• 2019/10/25
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『グロースハッカー佚』(第11話)【コールハッカー佚】

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新連載企画『グロースハッカー佚』。BtoBマーケティング会社に中途入社した八月一日 佚(ほずみ てつ)。前職ではプロモーターとして勤務していた小さな音楽レーベルを1人でメジャーレーベルにまで成長させたキャリアを持つ26歳彼女の誰も思いつかないような独創的な発想は果たしてBtoBマーケティング会社でも通用するのか。会社のブレーンとして様々な企業課題に立ち向かう彼女と会社の成長を追ったストーリー小説。

前回、今まで培ってきたコールノウハウのうち、受付を突破するコツをコール担当者に伝授した八月一日 佚。そしていよいよキーパーソンにつながった際のセールストークへと移っていく...→『グロースハッカー佚』(第10話)はこちら

コールハッカー佚

尾頃「キーマンに繋がった場合のトーク術も教えてほしいです」

佚「キーマンは特に、イメージをさせて会話をコントロールします」

尾頃「イメージ?」

佚「ちょっと一回やってみましょう。先ず尾頃さんがお勧めしたいものを一つ選んでください」

尾頃「お勧めしたいもの...お店でも良いですか?」

佚「出来れば何か、ものの方が良いかもしれません」

尾頃「それだったら、私、ビタミンB系のサプリで最近凄くお勧めなのがあります」

佚「それを是非私にお勧めしてください。初めて電話を掛けるテイで。勿論尾頃さんは私のことを知りません。ゴールはその商品を買いたい気持ちにさせること」

尾頃「スクリプトとかないと難しいです」

佚「友達に何かを勧める時にいつもスクリプトは使いませんよね。自分が良いと思うものであればフリートークでいけるはずです。頑張りましょう」

尾頃「分かりました...初めまして、尾頃です。八月一日(ほずみ)さんのお電話でよろしいでしょうか?」

佚「はいそうです」

尾頃「お世話になっております。本日は八月一日さんにお勧めしたいサプリメントがございましてご連絡させていただきました」

佚「どんなサプリなんですか?」

尾頃「はい、美容に効くサプリで、飲み続けると肌も綺麗になるんです」

佚「なるほど」

尾頃「いかがですか?」

佚「まだどんな商品で効果もいまいちイメージできていないので分かりません」

尾頃「すみません、健康系サプリになるんですけど、私も毎日飲んでてニキビが出来にくくなったんですよ」

佚「人気の商品なのですか?」

尾頃「そこまで話題にはなってませんが、〇〇系列のドラッグストアで売られてて、私は色々試した中でこれが一番効果があったんです」

佚「どれぐらい飲んで効果を実感できましたか?」

尾頃「1か月くらいですかね」

佚「そうなんですね」

尾頃「いかがですか?購入しませんか?」

佚「価格はおいくらですか?」

尾頃「300錠で3600円くらいです」

佚「余りサプリは飲まないので結構です」

尾頃「あ、えっと、普段飲まない人もこのサプリはお勧めですよ! 肌も綺麗になりますし!」

佚「私、サプリは信用してないんですよ、実際何入ってるか分からないし、以前話題になってたのとか試したけど効果は感じられなかったし」

尾頃「そうですか、でも3600円で肌が綺麗になれるならエステとかに通うより安いと思います。是非お試しいただきたいのですが」

佚「ではまた機会があったら考えてみます」

尾頃「分かりました...お願いします」

佚「いかがでしたか?自分の中で魅力は伝えられましたか?」

尾頃「うーん、難しいですね。多分伝えられてないです。」

佚「毎日飲んでてニキビが出来にくくなったとか、自分自身の事例を交えたの凄く良かったですよ。説得力が出ますし」

尾頃「ありがとうございます!でも八月一日さんはサプリなんかそもそも興味ないですよね。そのままでも肌綺麗ですし」

佚「そのサプリって○○のことですよね。実際は私もそれ飲んでますよ笑」

尾頃「え!そうだったんですか!?笑 てっきり全く知らないのかと思いました」

佚「良いサプリだと思います。さっきの話に戻りますが、何かを勧める時は常に相手にイメージを持たせコントロールすることが重要になります。そういう意味だと、ちょっとそこがまだ弱いかなと思います」

尾頃「イメージを持たせコントロールするというのは?」

佚「まず冒頭で『お勧めしたいサプリメント』というワードを出したので、相手は頭にサプリメントを浮かべます。この時点で大抵興味あるなしが判断されてしまいます。興味があれば次のステップに進めますが、そもそもサプリに抵抗があったり全く興味のない人であれば、その後のイメージは中々変えられません。つまり冒頭で会話が出来る人を大分狭めることになるのです」

尾頃「じゃあサプリメントというワードを出さなければよかったですか?」

佚「いいえ、サプリメントというワード自体の問題ではなく、タイミングの問題です。サプリに対するイメージをまだコントロール出来ていない段階で必要性の判断に繋がるワードは避けるべきです。このサプリはビタミンB2B6が口内炎や肌荒れに効くというもの。だから先ずはそのメリットをイメージ化するのが先です」

尾頃「イメージ化?」

佚「組み立て方としては、はじめに相手の現状を聞き出します。口内炎が出来た時にどうしているかとか疲労やストレスによって肌が荒れた時にどんな対処や対策をしているかなど」

尾頃「なるほど!」

佚「現状の対処法や対策に満足している人は中々いません。口内炎が出来てしまったら、肌が荒れてしまったら一刻も早く治したい、しかしそう簡単には治りません。だから現状の不満をイメージさせるのです。」

尾頃「そもそも口内炎が一切できない、肌が荒れないって人だったらどうしますか?」

佚「その人はそもそもこの商品のターゲットではありません。どんなに言葉巧みに誘導しても最終的に意味がないので諦めましょう」

尾頃「それならサプリには興味ないっていう人もターゲット外ではないんですか?」

佚「それは違います。例えば新品の冷蔵庫を買った人に冷蔵庫を営業しても意味無いですが、10年前の冷蔵庫を使っている人であれば十分ターゲットになります。その人が今のものでまだ十分使えるから興味ないと言っても、ターゲットからは外れません。それと同じです。感想を聞くのではなく現状を聞く必要があります」

尾頃「現状の不満をイメージさせたら、どう持っていくんですか?」

佚「不満に対して諦めている人、なんとかしたいと思っている人に分かれると思います。諦めている人は信用を上げるのに注力します。なんとかしたいと思っている人は気持ちを盛り上げるような啓蒙が良いです」

尾頃「具体的にはどうしたら...?」

佚「信用を上げるには、どれだけの人がその商品を支持しているか、成分は何が入っていて、それがどう効くか実証されているから、効果が出るみたいな説得力のあるトークの組み立てが必要になります。逆になんとかしたいと思っている人には効果中心に話を進めて盛り上げていくと良いかもしれません。盛り上がっているところに説得力のある説明をすることで相手はその気持ちに確信を持つことが出来ます。」

尾頃「なるほどですね。でもイメージのコントロールのところがまだ良く分からないです」

佚「先ず、普段肌荒れが起きる時を思い出させます。その時にどうしているか、そしていつもその時にどんな気持ちになっているかをイメージしてもらい、それから今使っている薬の良いところや悪いところを考えさせ、これから紹介するサプリへの期待を高めます。感情が高まっていれば創造性は豊になるものです。だからサプリに対しても柔軟にイメージを持つことが出来ます。あとはこちらが意図したイメージに相手を誘導します。 『肌が綺麗になる』と聞いたら綺麗になる姿よりも本当に綺麗になるのか?という疑問が先に来るものです。だからそう言うよりは『この成分は皮膚の皮脂腺の働きを調節出来る』や『自分が試した時に1cm台のニキビが2日で消えた』などイメージを掻き立てるトークを展開することがコントロールになります」

尾頃「誘導尋問とはちょっと違いますよね。難しい...でも理解はできました。またシミュレーションやってほしいです」

佚「分かりました。では私が尾頃さんにこのサプリを売りますね。まだ知らないテイで宜しくです」

尾頃「お願いします!」


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