BtoBマーケティング市場における人材不足
BtoB市場におけるマーケティング活動は緩やかではあるものの、日に日に活性化している今日において、マーケティング活動を実行する人材、戦略を立てる人材は圧倒的に不足している状態であると言えます。2018年12月時点、Indeedで「マーケティング」の求人を見ると、約45,000件もの求人がヒットします。仮に「東京」でエリア指定を行うと31,066件もの求人がヒットするのです。東京の事業所数(「≒働く場所」と言い換えられる)は630,000所ある(東京都産業労働局調べ)と言われており、およそ5%の事業所がマーケターを欲しているということになります。5%という数値は、非常に少ない数値に見えますが、この事業所には・コンビニエンスストア、工場、社団法人、医療法人等も含まれているのです。
街に出たときに辺りを見渡してみてほしいのですが、おそらく半径100m以内に100件の事業所はあるかと思います。100件事業所の内、5件の事業所がマーケティング求人を出していると考えると、決して少なくはないといえるのではないでしょうか。それだけマーケティング職が身近なものになってきており、マーケティングに関わる業務・仕事が増えてきていることが分かります。
その一方でマーケティング活動を実行する人材が不足しており、企業から求められているとも考えられます。そのため、未経験であってもBtoBマーケターになることが可能なのです。未経験からBtoBマーケターになるためにはどのようなスキルや姿勢が求められるのでしょうか?
マーケターに求められるもの
マーケティング活動を行うにあたって、まず抑えるべきポイントは「マーケティング部門」だけが抑えるべきポイントではなく、たとえば営業マン一人一人がセールス活動の中でも、意識しなければならないポイントなのです。優秀な新規営業マンは、新規訪問顧客の訪問を獲得するために、「電話」をして「資料」を送付して「訪問」するというプロセスの中で、3つのポイントを無意識的に考えコミュニケーションに活かしていると考えられます。
営業からマーケターへ職群転換をする人材は非常に多く、その中でも優秀な方を私は何人も知っています。優秀な営業マンの共通項を紐解いていけば、それがまさにマーケターに求められているスキルということになります。では、営業からマーケターへ転身した彼らの共通事項とは何でしょうか。
思考力
市場から自社サービスの差別化ポイントは何か。顧客には何が響くのか。また、その顧客は日々どのような状況におかれているのか。これらを深く考え仮説立てすること、思考することが非常に重要になります。その点、営業は実践できる場「新規営業活動」があるため、気づいて取り組めば、早々に成長することができるでしょう。アウトプット力
考えたアイディアや企画は自分の中に閉じ込めておくのではなく、この思考をもとに社内外とコミュニケーションをしていかなければ意味がありません。そのために、必要となるのが、アウトプット力です。アウトプット力には、3つあると考えています。プレゼンテーション能力
前述した3点のポイントは、マーケティング活動を始めるにあたって基盤となる戦略と言えます。しかし、戦略を考えて思考できたとしても、適切なコミュニケーションができなければ、コンセンサスをとることができません。マーケティング活動を行うにあたって、非常に大きなポイントは社内合意をいかに形成するかということです。その際には、営業部門や経営部門へのプレゼンテーションを行うことが非常に多く、プレゼンテーションの内容によっては、いくら自身が立てた戦略が良かったとしても、実行に移すことはできないし、予算を取ることもできません。
ライティング能力
マーケティング活動の本質は「いかにモノの価値をコトとして最大化して伝えるか」ということです。そのために自社ホームページのメッセージやメールマガジンを考えたり、展示会ブース設計やパネルのメッセージを考えたり…実際にそれはマーケターが実施することが多いようです。もちろん予算があれば外注したり専門家を雇ったりはできるが、実情はそうとは言えません。そのため、マーケターにはライティング能力が求められるのです。現に、私は数名のマーケターの方にインタビューをしたところ、「ライティング能力」が最も重要だと皆口をそろえて仰っていました。クリエイティブ能力
私の所感では、実は現在最も求められていることかもしれません。ライティングもクリエイティブ能力と言えますが、ここで言うクリエイティブとは、発想や企画を絵に起こすことができるということです。絵に起こす際に使用するツールはなんでも良いですが、とにかく、これができるだけで、マーケティング部門へはかなり近づきます。マーケティング活動は、多くのクリエイティブにあふれています。
展示会でチラシを作りたい、自社のセミナーのバナーHPに乗せたい、ネット広告を出すためのイメージを作りたい、市場へ提供するホワイトペーパーを作りたい、自社セミナーで講演する…等、多くの部分でクリエイティブな能力が必要とされています。
分析力・改善力
分析力・改善力も、マーケターにとって非常に重要です。近年のマーケティング活動は見えない市場を仮説立てて、デジタル上でコミュニケーション(Web、メルマガ、広告等)を行うことが増えてきています。自身が立てた仮説をテストし、それらが上手くいっているのか否かをしっかりと読み解く必要があります。これらの能力は、方向性がずれたマーケティング活動の改善に役立ちます。そのためには、ツールを活用して現状を把握する必要はあるが、それはあくまでも手段なので、後からでも覚えることができます。重要なことは、定量情報や定性情報を正しく読み取り、マーケティング活動を正しい方向に修正していけるかということです。明日からできること~BtoBマーケターへの近道~
BtoBマーケターに職群転換をしたい人は、今自身がどのような活動をしているかを正しく捉えることが大切です。例えば、Webやパンフレット制作しているディレクターは、自身が作っているものは誰に向けて何を目的としてどんな効果を狙ったものなのか、よりセールス目線・事業成長目線をもって業務に取り組んで欲しいと思います。また、営業を担当されている方は、自身が実施している新規営業活動の中で、いかに活動を効率化できるかを考えて動くことが大切です。市場を捉え、顧客像を思い描き、どのようなコミュニケーションをとるべきなのか。これを着実に実施していくことで、近い将来、マーケターへのキャリアチェンジも可能になるでしょう。
今回ご紹介した「思考力」「アウトプット力」「分析力・改善力」を常に意識して行動することで、BtoBマーケターとしての初期スキルセットが充分な状態でキャリアチェンジを行うことができるでしょう。