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成長市場のSaaS企業の営業に興味はあるけれど、大変なの? 難しいの? と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。今回はSaaSの営業の難しさや活躍するためのポイントを解説します。
1. SaaS営業の特徴
まずは、SaaS企業の営業の特徴を見ていきましょう。SaaSでは主に次の特徴があります。
- 個人営業ではなく「法人営業」
- 有形商材ではなく「無形商材」
- ルート営業ではなく「新規営業」
- 「分業制」の営業組織が多い(インサイドセールス/フィールドセールス/カスタマーサクセス)
これらの営業スタイルは、難易度が高く専門的な知識や経験が必要な場合もあります。これらの特徴=難しさを表しているとも言えるでしょう。1つずつ詳しく解説していきます。
2. SaaS営業が難しい理由
SaaS営業の特徴を踏まえ、次の4つが大きな難しい理由として挙げられます。
- 法人営業の経験が求められる
- 無形商材でありソリューション提案が必要
- 既存営業ではない新規営業の難しさ
- 分業制の営業組織は専門性が求められる
2-1. 法人営業の経験が求められる
SaaSでは、購買の意思決定プロセスやビジネスマナーなど、個人営業との違いが大きく難しいと言われる法人営業経験が求められます。法人営業の場合は、個人営業と違って購買までの意思決定に複数人が関わってきます。そのため担当者がサービスを良いと思ってくれても上司が却下すれば、失注してしまいます。場合によっては経営層の承諾を取る必要もあるでしょう。
また企業が意思決定する際は、費用対効果や購買する理由・根拠が必要となるため、即決されることは少なく、購買決定までのリードタイムが長いのも特徴です。個人が商品を購入する場合は即決もありますが、企業では複数人が吟味するため、決断に時間がかかってしまうのです。
他にも、法人営業では支払いや契約の流れなどの商習慣、業界毎の慣習などへの理解が必要となるため、法人営業未経験でSaaSへ転職する場合はポテンシャル採用となることが多いです。
2-2. 無形商材でありソリューション提案が必要
目に見える物を販売するのが有形商材で、目に見えないサービスを販売するのが無形商材の営業です。有形商材の場合、商品の魅力や効果が伝わりやすいですが、無形商材の場合は、サービスを導入した結果、どのような効果やベネフィットがあるかを伝える必要があります。
SaaSはクラウド上でソフトウェアを提供するため、有形商材と思われることもありますが、顧客の課題解決を目的にした無形商材だと考えるSaaS企業が一般的です。
そのため、SaaSでは顧客の課題を引き出して解決策を提示するソリューション営業という側面が強く、難易度が高いのです。顧客によっては、自社の課題に気づいていないケースもありコンサルティングに近い提案もあるでしょう。
2-3. 既存営業ではない新規営業の難しさ
既存顧客を回るルート営業は、関係性のある顧客との商談が基本となるため、未経験可の求人も多くチャレンジしやすい営業職です。一方でSaaSに多い新規営業の場合は、見込みのある顧客の精査、商談獲得、新規の提案といった営業の進め方が必要となります。顧客との商談を獲得するために、Webサイトで代表電話を調べてテレアポからスタートする場合もありますが、断られることも多く、キーマンにつなげてもらうことも大変です。また、関係性のない状態から信頼を築いていく大変さもあります。
2-4. 分業制の営業組織は専門性が求められる
SaaSの営業は、The Model型と呼ばれる分業型の組織が多いです。一気通貫型の営業と違い、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス 、カスタマーサクセスなどとチームが分かれていて、営業活動を効率的に行い、生産性を高めるための分業となっています。
自分の得意領域で活躍できるメリットがありますが、一方で専門的なスキルや知識が求められます。詳しくは下記の記事も参考にしてみてください。
3. 難易度の高いインサイドセールスの例
ここで、今までの内容を踏まえ、難易度の高いインサイドセールス※を考えてみましょう。
※インサイドセールスは、主に商談獲得を目的に活動する営業職です。
インサイドセールスの場合、BDR(企業から見込み顧客へアプローチするアウトバウンド型)とSDR(主に見込み顧客からの問い合わせに対してアプローチするインバウンド型)とで難易度が変わってきます。もちろん顧客に一からアプローチすることも多いBDRは、飛び込み営業にも近いため、営業難易度も高いです。
4. 難易度の高いフィールドセールスの例
難易度の高いフィールドセールス※は次の場合です。
※フィールドセールスは、主にクロージング・受注をゴールに活動する営業職です。
エンタープライズとは大企業を指します。エンタープライズの場合、既に関係性が濃い企業がいたり、予算も多いためライバル企業も多くいたりと、商談の機会を得ること自体が難しいです。また大きい組織のため、意思決定の関係者が多く、SaaSを利用するメンバーも多いことも違いです。一方で、受注できた際は多くの売上が見込めますし、導入実績にもなるため、見返りも大きいと言えます。
5. 営業難易度を左右するその他要素
その他にも、営業の難易度を左右する要素として下記があります。今までお伝えした内容に加えて、プロダクト自体の魅力や市場環境、業界理解、社内の調整の有無なども関わってきますので、SaaSに転職する際は必ずチェックすべきポイントと言えるでしょう。
- サービスの特徴:既にある課題を解決する課題解決型より新しい価値提供の価値提案型の方が難しい(例としては、従業員サーベイのモチベーションクラウドやWevoxがあげられる)。
- プロダクト単価:月額費用が安価であればユーザーは導入しやすい、高価であればより慎重になる。
- プロダクトの種類:業界特化のバーティカルなのか、業界にとらわれないホリゾンタルなのか。バーティカルであるなら、業界の深い理解が必要となってくる。
- プロダクトの市場環境:競合が多ければ他社比較されコンペも多い。また今後の市場成長性が将来的な営業難易度に関わってくる
- 社内連携:開発やカスタマーサクセスなど他部門と連携して提案を作る必要があれば、社内調整力が求められる。
- プロダクトを提供する部門の理解:経理であれば会計知識、人事であれば採用に関する知識が必要。
6. SaaS営業への転職のしやすさは?
転職のしやすさで言うともちろんSaaS営業経験者が有利ではありますが、法人営業の経験があればチャンスはあります。中でも無形商材の広告やIT関連、人材関連のサービス経験者は評価が高いです。それらに当てはまらない場合でも、アウトバウンドコールの経験や、カスタマーサクセスに近い業務をしていたなど、アピールできるポイントがあれば可能性もありますので、まずはご自身のキャリアの棚卸しをしていただくこともオススメです。
7. SaaSの営業として活躍するために
SaaSの営業として活躍するためには、営業手法を勉強しておくことも大事です。The Modelについてやエンタープライズ向けの営業手法として知られているABM(アカウント・ベースド・マーケティング)、他にもSPIN話法と呼ばれるヒアリングテクニックなど、どのような営業スタイルやテクニックが使われているかは書籍やWebで知ることができます。
また、実際にSaaS企業を受けてみても多くの気づきがあるでしょう。転職エージェントから転職して活躍するためのアドバイスをもらったり、面接官に面接のフィードバックをもらったりと大きなチャンスがあることは間違いありません。SaaSに興味があるという方は、一度「マーキャリNEXT CAREER」にご相談ください。SaaSに特化した転職エージェントからSaaS営業になるための具体的なアドバイスをもらいながら転職をスムーズに進めることができますよ。
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執筆者
マーキャリ 編集部