労務管理SaaS「WelcomeHR」CEOが語る! 起業への想いとスタートアップとして求めるメンバー

労務管理SaaS「WelcomeHR」CEOが語る! 起業への想いとスタートアップとして求めるメンバー

Profile

グスタボ・ドレ(通称:ドリー) ワークスタイルテック株式会社 CEO

23歳で奨学金制度を利用しブラジルから来日。慶応大学大学院/メディアコミュニケーション学部にてインタラクションデザインを学ぶ。同院終了後はソニー株式会社にてVAIOの企画を担当し、リクルート株式会社ではUI/UXデザイナーとしてWebディレクション業務を経験。2016年に「日本の働き方をもっと良くしていきたい!」という想いからHRテック企業「モティファイ(株)」 (ワークスタイルテック(株)の前身) を設立。クラウド労務管理システムの開発・事業拡大に注力している。

目次

人材不足や働き方改革への対応などの課題を持つ小売業界に対して、店舗のアルバイト管理を自動化するプロダクト「WelcomeHR」を提供しているワークスタイルテック株式会社。今回インタビューをしたのは、日本の大手企業でデザイナーとして働いた後、同社を設立したグスタボ・ドレさん(通称:ドリーさん)。

ドリーさんは、日本企業における業務時間の考え方や、社員個人が夢や理想をあきらめざるを得ない働き方を改善するために、従業員との関わり方にも工夫を凝らしています。今回はドリーさんに、プロダクトにかけた思いやCEOとしてどのようにメンバーマネジメントを考えているのかについて伺いました。

店長を支える心優しいデザインの「労務管理システム」

──まず、御社の事業内容について教えてください。

私たちは入社手続きの効率化に特化したクラウド労務サービス「WelcomeHR」を開発・提供しています。主なターゲットは飲食業や小売業など店舗の多い企業です。現在、2,500店舗、6万ユーザーに利用されていますが、2021年末には1万7,000店舗、計30万人のユーザーへと拡大しました。

──「WelcomeHR」の強みやこだわりはどのような点でしょうか?

低コストと使いやすさの両立を意識していることです。

店舗経営者が第一に求めているのはコストカットですが、低価格のクラウド労務サービスの多くが人事知識を持つ人向けに作られていて、店長が活用するにはハードルが高いものでした。

店長は売上や顧客満足度の向上などに頭を使いたいですから、一から労務管理の専門用語を覚えて入社や社会保険の手続きを進めるには時間もストレスもかかります。

そこに目をつけたのが「WelcomeHR」です。価格を抑えながらもUI/UXを追求し、労務管理が初めての店長でも無理なく導入できます。具体的にこだわったのは、スマホで全ての作業が完結できるシステム。心優しいイラストの使用や、ストレスの少ない緑色をベースに白色の背景スペースも多く取ったデザインなどです。

──起業してサービスを立ち上げた背景には「日本の働き方をよくしたい」という思いがあったのでしょうか。

もちろんです。私は日本の大手企業に勤めていましたが、残業の多さや、業務時間への考え方に違和感がありました。

私は朝型人間なので、朝の早い時間から仕事を始めたいと思っていましたが、今の日本では定時後の残業代は出るにもかかわらず、朝の残業代は出ませんよね。加えて、日本だと「会社に入って会社に従う」という意識が強いことも気になっていました。例えば、海外に住みたいという夢を持っていても、会社が葛西にあれば葛西の近くに住まなければなりません。

私自身の生活を考えた時「海の近くに住みたい」「もう少しリラックスしたペースで過ごしたい」「子どもの保育園の送り迎えをしたい」などの理想がありました。転職活動もしましたが、私の希望を叶えられる企業は見つからなかったのです。それならば、自分で会社を作るしかないと思ったのも起業の理由の1つです。

従業員にとって会社が1つのステップになれば良い

────スタートアップである御社では、成長に向けて日々の変化が激しいと思います。CEOとしてどのようなことを意識していますか?

経営状況を社長だけが把握するのではなく、メンバー全員に共有するようにしています。事業において「0から1」「1から10」「10から100」の3つのステージがあるとすると、今の私たちは2年かけて0を1にし、「1から10」のステージ、つまり商品が認められ契約更新を可能にする状態まで持ち上げました。ただ、そこまでの道は簡単ではありません。

最初の「0から1」のチャレンジにおいては、資金調達を見据えて、どれだけ会社を成長させ、収支サイクルをうまく回せるかが重要になりますが、資金調達までの間で経営が厳しくなる状況もあります。そのような場合でも現状を社内メンバーに共有して、緊張感を常に持ってもらうように意識していましたね。

──メンバーに求める意識やスタンスなどはありますか??

「事業を手伝います」と考えている人はあまり求めていません。手伝うのではなく、自分自身の夢を叶えるために入社いただき「あなたの成功=私たち『ワークスタイルテック』の成功」になってほしいと思っています。ですから、自発的に考えて行動することを楽しめる人がいいですね。

単純な話、会社を手伝うというスタンスで仕事をすると、揉め事があればモチベーションが下がってしまったり、困難が生じたら手伝うことをやめてしまったりします。

一方、自分自身の成功と会社の成功を同時に走らせられる人であれば、その心配はいりません。もし途中で「あなたの成功=私たち『ワークスタイルテック』の成功」の式が成り立たなくなったのなら、その時は無理して留まらなくてもいいと思っています。誰かが抱いている夢があり、それに向かっていく途中で、私の会社が1つのステップになってほしいためです。

──メンバーへのフォローアップで気を付けていることを教えてください。

社員全員と2週間に一度面談をしています。話す内容は、メンバーがやりたいことや将来の夢、組織変更やポジションについてなどです。それ以外にも、何か思いついた時にはすぐに電話して、従業員の声を聴くようにしています。

私自身は、月に1回2~3時間かけて社員について考える時間を作っていますね。会社は社員との信頼関係がないと成り立たないので大切なことです。

──御社メンバーとして働くことの魅力はどのような点でしょうか?

社長が全てを考えて事業を進めているわけではないので、自分で考えた企画について議論し、実行できるところが魅力的だと思います。それから、専門性をより高めてもらうための育成に力を入れていることも魅力に挙げられるでしょう。

デザイナーや営業は有料の講座や研修を受けることができます。50~60万円と高額なものもOKです。スタートアップにしては育成にお金をかけているのではないでしょうか。高い費用をつぎ込んだとしてもメンバーの企画力を高めることができれば、後になって利益として会社に戻ってくると期待しています。

海外展開への挑戦! それも見据えていたシステム開発

──御社のプロダクトは海外展開も視野に入っているのでしょうか?

COOが海外進出のための調査やマーケティング、パートナーシップなどについて詳しいのもあり、ローカルパートナーと進めようと考えています。最初は自社で営業しようと思いましたが、既にお客様がいるのであれば、そちらのほうが拡大も早いですからね。

私が狙っているのは、先進国よりも、ベトナムやタイ、インドネシアなどの東南アジア。ブラジルやメキシコなどの南米地域です。新興国は、国の発達によって政府が税金を集めるために法律の整備が進み、入社手続きなどのプロセスが複雑化されていくためです。

そしてプロセスが複雑化すると、弊社の商品ニーズも出てきます。実際、3年前にニーズがほとんどなかったベトナムで、ここ最近、導入検討の話が出るようになったようです。

──実際に海外で運用するとなると、国ごとの特徴に合わせる必要がありますが、その点はいかがでしょうか。

企画段階から既に海外進出を想定しているので、フレキシブルに作れるようシステム開発をしています。カスタマイズ性が高く、言語も初めから日本語以外に変更できるようにしています。このように計画を早めに立てれば、作り直しの工程を挟む必要がありません。その点に関して言えば、弊社のサービスは競合よりも一歩先を行っているのではないでしょうか。

日本の働き方をもっと良くしていきたい! その想いを実現した

────事業における今後のビジョンや目標を教えてください。

ユーザーを増やし事業を成長させて、数百万人に対して私たちの企業ポリシーで影響を与えたいと考えています。例えば、人事や経営者に「相場より給与が安いので、もう少し上げませんか」「社会保険に入っているアルバイトが少ないので改善しませんか」と働きかけてアルバイトや非正規雇用の社会的インフラを整えたいと思っています。

また、アルバイトを選ぶ方には理由が明確にあることが多いです。例えば、「バンド活動をしたいから」「育児をしながらお金がほしい」など、全ての人に何かしらのストーリーがあるものです。しかし、給料が安い場合も多く、各々のストーリーがあるにもかかわらず、満足や納得をしているわけではありませんよね。そのようにセーフティーネットが薄い人たちを今後サポートしたいですね。

ベンチャーは「自分なりに考えて行動できる人」に向いている



──最後に、スタートアップやベンチャー企業に興味を持っている方に対して、働き方やキャリアのアドバイスをお願いします。

スタートアップならば、小さい会社の中で自分のルールを作れる立場になれることからも、「自己発展をしたい、自分で世界を変えたい」と思っている人に向いていると思います。

組織が小さければ小さいほど、自分がルールを作る立場になれるし、自分の声が大きくなります。自由に仕事をしたい人や、制度を作りたい人も、スタートアップやベンチャー企業に挑戦してみてほしいですね。

これが大手だとなかなか難しいです。なぜなら、新しい企画を立ち上げようとしても、発案者がいなくなったらプロジェクトが流れしまい、上手くいかないことも多いためです。新しい企画に対応する力が強いのは、ベンチャー企業やスタートアップ企業ですね。

──スタートアップで挑戦してみてほしい職種はありますか?

営業ですね。大手企業の営業だと組織の中にメンバーも多く、たとえ売れていなくても目立つことが少ないです。しかし、スタートアップの営業だと売上がすぐにわかってしまうため、怖がる人が多くいる印象です。ですが、「売れなかったら営業の私のせいだ」と思い詰める必要はありません。営業メンバーと一緒にチャレンジして事業を大きくしたいと思っている経営者も多くいます。私ももちろんそう思っています。ぜひ挑戦してみてください。

──スタートアップで働くイメージが理解できました。本日は貴重なお話をありがとうございました!



「Welcome HR」のWebサイトはこちら
マーキャリ 編集部

執筆者

マーキャリ 編集部

Other Category

その他のカテゴリー

  • Skill
  • Career
  • Template
  • Knowledge
  • Others