この記事は「大事にすべき顧客が分かる?3つの指標をもとに行うRFM分析」の後編になります。
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RFMの3項目の分析の仕方
R・F・Mの顧客はどれも一定期間の間に購入をした顧客ですので、それぞれの項目で順位の違いはありますが、すべて同じ顧客についてのデータとなります。それぞれのデータについて顧客をランクづけして、総合評価をもとに「優良顧客」、「非優良顧客」、「新規顧客」、「安定顧客」、「離反顧客」などに分類します。もちろん、R・F・Mすべての項目で順位が高ければよい顧客となります。しかしRは高いがFは低いといったことが起こるのが通常です。それぞれの組み合わせについて、どのような顧客であると判断できるかの例をピックアップして示しておきます。 「Recency(直近でいつ)」、「Frequency(頻度)」、「Monetary(購入金額)」の3つの項目について、
・Rが高ければ高いほど将来的にも企業の利益に貢献する可能性が高い
・Fが低い顧客は他社に奪われている可能性が高い
・Rが同じならFが高いほど常連客
・RやFが高くてもMが低い顧客は購買力が低い
・Mが高くてもFが低い顧客を比べる際、Rが高い方が良い顧客である
・RFMすべて低い顧客は、プロモーションを行わないなどの対策も検討すべき と判断できるでしょう。
RFM分析の限界と課題
RFM分析はすべて一定の期間内でのデータ分析の手法です。そのため、「以前はこうだったが今ではこうなった」という時間の移り変わりに対して対応が難しいという側面があります。たとえばオープンした1年目に行うRFM分析と、5年後に行うRFM分析ではまったく内容が変わるでしょう。分かりやすい例としては、ベビー用品が挙げられます。頻繁にベビー用品を購入していた顧客が、その後商品の購入がなくなったからといって他のお店に移ったとは限りません。子どもが成長してベビー用品が不要になった場合もあるでしょう。さらには、2人目の子供が生まれるなどしてまた顧客として戻ってくれば、あっという間に優良顧客となってしまいます。 RFM分析では「何を買ったか」まで対応できません。RFMの指標と共に「何の商品」まで意識できると、より効果的にRFM分析を活用できるようになります。
また、RFM分析は一定期間に区切って行うものですので、1か月単位や半年単位、1年単位で行うと得られる結果や行う意味が異なってくるでしょう。RFM分析は1度で終えるのではなく、常に最新のデータを得られるように更新していくことが重要です。
目的に応じてRFMを細かく設定する
顧客ごとにとるべくアプローチ方法が分かりやすくなるRFM分析ですが、漠然とRFM分析を行っても効果は発揮しづらいでしょう。分析を行う前に、どういった問題を解決するために行うかはきちんと明確にしておく必要があります。 問題があるなら、その要因について仮説を立てておくことも必要です。売上が下がっているという問題があるなら、その原因としては「新聞広告やDMに効果がなかったのではないか」などの仮説が立てられます。DMを送った顧客に絞ってRFM分析を行う、広告を出した週と出さなかった週に分けてRFM分析を行うといった工夫も必要です。 どのような分析手法やフレームワークも、行うことは目的ではなく手段です。何のためにRFM分析を行うのかが明確でないと得られる結果や対応策も漠然としたものになりかねません。現在抱えている課題を知り、売上向上に活かすためにRFM分析を行い、結果につながる行動を起こしていくことが重要でしょう。