテレワークでも働けるという経験を活かして、テレワークと会社への出勤の両方を選べるようにした企業もあります。新型コロナウイルスの影響がなくなったわけではないので、Web商談ツールを用いてオンライン商談を継続または新たに始めた企業も多いです。しかしその一方でマスクやフェイスガードを装着するだけでそれ以外は何も変わっていない企業の方が多いのではないでしょうか。


結論から言うと、新型コロナウイルスの影響で働き方が変わった面はたしかにあります。これをきっかけにして大きく変化する企業もあるはずです。しかし、多くの場合は残念ながらここで止まってしまうのではないでしょうか。


緊急事態宣言は解除されましたが新型コロナウイルスの脅威が去ったわけではありません。緊急事態宣言が発令されているかどうかといった違いがあるだけで、新型コロナウイルスのワクチンが開発されたわけでもありません。たしかに収束に向けてすすんではいるのでしょう。しかし新型コロナウイルスの脅威が去っていないにもかかわらず緊急事態宣言が解除されたからといってほぼ従来通りに働いている状況を見ると、新型コロナウイルスをきっかけにしてここからデジタルトランスフォーメーションが大きく加速していくとは考えづらいです。


デジタルトランスフォーメーションの実現のためには、まず業務のデジタル化が必要です。分かりやすい例で言うならばほとんどの企業で使う紙とハンコの問題があります。ハンコは、印刷した紙を担当者に持っていくことで初めて押印してもらえます。請求書などをデジタル化しようとしてもハンコが押せないからそれが社内で正式な書類として受理されない、だから一向にペーパーレス化が進まず従来通りの働き方を継続してしまう。仮に自社の中でペーパーレスを達成したとしても、取引先が書類や印鑑を求めたらそれに合わせざるを得ません。

デジタルトランスフォーメーションは必ずしなくてはならない?

ハンコと紙の問題からも分かる通り、デジタルトランスフォーメーションを達成するための前段階であるデジタル化においても、今までの働き方や商習慣を改めなければならないことは多々あります。このような状況においてはデジタルトランスフォーメーションを行うことは非常に困難であると言えるでしょう。


そして多くの方は、「今の働き方に不満がない」、「これまで通り働いていきたい」と考えているかもしれません。デジタルトランスフォーメーションとまではいかなくてもPCやインターネット、スマートフォンなどのテクノロジーの進化に伴って、私たちのオフィス環境はたった20年前と比べても大きく異なっています。今まで通り、技術の進化に伴って機器を新しくしていけばよいという考えもあるでしょう。


しかし、ここで立ちはだかるのが「2025年の崖」と呼ばれる問題です。 

2025年の崖とは

2025年の崖とはひとことで言うと既存のITシステムのブラックボックス化が取り返しのつかない状況まですすむことを指します。


各企業はデジタルトランスフォーメーションの重要性を認識し、ある程度の行動を起こしているものの、実際のビジネス変革には至っていません。企業では、業務を行うにあたってすでに何らかのITシステムが導入されています。業種によっては数十年単位でシステムの変更が行われていないというケースも多いでしょう。企業は自社が運用しやすいようにシステムをカスタムし続けるのが通常です。そのためシステムが老朽化するだけでなく複雑化することで、どんなものなのか実態が見えないブラックボックス化しているのが現状です。


システムのブラックボックス化がすすむことで起こる1つ目の弊害としては、まずデータを活用しきれないことが挙げられます。言うなれば長年乗っている自動車に修理に修理を重ねてなんとか走っている状況に近いです。要はカスタマイズを重ねてだましだまし運用している状態なので、データを最大限に活用できているとはとても言い難い状況となっています。


システムのブラックボックス化による2点目の弊害は、新たな技術を導入しても効果が出にくいこと。既存のシステムを残したままで、新しいシステムを導入することが多く、結局運用の手間が2倍になってしまうというパターンが多いです。さらには、新たなシステムを1から導入するためには、仕事のやり方そのものが大きく変更する必要があるため、現場からの抵抗も大きいこともブラックボックス化がすすむ要因となっています。


もちろんシステムの刷新には大きな費用と時間がかかります。しかし、これらの問題を放置しておくと、「デジタル市場の拡大に伴って大きくなるデータ量」「システムを現場で運用している担当の定年退職による世代交代」「サイバーセキュリティや事故・災害などによるデータの紛失リスクの高まり」といった状況に陥ってしまいます。


これら3つの要素に対応しきれなくなるのが2025年と言われており、2025年までにデジタルトランスフォーメーションが起こせなければ、国内外を含めて競争に勝ち残れない存在となると予想されています。


つまり、わたしたちはデジタル化さえも上手くできていない状況にあると言ってよいでしょう。そのような状況において企業として成長を続けることは非常に困難です。


デジタルトランスフォーメーションは、やるかやらないかではなく必ず達成すべき事項だということを、しっかりと頭に入れて自社のブラックボックスの解体や業務改善から始めることが急務です。デジタルトランスフォーメーションを実現するには現場の反対や費用の問題などさまざまな壁が立ちはだかります。しかし、今後ますます激化していく競争を生き残るためには、経営陣の強いリーダーシップのもとで、デジタルトランスフォーメーションを推進していく以外にも道はありません。「AIを使ってなんかやれ」といった言葉に代表されるような経営方針では、中身の伴った改革はできません。経営陣がデジタルトランスフォーメーションの重要性を認識し、明確な指示を与えることでようやく進めていけるものなのです。

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