働き方改革が施行されたことにより、会社の体制や制度が変わったなんて人も多いと思います。企業も個人も今まで以上にビジネスマンのキャリア展望に目が向けられている中、マーキャリ会員によるキャリアチェンジに伴った体験談をシリーズものとして連載していくのが本企画です。
今まさに自身の今後のビジネスライフに向けて働き方を変える動きをしている方もまだキャリアプランが漠然としている方も参考になる内容になっておりますので是非ご覧ください。
今回の記事投稿者:北原竜也さん
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自己紹介
はじめまして。
中小企業診断士の北原と申します。
「中小企業診断士ってなに?」と思う方も多いかと思うので簡単に説明させていただきます。
中小企業診断士とは経営コンサルティング系の唯一の国家資格で、その資格を使ってコンサルティングなどの仕事を行っています。
また、心理カウンセリングやキャリアカウンセリングなど、フリーランスとして様々な仕事をしています。
そんな私ですが、実は大学卒業時に頂いていた内定を辞退し1年間、フリーター生活として生計を立てながら準備をし、個人事業主として仕事を始めました。
当初から中小企業診断士としてコンサルティングを行っていたわけではなく、
初めは心理カウンセリングやキャリアカウンセリングをメインに活動をしていました。
それから仕事をしながら資格の勉強を続け、勉強開始から4年目で合格、その翌年に中小企業診断士に登録しコンサルティングの仕事も開始しました。
内定辞退から起業までの流れ
紆余曲折あり内定辞退から起業という選択をし、現在に至るわけですが
今の私の働き方に至るまでの話をさせていただきたいと思います。
私は始めから「起業をしたい!」、「こんな仕事がしたい!」といった働き方に関する願望や希望があったわけではありません。
やりたいこともなかったので、「とりあえず内定をもらえればいい」という気持ちで就職活動をしている学生でした。
ただ、幸か不幸か私が就職活動をしていた年はリーマンショックの翌年で多くの企業が採用数を絞り込み、就職活動が始まる前から苦戦することが決まりきっていた年でした。
自分のやりたいこともわからないままの私は案の定、就職活動では苦戦を強いられ200社以上の企業に落ちることになります。
最終的には1社の内定を獲得することができたのですが、実は就職活動の中盤からそのまま社会人になる自分に疑問を感じていました。
そして、結果的には内定を辞退し自分で起業をすることを決断しました。
(どんな疑問を感じて内定辞退を決断したのかは後述します。)
内定を辞退した時点で私は“多くの人が活き活きと働ける社会”になる手助けになるような仕事をしたいと考えていました。
なので、内定辞退から1年間はフリーターをしながらコーチングやカウンセリング、コンサルティングなどのセミナーや講座などに通い知識や技術を学んでいきました。
同時に少しでも手に職をと思い中小企業診断士の資格試験の勉強も始めていました。
そして、1年間の準備期間を経て個人事業者登録をし、個人事業主として仕事をカウンセリングやセミナーなどの仕事を個人で開始しました。
仕事を開始したといってもすぐに軌道にのったわけもなく、個人事業を始めた当初はブログで情報を発信しても反応がない、セミナーを開催してもお客さんは来ないなど、なかなか芽が出ない中、地道に活動を続けていました。
この当時もアルバイトは辞めておらず、収入のほとんどは相変わらずのアルバイトでフリーターだった時と大きくは変わりませんでした。
それでも地道に情報発信やセミナー開催などを続けていたことで、心理カウンセリングの電話相談のポータルサイトからカウンセラー登録のオファーがあったり、自身のブログ記事をまとめて電子書籍をつくり、その原稿を出版社に送り著書として出版が決まったりと一歩一歩、ゆっくりではありましたが個人事業で始めた仕事も身を結び始めました。
このようにアルバイトと個人事業の仕事を進めながらも中小企業診断士の資格試験の勉強も並行して続けていました。
中小企業診断士の合格率は約5%で私にとってはこれも非常に難易度の高いチャレンジでした。
4年目の挑戦で合格するまで、アルバイトに個人事業の仕事、そして資格試験の勉強と挫けそうになりながらも勉強を続け、なんとか結果を出すことができました。
資格を取得してからは中小企業診断士としてコンサルティングの仕事もはじめ、主に企業のメンタルヘルスに関わる分野、健康経営や起業支援など働く人の心や心身の健康、働き方に関する分野を専門に活動しています。
起業を決めたきっかけ
では、なぜ私が200社の企業に落ちようやく獲得した内定を辞退してまで、起業を決断したのか。それをお話ししようと思います。
私は大学2年のときに、うつ病になり8ヶ月間通院治療を受けていました。本当に苦しい8ヶ月間である意味で私の人生観を変えた出来事でもあったかと思います。
この、うつ病の経験とリーマンショック後の就職活動という環境が重なり、私は内定辞退から起業という選択を決めました。
私が就職活動を始めた頃は、私も含めて就職活動に対する不安や恐怖心が非常に強い年だったように思います。
1学年上の先輩方の代では内定切りが問題になったり、就職活動が始まる前から採用数は絞られると話題になっていたりと自分たちの就職活動が厳しくなることがわかりきっていたからです。
私もそんなうちの1人でした。
ただ、私が他の人と少し違ったのが、うつ病を患い克服していたこと。
就職活動への不安や恐怖心もありましたが、この不安も恐怖心も、うつ病の時に感じていたそれらと比べると豆粒のように小さく、そこまで大きなことではありませんでした。
就職活動への不安や恐怖心が小さかったというよりも、うつ病のときに感じていたものが大きすぎて相対的に小さく感じたといった方が適切かもしれません。
そういった経緯もあり、私は多くの就活生と比べると不安などは感じつつもリラックスして就職活動に臨めていたと思います。
リラックスして臨みすぎて200社以上も落ちることにもなるのですが…
200社以上落ちたというとよく驚かれるのですが、実は私自身は落ちたことはあまり気にはしていませんでしたし、落ちて辛い、苦しいと思うこともありませんでした。
その理由は、200社落ちることよりも、うつ病のときに1日を普通に過ごす方が圧倒的に苦しかったからです。
そういった意味で私にとって就職活動で落ちることはかすり傷ですらなく、そよ風が吹いた程度しか影響はありませんでした。
それでも就職活動で出会う他の就活生はそうはいきません。
月日が経つにつれて追い込まれている様子の就活生にも多く出会いました。
その時の様子が、うつ病だった時の自分を見ているようでなんとも言えない気持ちになりました。
さらにリーマンショック後の企業で働くサラリーマンもまた同様に苦しそうに見え、「自分はなんのために働くのだろう」という疑問を持つようになっていきます。
そんな疑問をもったまま、就職活動は続けました。この頃から少しずつ自分の中で起業という選択肢も生まれ始めてはいましたが、就職活動を通して内定を獲得しないとわからないこともあると考えもあり就職活動も真剣に続けました。
なんとか内定を獲得してから改めて自分自身のことで気が付いたことがありました。
それは私自身が1度、安定した(ように見える)場所に入ってしまうとチャレンジをすることはないだろうということです。
つまり、普通に就職をしてしまうと、そこから転職や起業など思い切った行動がとれなくなってしまう。そして、定年を迎える頃に後悔をするのだと。自分自身にそんな確信がありました。
だからこそ、不安定なうちに、背負うものがないうちにチャレンジをしなければ。
そんな気持ちが強くなり内定を辞退し、起業をすることを決断しました。
経験が活かされたこと
キャリアや経験が乏しい状態で起業をした私ですが、うつ病の経験や就職活動で200社落ちた経験は私独自の強みとなっています。
例えば、心理カウンセリングでは、知識や技術だけでない、うつ病を経験しているからこそわかることや共感できることもあります。
キャリアカウンセリングや起業のコンサルティングでは私の200社落ちから起業をした経験はクライアントに興味を持って頂くことが多いです。
そして、中小企業診断士のコンサルティングでもメンタルヘルスや健康経営といった働く人の心に関する分野や心身の健康に関する分野をメインに活動しているため、これについても私自身の経験や心理カウンセラーの経験も大いに活かされています。
起業をして最初大変だったこと
起業した当初に大変だったことは何もない状態から全て1人でしなければいけなかったことです。
ブログでの情報発信やセミナーなどもなかなか反応がない中でも試行錯誤しながら地道に続けていったことです。
そして、やはり収入がなければ生活ができないのでアルバイトもしながらの生活だったことです。
このアルバイトも日中は自由に動けるようにしたいと考えていたため早朝と夜間のアルバイトを掛け持ちしながらの生活していました。
加えて次のステップに向けて中小企業診断士の勉強も続けていたため自由な時間は少なかったことは大変でもありましたが充実していました。
成果をだせたこと
大手の心理カウンセリングのポータルサイトに心理カウンセラー登録の声がかかったこと、自著の出版ができたこと、中小企業診断士試験に合格し中小企業診断士になれたこと。
振り返ると就職活動をしていた当時の自分では思いもよらないような成果を出すことができました。
まだまだできていないこと、更にやりたいことなどもたくさんあります。
むしろ、こちらの方が多いくらいでもありますが、様々な縁もあり少しずつ自分のやりたかったこと、思い描いた形に近づいてきています。
他の人が同じことをすれば、もっとスピーディーかつ確実に結果を出すことができるだろうと思うこともあります。
それでも私なりに自分自身のペースで一歩一歩ではありますが成果に繋げてくことができました。
成果をだせたことの道筋
成果を出せるまでの道筋としては特別なことはしていません。
こつこつブログを更新していたら偶然記事が心理カウンセリングのポータルサイト担当者の方の目にとまり連絡がくる。
ブログでうつ病体験から起業までの記事を書いており、それをまとめて電子書籍をつくったので出版社に送り出版につながる。
なかなか結果が出ないなかでも諦めずに4年間、勉強を続け中小企業診断士に合格し次のステップにつなげる。
すべてにおいて運よく成果につながった部分も否めません。
ただ、全てにおいて共通することはそのときにできることをコツコツと地道に続けてきたにすぎません。
それは今でも変わりません。何か新しいことに挑戦するたびに試行錯誤をしながらコツコツと続ける。
これが私が成果を出すまでの道筋です。
まとめ
キャリアチェンジを希望する方は不安や希望など様々な思いを抱えているかと思います。
私自身、起業しフリーランスとして働きながらも、あの時に内定辞退したことを後悔することもありました。
それでも、その後悔も原動力になり新しい挑戦ができているのも事実です。
なにか選択に迷ったとき、迷った分だけどちらを選んでも後悔する。
だから将来、後悔することを前提に今、自分が良いと思う方を決断する。
その決断が、どうしても違ったと思えばまた新しい決断をする。
キャリアチェンジも含め何かを決断することは常にその繰り返しなのではないか。
私はそのように考えています。
キャリアチェンジを目指す方の挑戦と決断、応援しております。