働き方改革が施行されたことにより、会社の体制や制度が変わったなんて人も多いと思います。企業も個人も今まで以上にビジネスマンのキャリア展望に目が向けられている中、マーキャリ会員によるキャリアチェンジに伴った体験談をシリーズものとして連載していくのが本企画です。
今まさに自身の今後のビジネスライフに向けて働き方を変える動きをしている方もまだキャリアプランが漠然としている方も参考になる内容になっておりますので是非ご覧ください。
今回の記事投稿者:KOさん
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1.自己紹介
私は航空業界関係会社に勤める会社員です。大学を卒業してから現在まで、約25年間同じ空港で働いており、現在は管理職として働いております。今回私が話をさせていただくのは、私が一般職の従業員から管理職に昇進する際にそれまで在籍していた経理関係の部門から経営管理関係の部門にキャリアチャレンジした当時のことについてです。その当時はキャリアチェンジをすることについて結構悩んだ末に、結果的にはチャレンジすることを選択しました。今となっては、その選択がその後の私のキャリアパスとして、とても良かったと思っています。
2.キャリアチェンジまでの流れ
私はその当時、10年ぐらいに渡って経理関係部門で働いていました。最初は契約、次に資金調達、それから予算及び収支管理ということで、ほぼ経理財務関係のすべての仕事の経験を終えたぐらいのところでした。それ以前に日商簿記2級も取得し、大学の専攻が法学部の法律学科ということで、本来あまり好きではなかった数字を扱う経理関係の仕事にもようやく慣れてきた時期ではありました。
また、経理部門での最後の仕事であった予算及び収支管理という仕事は、会社の経営層と直接話をすることも多く、非常にやりがいのある仕事だと感じていました。実際に私がはじいた収支見込みが新聞の見出しになったこともあります。そのような状況でしたから、そのまま経理畑でずっとキャリアを積むということも一つの選択肢ではあったと思います。
一方、約10年間ずっと経理部門で働いていたということで、仕事の内容もほぼすべて完全に把握していましたので、マンネリ感があったことも否めません。そのような状況の中で、経営管理部門である子会社管理グループのグループリーダー(管理職)へのキャリアチェンジのチャンスがありました。私は、それまで経営管理部門に在籍したことはありませんでしたが、そのチャンスにチャレンジし、昇格試験を受けることにしようと決心したのでした。
3.なぜ、チャレンジしようと思ったか?
子会社管理グループのグループリーダーにチャレンジしようと思ったのは、まず昇進というチャンスをものにしたかったということと、前述した通り、経理部門に10年以上在籍して、経理部門の業務については、ほとんど全般的にわかるようになっていたので、マンネリ化していたということもありました。
ただ、別の部門の管理職にチャレンジするということは、一般管理職から管理職になるというチャレンジと他部門に移るという2つのチャレンジを同時にするということで、2倍のプレッシャーがかかるという覚悟をする必要がありました。それを考えた上でも、やはり私は新しいフィールドにチャレンジしたという思いのほうが勝ったというのがその当時の思いでした。
4.元のキャリアのスキルが次のキャリアに活かされたこと
子会社管理グループというのは、各子会社の経営を本社として全体的にマネジメントするというのが仕事になりますので、各子会社の経営層とそれぞれの子会社の経営状況について議論をする必要があります。会社経営にかかわる重要な要素はいくつかありますが、財務状況というのは経営管理上、最も重要な要素となりますので、財務諸表が読めるという素地をすでに私が備えていたことは、私が各子会社の経営者とそれぞれの会社の経営状況について議論をする上で、とても役に立ったと思います。
5.キャリアチェンジで大変だったこと
キャリアチェンジをして子会社管理グループリーダーとなって、最初大変だったことは、私が仕事をする上で議論をする相手となる各子会社の経営層というのが、本社レベルで言うと私の上司のランク(部長以上)に位置する人ばかりであったことです。本社の経営層のバックアップは当然ありましたが、時には厳しい注文を子会社の経営層にしなければならないこともたびたびありました。その場合は当然子会社の経営者からの反発もありましたので、それをまとめて行くのには苦労しました。
また、人事戦略などについては、私はそれまでのキャリア上経験がなかったので、その面でもとても苦労をしました。
6.成果をだせたこと
成果を出せたこととしては、1つ目として、子会社のうちの1社を本社の経営層の意向を受けて完全子会社化し、その後、他の子会社と合併させたことがあります。約10社あった他の株主会社から株式を買い取ったのですが、その額の算定や買い取り条件については他の株主会社から合意を得るのにかなり苦労をしました。お互いに他の株主会社の動向を見ながら売却をするかしないかを判断されたこともあり、何度も行ったり来たりを繰り返しながら、最終的に全社を説得して、自社に有利な条件ですべての株を買い取ることができました。
2つ目としては、子会社の1つが抱えていた不良資産を本社で買い取るというものがありました。これも、その子会社の他の株主会社に対して資産の移転をさせることについて納得してもらうのにかなり苦労をしました。これについても、他の株主会社に粘り強く説得を行い、結果的に自社の思うような形で資産を本社に移転させることができました。
7.成果をだせたことの道筋
1つ目の株式買い取りについても、2つ目の不良資産買い取りについても、いずれも経理部門時代に培った経理・財務的な知識と経験が大いに役立ちました。
1つ目の株式買い取りにあたっては、その子会社の将来の財務状況の見通しを自社の主張する形で作成し、株式買い取り価格を結果として自社の有利な額で算定して、その額で他の株主会社から買い取ることが可能となりました。
また、2つ目の不良資産の買い取りについても、本社と子会社間での資産と負債の相殺などという財務的なテクニックを使うことによって、他の株主会社を説得することに成功しました。いずれの件についても、私の経理財務部門での知識と経験がなければ、うまく解決することができなかったと思います。
8.まとめ
これまで、私のキャリアチェンジの時の経験をお話させていただきました。私の場合は社内の他部門へのキャリアチェンジと管理職へのチャレンジが同時になったというものだったですが、会社を変わって転職されるなどの場合は、もっと大きな決断が必要かと思います。それでも、新しいことへのチャレンジのチャンスがあれば、私は積極的にその一歩を踏み出すほうがいいと考えます。特に当時の私と同じように現状にマンネリ化を感じていたり、不満や充実感がなかったりする場合は新しい環境を選択するという方がいいのではないでしょうか。
人間は何事においても、やって後悔するよりもやらなかったことを後悔すると言います。それであれば、思い切ってチャレンジをして、新たなフィールドでそれまでの経験を生かして活躍するほうが良いと思います。皆さんもチャレンジのチャンスがあれば、是非チャレンジする方を選択してより良いキャリアを作っていただければと思います。